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from: エリスさん
2006年09月17日 17時43分58秒
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約束・1
アテーナイにそびえ建つ社殿、その名も処女神宮(パルテノーン)アルテミス(当時4歳)は、初めてそれを見て、あまりの立派さに、しばし見惚れてしまった。一
アテーナイにそびえ建つ社殿、その名も処女神宮(パルテノーン)
アルテミス(当時4歳)は、初めてそれを見て、あまりの立派さに、しばし見惚れてしまった。
一緒に付いてきた乳母のメルクーターも、
「凄いところでございますねェ」
と言ったきり、口をあんぐりと開けてしまった。
「……帰ろうか?」
つい、アルテミスの口から出た言葉に、
「そうですね」とメルクーターが簡単に言ってしまったのも、そんなわけで心ここにあらずだったからだ。
しかし我に返ったメルクーターは、首を勢い良く左右に振って、言った。
「いけません、君様(「主人」のこと。きみさま)。せっかくのアテーナー様からのご招待なんですから!」
「うん……そうだよね」
先日、4歳にして、オリュンポス社殿デビュー(社交界デビューだと思ってください)したアルテミスは、そこで異母姉にあたるアテーナーと知り合って、こう言われたのだ。
「私の社殿にいらっしゃいな。お近付きの印に、いいものをあげる」
とっても綺麗なお姉様! お優しいお姉様! だから、もっと仲良くしてもらいたくて、今日の招待をお受けしたのだが。
「こんな立派な社殿に住んでいるなんて、思わなかったのよ」
「さすがに、神王陛下の御長女なだけありますね。気後れする気持ちはわかりますが……」
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from: エリスさん
2006年10月21日 11時36分56秒
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「約束・20」
エイレイテュイアに人間のガイアの居場所を教えてもらったものの、アテーナーはしばらくその娘に会いにいく気にはなれなかった。
アテーナーは初めての甲冑を眺めていた。――一番大事な品、でも、身近に置いておくには辛すぎるから、いつも宝物庫に入れっぱなしになってしまう。
そろそろ慣れなくてはいけないのに。ただでさえ、鍛冶の神であるヘーパイストスは、アテーナーの使う武器一式を仕立ててくれている。彼を思い出す要素はいくらでもあるのだから、そのたびに悲しんでなどいられない。
『でも、これだけは特別……』
そう思ったときだった。
「……パラス様……」
声がした方を振り返ってみると、そこに若い娘が立っていた。
アテーナーは驚いた。
「ガイア!? あなた、どうして……」
そして、気付く。その娘の体が透けていることに。
「パラス様……お約束を、お果たし下さいませ……」
娘は、そう言いながら消えていった。
「ガイア!」
アテーナーはすぐに駆け寄ったが、間に合わなかった。
「……約束……ガイア、それじゃ、あなたは……」
――初めてガイアに会ったのは、今から三ヵ月前だった。
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