アンナ【私も賛成です。ミッソー中佐が来てから警備はずいぶんと強化されました。ドーナツの森や修道院には監視カメラを取り付け、保安室のモニターで記録、監視出来るようになりましたね】

ミッソー中佐【自衛隊の基地や駐屯地の警備態勢を参考にしました。戦闘ヘリアパッチの下部にも赤外線カメラを取り付けてあり、飛行ルートを監視、記録出来るようになっています】

アンナ【明日、ドーナツの森に行ってユーラを連れて来て下さい。きっとシスター達に可愛がられるはずです】

ミッソー中佐【了解しました】

ミッソー中佐は保安室に戻り、シスターマーガレットが巨大熊さんを抱き枕にして眠っている姿やシスターミザリィがベッドの中で眠っているのを確認すると、自分の部屋に戻った。

アンナ【ユーラは最初は馬屋番夫婦に預けてたんだけど、シスターミザリィが来てから二人の世話は大変だろうと思い、本人の希望もありユーラは魔法学校に入校させることにしたの。ユーラは魔法学校をトップで卒業すると、修道院に帰って来た。でも魔法の訓練のためにドーナツの森に住みたいと言って来た。そこで森の中にロッジを建ててやり住まわせているの】

ミッソー中佐【ユーラが今でも子供のままなのはどうしてですか？】

アンナ【それはユーラが自分に魔法をかけてるからよ。子供の姿が好きなんですって。それにシスターミザリィとの関係もあるわね。そういうわけでドーナツの森の番人をしてもらってるの】

ミッソー中佐【ドーナツの森は私がヘリで巡回してますから、ユーラを修道院に住まわせてやってはどうでしょう？】

ミッソー中佐【その手紙も催眠術にかかった状態で書かされたに違いありません】

アンナ【教団の建物から出ようとした時、玄関で女の子が立っているのに気がついた。女の子は私をじっと見つめて何か言いたそうにしていた】

アンナはグラスの水を一口飲んだ。

アンナ【お嬢ちゃん、ここで何をしているの？名前は何と言うの？】

ユーラ【私はゆらゆらユーラよ。私のお父さんとお母さんを待ってるの。トーマス様が両親は私を置いて出て行ったと言うの。私、ここを出て両親を探したい。ねえ、一緒に探して】

アンナ【教祖にはそのことを話したの？】

ユーラ【はい。私がそうしたいならいつでも出て行ってそうしなさいだって】

アンナ【ここで帰りを待つより探すほうがいいかも知れないわね。わかったわ。教祖には私がユーラを連れて帰ると連絡しておくわ。車に乗りなさい】

ミッソー中佐【トーマスに会えたのですか？】

アンナ【はい。会ってびっくりしました。トーマスは埼玉の神学校で一緒だった生徒だったの。容貌はずいぶん変わっていたけど、すぐにわかりました。ケイトに会わせて欲しいと言うと、本人は自ら聖ピアス教団に入信して七つのピアスを着けた信者なので、本人の同意なしに会わせるわけにはいかないとはっきり断られました】

