トーマスとアンナとみさきの三人は見た。ハンググライダーに乗って小銃を構えたミッソー中佐が、猛烈なスピードで舞い降りたかと思うと、ユーラの体を掴んで再び舞い上がった。みさきはあわててピストルを拾い上げると、ハンググライダーに照準を合わせた。しかし、次の瞬間、ミッソー中佐はみさきの視界から消えていた。「トーマス様、申し訳ありません。ミッソー中佐とユーラを取り逃がしてしまいました」みさきはトーマスにピストルを返しながら詫びた。「まあいい。ミッソーもユーラを抱いたままでは攻撃も出来ないだろう。姉さんもみさきも早くこちらへ」三人は林の中へ入り、用意してあった車に乗り込んだ。

「ユーラ、お前は私を裏切っただけでなく、私を殺そうとしたね」アンナはユーラに言った。「みさき、ユーラを始末しろ！」トーマスはみさきにピストルを渡した。「一発で殺害するんだ。いいな」みさきはピストルを受け取ると、銃口をユーラに向けた。「ユーラ、悪く思わないでね」みさきはピストルの引き金を引いた。「ダアーン！」銃声が響き渡り、ユーラはバッタリと倒れた。倒れたのはユーラだけではなかった。みさきも倒れていた。

「ユーラ、私だ。こちらを向きなさい」トーマスがユーラの背後から声をかけた。ユーラは思わず振り向いた。「ユーラ、私のかわいい妹よ。私はお前を愛している。私の目を見るんだ」ユーラはその声に引き寄せられるように、トーマスの目を見た。その瞬間、ユーラは深い眠りに落ちた。「ユーラはいい子だ。さあ、アンナを助けるんだ」「トーマス様、わかりました」ユーラは湖の上を飛び、アンナを引き上げて湖岸へ降ろした。

ムラサメ研究所で開発された、可変モビルアーマーで、大型火器を内蔵し、単機で大量破壊を行うことが出来る。火器管制や遠隔操作にサイコミュシステムを採用しており、強化人間でなければ制御が不可能な機体。

カミーユの言葉を聞いたフォウは寂しそうな微笑を浮かべたあと、カミーユに銃口を向けた。フォウは、カミーユを宇宙に返すことを決意し、アウドムラに特攻をしかけようとするスードリの足止めを図る。そして、自らの身体を張って、大気圏離脱用のブースターを使ってカミーユを宇宙に送り出した。

「ユーラ、助けておくれ！私は泳げないんだよ」アンナは沈みそうになりながら哀願した。トーマスとみさきは泳げるらしく、二人は湖岸に向かって泳ぎ始めた。「いい気味だね。溺れて死ねば」「私はお前をそんな子に育てた覚えはないね」「そんなの関係ない」「後で後悔しても知らないよ」「後悔なんてしないもん」「両親に似て馬鹿な子だよ」「はにゃ！何！」「ユーラが私を見逃してくれたら、私を裏切ったことを許してやろうと思ったんだよ」「絶対許さないよ」「ならしかたない」アンナはユーラの後ろに立っている木に手をかざした。するとバキッという音がして木が折れ湖に落ちた。アンナはその木にしがみつき、湖岸へ向かった。ユーラの背後からトーマスとみさきが迫っていた。

別離
カミーユの誘いを拒否し、スードリに戻ったフォウは、再びカミーユ達を襲う。解り合えるはずと信じるカミーユは、フォウに自分の過去を語り、閉ざされたフォウの心を開くのだった。

対決
自分の運命を悲嘆し、香港の街を破壊するフォウの前に立ったカミーユは、【一緒に宇宙に行こう】と手を差し伸べるが……。

再会
夜の香港で、再会するカミーユとフォウ。12時までの限られた時間の中、フォウが敵である事実を知りながらカミーユは彼女により深くのめり込んで行く。

「ユーラ、お前は私達を出迎えに来てくれたのかい」「ひにゃ！違うよ。アンナ、お前の命をもらいに来た」「おやおや、今までお前を育てた恩を忘れたのかい？」「私の両親を殺したくせに」「とうとう知ってしまったんだね。お前の両親はユーラを連れて教団を抜け出そうとしたのさ。だからハンネの森で待ち伏せをして私が殺してやった」「今度は私がアンナを殺す」「どうやって？」「魔法を使って」そう言うと、ユーラは秩父湖に指先を入れ、ぐるぐる掻き回した。湖面は俄かに波立ち、潜水艦は大きく上下して、三人は潜水艦の上から振り落とされた。