｢そこで何をしているのかね？｣トーマスに変装したミッソー中佐はミサの背後から声をかけた。ミサはびくっとして、後ろを振り向いた。教祖のトーマスが微笑みながら立っていた。｢ここはあなた方が来るところではない。早く出て行きなさい｣｢教祖様、失礼しました。事務所の鍵をお返ししようと思い、アンナ様の部屋へ行ったのですが、お留守だったので、教祖様にお渡ししようと思いまして｣｢そうですか。それでは私が預かっておきましょう。そこの机の上に置きなさい。それから教団内を一人であちこち見学しないことですね。信者でないあなた方は自由に出歩くことは禁止されていますよ｣｢気をつけます｣二人は離れていたせいで、ミサはトーマスがミッソー中佐であることに、まだ気付かなかった。