ミッソー中佐【ケイトさんの意思はどうだったんですか？】

アンナ【トーマスと一緒に信仰の道を歩むので教団を出たくない、お姉さんは心配しないで下さいと言う手紙を渡されました】

ミッソー中佐【ケイトさんはトーマスの催眠術で操られていますね】

アンナ【私もそう確信しました。でもどうすることも出来なかった。あきらめて帰るしかなかったの】

ミッソー中佐【魔法少女ユーラ？ハリポタの世界ですね。日本にも魔法使いがいるとは驚きです】

アンナ【ユーラはトーマスのいる聖ピアス教団の信者の子供なのです】

ミッソー中佐【信者の子供がなぜドーナツの森の番人に？】

アンナ【話せば長くなりますが、それでも構いませんか？】

ミッソー中佐【私も知っておく必要がありそうですね。お話し下さい】

アンナ【分かりました。私が妹のケイトを取り戻すため何度か聖ピアス教団を訪問したことはお話ししましたわね】

ミッソー中佐【ええ。面会させてもらえなかったとか】

アンナ【そこで私は教祖のトーマスに面会を申し込んだの】

ミッソー中佐はシスターマーガレットを追い出すとアンナ修道院長の事務室を訪ねた。

ミッソー中佐【ミッソー中佐です。アンナ修道院長はいらっしゃいますか？】

アンナ【いますよ。どうぞお入り下さい】

ミッソー中佐が入るとアンナ修道院長は言った。

アンナ【ミッソー中佐ごくろうさまでした】

ミッソー中佐【ヘリだからわけないですよ。あっという間でした。ところでドーナツの森の上空を飛んでいた時、子供の姿を見かけました。女の子です】

アンナ【ミッソー中佐は来たばかりだからお話ししてなかったわね】

ミッソー中佐【この修道院には子供のシスターもいるんですか？】

アンナ【シスターではないけどドーナツの森に不審者が入らないよう番人をしているの。名前はユーラ、魔法少女なの】

シスターマーガレット【追放だなんてイヤです！】

ミッソー中佐【シスターマーガレットは修道院でお菓子作りを学んで、いずれはパティシエとして活躍するんじやないのか。そんな意思が弱いことでどうする？そうだ！いいことを思いついたぞ。備品倉庫にこの間のイベントで獲得した巨大熊さんがあったはずだ。それでも抱いて寝ろ！】

シスターマーガレット【巨大熊さんですか！分かりました。ありがとうございます】

ドーナツの森修道院は三階建ての近代的な建物だった。

一階には応接室、礼拝堂、ドーナツ製造ライン、保管庫、備品倉庫、懺悔室、アンナ修道院長の事務室、保安室などがあり、二階と三階はシスター達の居室になっている。

また修道院に隣接して馬の厩舎と馬屋番夫婦の住宅もあった。

それとは別に体育館も建てられていた。

ミッソー中佐がドーナツ納品のための20分の往復を終え修道院に帰って見ると、シスターマーガレットが保安室にやってきた。

ミッソー中佐【シスターマーガレット、どうした？もう就寝時間だろ】

シスターマーガレット【ミッソー中佐、シスターミザリィはいつまで懺悔室にいなきゃいけないんですか？】

ミッソー中佐【それは私にもわからない。アンナ修道院長が出て良いと言うまでは、シスターミザリィは懺悔室で反省の日々を送ることになるだろうな】

シスターマーガレット【私一人だと眠れないんです。いつもシスターミザリィと一つのベッドで寝ていましたから。私シスターミザリィをミッソー中佐に密告したことを後悔しています。ミッソー中佐、私と一緒に寝てくれますか？】

ミッソー中佐【シスターマーガレット、何を馬鹿なことを言ってるんだ。そんなことをしたらシスターマーガレットは修道院から追放されるぞ】

AH-64Dアパッチ・ロングボウ
陸上自衛隊の最強の攻撃ヘリコプターである。AH-1Sヒューイコブラの後継機として配備されている。
主回転翼径：14.63m
全長：17.73m
胴体幅：5.7m
全高：4.9m
最大全備重量：10.400t
発動機：T-700-IHI-701C×2
出力：1662HP×2
最大速度：365km／h
実用上昇限度：6400m
航続距離：500km
乗員：2名（前席:射撃手兼副操縦士、後席:操縦士）
武装：M230A1 30mm自動式機関砲×1（固定武装、弾数1200）
AGM-114ヘルファイア対戦車ミサイル
ハイドラ70 対戦車ロケット弾ポッド
AIM-92スティンガー対空ミサイル

シスターミザリィ【二人だけの時はみったんと呼んでもいいかなあ】

ミッソー中佐【ダメだ！それじゃお前をミザリィたんたんたんと呼んでも構わないか？】

シスターミザリィ【イヤです。たんたんたんだなんて！】

ミッソー中佐【そら見ろ！私もみったんなんて呼ばれたくない】

シスターミザリィ【分かりました】

ミッソー中佐【シスターミザリィ、お前とくだらん話をしていたらもうこんな時間だ。私はヘリでドーナツを運んで来る】

シスターミザリィ【ミッソー中佐、早く帰って来てね。ずっと一緒に居たいの】

ミッソー中佐は懺悔室を出ると施錠した。

保管庫から検品済みのドーナツをエレベーターで屋上のヘリポートまで運んだ。

そこには戦闘ヘリアパッチが駐機してあった。