サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 22:25:32
icon
青春16
5
僕が大阪へ着くと、美津子から手紙が来た。それには僕が大阪へ出発した日、突然彼女が盲腸になり入院したこと、それで見送りに行けなかったこと、手術をしてすぐ手紙を書いたことなどが、彼女の字で書かれてあった。僕は今までの疑惑が、一時に晴れていくのを感じた。僕は後悔していた。彼女は手術をしてまだ間もないのに、僕に手紙を書いてくれたではないか。それに引き換え、自分の心の何と醜いことか。-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 20:23:58
icon
青春15
僕は座席にもたれると、目を閉じた。すると、どうだろう。彼女の面影がまぶたに焼き付いて、どうしても離れないのだ。追い払おうとすればするほど、それはいっそう鮮明になるだけであった。僕は故郷の姿を少しでも目に焼き付けておこうと、いつまでも窓の外の景色を見ていた。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 20:20:51
icon
青春14
いよいよ出発というその日、見送りに来てくれると思っていた美津子が来ていなかったのだ。僕は腹立たしさと苛立ちとで、泣きそうになりながら、それでもどこかに来ていないかと、ホームのあちらこちらを捜した。発車のベルが鳴っても、彼女の姿を見つけることは出来なかった。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 19:40:35
icon
青春13
「でも、浩ちゃんと別れるのはつらいわ」
「僕だってそうさ。でも、どうしても大阪で働いて見たいんだ」
美津子には、僕の気持ちが理解出来ないらしく、寂しそうにうなずいただけだった。
「僕が大阪へ行く時は、見送りに来てくれるね?」
「ええ、行くわ」
「きっとだぜ」
「きっとよ」
しかし、あれほど堅く約束したにもかかわらず、それは果たされなかった。-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 19:33:54
icon
青春12
4
それから二年の月日が流れた。僕と美津子はますます親しくなり、村田家の人達も、僕を家族同様に扱ってくれた。僕は高校三年生になり、美津子は高校二年生、彼女の兄は東京へ就職していた。二人の話はいつか就職のことに移って行った。
「浩ちゃん、どうして大阪へ行くの?こちらで就職すればいいのに」
「こちらはあまり仕事がないし、それに一度都会で生活して見たいんだよ」-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 19:30:58
icon
青春11
彼女の口からもれる声、それは何とも形容しがたい、ある一種のリズムがあった。体も冷えて来たので、僕達は帰り始めた。僕は振り向くと、彼女の顔をじっと見つめた。彼女の呼吸はしだいに荒くなり、肩が小刻みになって震えていた。僕はそっと彼女を引き寄せると、彼女の額に優しくキスをした。そして、それはしだいに下がって行き、半ば開いたくちびるの所で止まった。彼女の髪から発散する香気が、あたりを包んでいた。これが現実だろうか、これが青春の恋というものだろうかと、僕は考えた。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 17:06:42
icon
青春10
すぐ近くに遊園地があった。僕はベンチに腰を下ろした。ひんやりとした空気が気持ち良かった。その時、足音がした。今頃一体誰だろうかと不審に思いながら、ベンチから立ち上がった。彼女だった!
「浩ちゃんも眠れないの?」
彼女は耳元でささやくように聞いた。
「うん。美津子さんも?」
「ええ。少し寝苦しいから出てきたのよ」
彼女の姿を街灯の淡い光が、浮き上がらせていた。二人はベンチに並んで腰掛けた。
「浩ちゃん、いつまでも一緒にいたいわ」
「うん」-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 17:04:04
icon
青春9
結局、美津子の言う通りになった。そこで家族の人は一階へ、僕は二階の部屋に寝ることにした。ふとんは美津子が敷いてくれた。ふとんを敷きながら美津子は言った。
「浩ちゃん、明日、水前寺公園へ行かない?」
「うん。いいね」
美津子はふとんを敷き終わると、階下へ行ってしまった。広い部屋にポツンと残されて、なかなか寝つかれなかった。それでも昼間の疲れが出たのか、うとうとしてきた。何かの物音で目を覚ました。再び眠ろうとしたが、どうしたわけか頭が冴えて眠れそうもない。少し散歩でもすれば眠れるだろうと思って、僕は庭の門から外へ出た。-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 17:00:01
icon
青春8
「うん。でも、迷惑にならないかい?」
「迷惑なんかないわ」
彼女は笑って言った。そこへ彼女の母がやって来た。
「浩ちゃん、もう遅いんじゃない。早く帰らないと、お家の人が心配するわよ」
僕は追い出されるのかと思って心配していると、美津子が助けに入ってくれた。
「お母さん、もう遅いから、浩ちゃんに泊まってもらったら」
「でも、まだ帰りの列車はあるんでしょう?」
「でも、もう遅いわ。いいじゃない。泊まって行くわね。浩ちゃん?」-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: ミッソーさん
2012/10/31 16:57:53
icon
青春7
3
それからというもの、僕は土曜日ごとに、その家に行って遊んだ。そんなある日、僕と彼女は卓球に夢中になり、時間のたつのも忘れてしまった。真っ暗になってからもう大分遅いと気がついた。見ると、時計はもう8時になろうとしていた。これから列車で帰っても、八代へ着くのは9時頃、家まで歩いて帰っていると、9時30分になることは確かだった。美津子もそれに気がついた。
「浩ちゃん、もう大分遅いから、泊まって行きなさいよ」-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-