宦官の話かと買いそびれていたところこのサークルで紹介されて、取りあえず読むかと買ったのが昨年の９月。

　しばらく積読していたのを読み始めました。
　これは面白い。まだ文庫判の一冊目の半分と少ししか読んでいませんがすでに虜になっています。

　いまNHK-TVでも日曜深夜に放送されていますのでご存じの方も多いと思います。

　ストーリーが良いのと所々出てくる中国語がぴったりはまっているところが、まるでジグソーパズルのピースか収まるようでこころよく感じます。

　中国文化・文学、政治・経済、中国語に関心を持つ端くれですが、「中原の虹」同様よく調べられていてストーリーの面白さには脱帽です。

「下町ロケット」池井戸潤 小学館
----------------
宇宙開発科学機構の研究員であった佃航平は、ロケット発射実験失敗の責任を取って身を引いて家業を継ぎ、東京の下町で町工場を営んでいたが、主要クライアントから取引縮小を言い渡され、ライバル会社からは特許侵害で訴えられ窮地に立たされる。
そんな中、国内最大手の帝国重工から契約の打診があるのだが…
----------------
文句なしで面白かった！
精密機器の水素エンジンに絶対の自信を持つ佃社長の心意気が社員に伝播して行く様が気持ちいい。「空飛ぶタイヤ」にも似た爽快感がありました。
思わぬ所から足元をすくわれ簡単には終わらせないところが何とも捻りが利いてました。
しかし池井戸さん、○○重工になんぞ恨みでもあるんだろうか(^^);

ヒートアイランドシリーズやっと３作目となりました。裏金強奪のプロ、柿沢、桃井そして２年目となったアキ。元裏金強奪の一味の（といってもクビになった高木耕一）はコロンビア人の出稼ぎ売春婦DDと付き合っているうちに、暴力団組織のおいしい話を聞きだす。一度はクビになったが、柿沢たちと組んでコカインと現金を手に入れるために、彼らに近づく・・・今回はアキに彼女ができますが、裏の仕事のことは話せないので、いろいろ取り繕ったり、売春婦の片言の日本語（通訳必要ですが）けっこう笑える物語になっています。性描写のひどいところはありますが、男と女それぞれ重い荷物を抱えて生きている姿が、またグッとくるところがありますよ。

私は普段から使っている10年日記に読んだ本を記録してます。
ちょこっとタイトルと評価を残しておくだけで自分の読書遍歴が分かるので絶対にお薦めです。
----------------
で、読後感などを管理出来る「読書メーター」なるサイトを見つけました。
http://book.akahoshitakuya.com/m
読後感のメモ代わりにも使えるし、Amazonから画像も引っ張って来ているようなんで装丁も分かってなかなかGOODです。
書き込んだテキストが公開されてしまいますから目立ちたくない人はキツいかも(笑)
それも非公開にして個人的な記録として使えるようになればより利用者が増えるとは思うんだけどね。
他の人の読後感を読む分にはAmazonの書評よりは使いやすいですが、群れている人の年齢層がかなり低いんで、私たち世代だとドン引きするようなこともありますね。
〓

「ストロベリーナイト」のガンテツこと勝俣。「シンメトリー」の倉田。捜査一課姫川班の若手だった葉山。
それぞれが関わった事件に共通点はないはずだった。
省庁の元・事務次官らが狙われていく。そこには過去に起きたある悲劇があった。そして全てがつながる。
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
ガンテツが相変わらずの傍若無人ぶりを発揮。それに負けていない姫川玲子も健在。ただしあんまり登場しないですけどね。成長した葉山と、息子の事件で警察を辞めた倉田。出てくる人物がみな丁寧に描かれているので読んでいて安心だし楽しめますね。

事件もなかなか興味深いです。構成も上手で臨場感もたっぷり。途中で先が読めるけれどノープロブレム！

バラバラの事件が次第につながっていく不気味さも巧く描かれていてぐいぐいと引き込まれていきました。◎
次は姫川さん主役の新作を期待します♪

　文庫版で一篇が３ページ半程度のエッセイ６０篇余りを集めたもの。だからちょっとした隙間時間に気軽に読めます。

　山本一力の本はよく読むので、氏の来歴なり日ごろの生活、考え方を窺い知るにはよい読み物と思います。
　「にこにこ貧乏」となっていますが、中学卒業頃に上京して住み込みで新聞配達をしながら高校に通っていたことなども載っていますのてそのようなタイトルにしたのでしょう。　私も同世代人なので冬至を思えば特段不思議とも思えませんが、それでも苦労した方でしょう。

　高級な料理のような味はありませんが、しいて言えばポテトチップスや袋に入ったおかきのようなもの。ポリポリと食べているうちに一袋食べ終わったと言ったような感じです。

「ST青の調査ファイル」今野敏 講談社文庫
----------------
心霊テレビ番組の収録中、スタッフが首を骨折して死亡する。
事故死として処理されようとするがSTの面々が異議を唱える。
----------------
今回はプロファイラーの青山の活躍。鋭い洞察力での謎解きでした。
まぁエンターテイメントとして読めば恰好の暇つぶしでした。面白かったですが「黒いモスクワ」の方が好きですね。
〓

　新撰組三番隊隊長斎藤一の話。
　斎藤一を後ろから読むと一刀斎となるからそう呼ばれていたとも。
　明治が終り大正となったころ、陸軍中尉梶原稔が剣道大会では優勝を争う警視庁の榊吉太郎警部から聞いた話を頼りに斎藤一の家を訪れる。

　意外にも初対面ながら剣術の道を同じくするところ、剣道の話をもとに斎藤一から新撰組の話を聞かされる。

　梶原は夕方から齋藤宅を訪れて話を聞くことになるが、上巻では新撰組の結成から鳥羽伏見で敗れ、江戸に出て甲州鎮撫に向かうまで。

　新撰組の話はせいぜい五稜郭の戦いまでのものが多いが、ここでは生き残った斎藤一のその後の話が続いていくことになっている。

　剣術における生き死にを賭けた切り合い、その場での心技体の在り方、心構えなど剣道や武術を志した者にはたまらなく面白く感じるでしょう。


　下巻は江戸を離れてからの話が続くことになります。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら・・という長いタイトルです。そもそも、ドラッカーの「マネジメント」の本は組織として成果を上げるための物事の見方、考え方、行動のエッセンスを解説しているもので、経営学の集大成を１冊にまとめたものだということです。経営者の人はもちろんのこと、組織人の人にでも役に立つ指南書としても大いに役立ちそうです。それを、なんで野球部の青春小説としたのかは、いささか疑問ですが、「マネジメント」のことが書かれていなければ、児童向けの小説って感じかな？どうして１６０万部も売れたのか不思議、きっと、「もしドラ」にでてくるような成果を期待したのか、アニメで放映されるから？

「烈日」今野敏 角川春樹事務所
----------------
東京湾臨海署安積班シリーズ。
なかなか自分に自信が持てない×イチ班長の安積と、個性的な５人の刑事が難事件にあたる。
----------------
今回の短編集も良かったです。私は「開花予想」がお気に入り。
新たに美人刑事・水野が加わり今後ますます物語に幅が出そうですよ。
超人的捜査能力の「STシリーズ」、現実路線「隠蔽捜査シリーズ」、チームワークの「安積班シリーズ」、３路線の続編が非常に楽しみです。
〓