工藤防衛大臣は多忙を極めていた。ミッソー中佐が拉致被害者救出のため、北朝鮮に潜入してから、国家の危機とも言うべき問題が多発していた。北朝鮮による長距離弾道ミサイルの発射、核実験の実施、ソマリア沖の海賊問題と法律の整備、アメリカによるアフガニスタンにいるアルカイダ壊滅作戦の後方支援、どれ一つとして気を抜けない問題ばかりだった。おまけに政府の各大臣から助けを求められていた。椿厚生労働大臣からは、解雇された派遣労働者10万人を自衛隊で受け入れてはもらえないかと相談があった。