炭そ菌による患者は台北と高雄の50ヵ所の病院に収容されていた。召集された医師と看護士に対して、辻少佐は派遣先の病院を割り当てていった。それにしても絶対数の不足は否めない。これ以上患者が増えると、現状のままでは対応出来なくなる。僕の頭の中に警戒信号が鳴り響いていた。中国軍が台北と高雄を放棄して、台中へ退却した作戦行動に疑問を持ったのだ。炭そ菌によるバイオテロのため、しばらくは日本と大清帝国軍の動きが取れないとしても、いずれは台中へ侵攻が始まる。両方から挟み打ちになるような場所へ退却するものだろうか？疑問が解けないまま、僕は台北ヒルトンホテルへ向かった。台北ヒルトンホテルのアスレチックジムへ行くと、僕はランニングマシーンを使用した。1時間ほど走ったあと、屋上ルーフガーデンの中にあるジャグジーバスに入った。15階の部屋に帰り、着替えを済ませた時、電話が鳴った。それはライさんからだった。