韓国の陸軍本部は、25日午前に第3連隊を急派したが、第3連隊も戦車の攻撃を受けた後は戦車恐怖症に陥った。

しばらくすると、男装したジャンヌ・ダルクを連れて王妃が入って来た。ジャンヌは金髪美人で、神々しい姿をしていた。「皇帝陛下、初めてお目にかかります。私はフランスから来たジャンヌ・ダルクと言います。北京大学に留学して四年になりますが、昨日、聖母マリアのお告げを受けて、皇帝陛下の元へ馳せ参じました。そのお告げの内容は、大清帝国の皇帝を助けて、アメリカとの戦争に勝利せよというものでした」

前方部隊のパニックは後方の部隊にも伝染し、また新たに投入されて来る部隊にも広がっていった。こうして、25 日午前11時に抱川が陥落した。

「黒住君、どう思うかね？アメリカは実にけしからん国だ。広島、長崎へ原爆を落としたり、硫黄島、沖縄などで非人道的な攻撃を行って来た。この罪は免れない。さて、ハルル長官をどうしたものかな」「いつまでも監禁しておくわけにもいかないでしょうね」「そうだな。洗脳してしまうという手もある」その時だった。王妃が部屋に入って来た。「皇帝陛下、陛下に会いたいという少女が来ています。名前はジャンヌ・ダルクといって、フランスから来た北京大学の留学生です」「留学生が何の用かな？まあいい。通しなさい」

抱川正面の第9連隊の韓国軍兵士は、初めて見る北朝鮮軍の戦車に驚愕した。米軍から供与された2.36インチロケットランチャー（バズーカ）では全く歯が立たないことがわかると、パニックを起こして山中に壊乱していった。

「ニューヨークを？」「その通り。同時多発テロで、ニューヨーク市民は恐怖に怯えている。大清帝国はニューヨークを完全に破壊する予定だ」「少し待ちたまえ。ニューヨーク市民には何の罪もない」「それでは満州国民に罪があったと言うのか。満州国民は1945年8月、何の罪もないのにソ連軍に虐殺されたのだ。彼らの復讐をするのは当然の行為だ。私は気が短い。アラスカを割譲するのかしないのか、どちらかはっきりして欲しい」「私の一存では答えられない。帰国して大統領に相談しなければならない」「ハルル国防長官、あなたは帰国することは出来ない。この大清帝国で拘束されます」村国皇帝は机の上のベルを鳴らした。武装した兵士が二人現れ、ハルル国防長官を拘束して部屋から連れ出した。ハルル国防長官は王宮の地下に設けられた独房に入れられた。

ほんとうに重大なことがらと、外見だけのものとを正確に判別することは、われわれ凡人にとっては至難のわざというべきであろう。かのシグズビー・マンダースンの強靭にして老獪な頭脳が、何者かの手によって放たれた一発の凶弾によって粉砕されたとき、世間の人は一滴の涙すら流そうとしなかった。

E・C・ベントリー（トレント最後の事件より）

ドアを開けながら、その日が金曜であったことに気がついた。彼女はすべての策謀が始められたこの日を、あとになると決して忘れることができなくなる。しかし、今はそれを知る由もなかった。その日も、ただ、一週間のうちの単なる一日であり、ほかの日より悲しくも、嬉しくもなかった。

カトリーヌ・アルレー（わらの女より）

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オーナー
劇団員一同

韓国軍将兵は戦車を見たことがない者がほとんどだったが、東豆川正面の第1連隊は奮戦した。戦車部隊に突進されると山上にたてこもり、北朝鮮軍の歩兵部隊や補給部隊を射撃によって拘束して、戦車部隊が自軍の後方へ行くのを阻止した。