新規登録がまだの方

下の[新規登録]ボタンを押してコミュニティに登録してください。

登録がお済みの方はこちら

コミュ二ティポイントのご案内

詳しく見る

神話読書会〜女神さまがみてる〜

神話読書会〜女神さまがみてる〜>掲示板

公開 メンバー数:11人

チャットに入る

サークル内の発言を検索する

サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。

閉じる

from: エリスさん

2007年04月08日 14時41分18秒

icon

異形の証(いぎょう の あかし)・1

いつからか、僕がお母様の子供ではないことは、気づいていた。お母様とは全然似ていないし、どちらかって言うと従兄弟のリーモスやポノスとの方が似ていて――で

 いつからか、僕がお母様の子供ではないことは、気づいていた。
 お母様とは全然似ていないし、どちらかって言うと従兄弟のリーモスやポノスとの方が似ていて――でもその従兄弟は、正確には「従兄弟」ではなくて……。
 だから、叫んでしまった。
 「僕の本当の母親は誰なんですか!」
 お母様が悲しむ顔を見るのは辛いけど……でもどうしようもなかった、あの時。
 僕の成長が十五歳で止まってしまったのも、お母様が道ならぬ恋に奔(はし)った所為だと、だから僕が呪われてしまったのだと、そう思い込んでいた。
 「恥ずかしくないのですか。女同士で愛し合うなど、汚らわしい!」
 本当は汚らわしいなんて思ってない。お母様が本当に愛している人なら、祝福してあげたかったんだ。
 でも、あの頃の僕には、できなかった。
 気づいてしまったから……。
 僕の背中にある翼――それこそが、僕の本当の母親が「あの人」である証であると、分かってしまって。
 素直になれない自分を、僕はどうすることもできず……。
 「教えてください、お母様。どうして僕に、Eris(エリス)叔母様と一字違いのEros(エロース)を与えたのですか!」
 そんな問いに、お母様が答えられるはずがないのは、分かっていたのに……。
 「お母様の血だけを引いていれば、僕が《異形の神》として生まれるはずがないんだ!!」

 言葉ではどんなに反発しても、
 本当は、
 エイレイテュイアお母様も
 エリス叔母様も
 大好きなのに……

  • サークルで活動するには参加が必要です。
    「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
    ※参加を制限しているサークルもあります。

    閉じる

  • 15
  • サークルで活動するには参加が必要です。
    「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
    ※参加を制限しているサークルもあります。

    閉じる

  • 0

icon拍手者リスト

from: エリスさん

2007年04月17日 14時41分32秒

icon

「異形の証(いぎょう の あかし)・5」
 「忌々しい体だな……」
 自分の服を眺めながら、ついそんなことを口走ってしまったら、プシューケーが悲しそうな顔をして、言った。
 「ご自分の翼がお嫌いですの?」
 そう聞かれると返答に困る。以前は嫌いなだけな存在だったけど、今はちょっとだけ……。
 僕が黙っていると、プシューケーが抱き締めてくれた。そのフワッとした感覚が気持ちいい。母と背格好が似ているから、僕の顔が埋まる場所も、母と同様に肩の辺りで、それがまた懐かしくて落ち着くんだ。
 「私はあなたの翼が好きですわ」とプシューケーは言った。「翼だけではなく、なにもかも、あなたのすべてが大好きです。だから、あなたもご自分を嫌いにならないで」
 そして僕を離すと、彼女は改めて僕の翼を眺めた。
 「純白の立派な翼ですわ。なにを卑下する必要があります。むしろ自慢に思うべきです」
 「……ありがとう、プシューケー」
 ――プシューケーだって知らないわけじゃない。この翼を持って生まれてきたことの意味を。
 それでも彼女は僕を元気づけるために、そう言ってくれるし、きっと本心でもあるんだろうな。

 ――この翼こそが、僕が闇の神の血を引く証(あかし)――

  • サークルで活動するには参加が必要です。
    「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
    ※参加を制限しているサークルもあります。

    閉じる

  • サークルで活動するには参加が必要です。
    「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
    ※参加を制限しているサークルもあります。

    閉じる

  • 0

icon拍手者リスト