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from: エリスさん
2008年03月29日 18時24分03秒
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『百合な日々』サイト
『百合な日々』というサイトに、以前、私の「罪ゆえに天駆け地に帰す」(つみゆえにあまがけつちにきす)を取り上げていただきまして、
筆者として、サイトの管理人さんにお礼のメールを送りましたところ、
昨日お返事をいただきました。
管理人さんも作者本人からメールをもらって、驚いたそうです。
これからも百合小説は書き綴ると思うので、この先、万が一、ひょんな拍子でまた本を出版できたら、その時には、また取り上げていただきたいと、伏してお願いします。m(_ _)m
百合つながりで――夕飯を食べながら、「舞‐乙HiME」を見ていました。
紫水晶のマイスター シズル・ヴィオーラ様、素敵すぎです。あんなお姉様がほしい(私のが年上だけど)。-
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from: エリスさん
2008年03月28日 15時33分27秒
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男性読者に不評?
「おまえ、男、嫌いだろう?」
2サークル(「神話読書会」と「恋愛小説発表会」)とも、そんな展開になっている、最近の私。
たまたまそうなったのよ、故意にそうしているわけじゃないの。今ちょうど書きたい作品が、両方ともそんなテーマになってしまっただけで。
「だから、男が嫌いなんだろ?」
「嫌いじゃなければ書けないよな、こんなテーマ」
まあ、ぶっちゃけてしまえば、
「男が恐い」
が正解。嫌いって言うには、好きな男性もほんの一握りはいるので――あの人とか、あの子とか、堂本光一とか、西川貴教とか、岡本健一とか……。
あっ、あとお兄ちゃん! (^_^) お父さんは微妙……。
この世のすべての男性が嫌いってわけではないけど、男性恐怖症はどうしようもない私の欠点なので、まあ、こんな作品が多くなっちゃうんでしょうね。
特に今は。
大丈夫。この次の作品はちゃんとした男女の恋愛を描く予定なので(予定は未定に良く似てる)、そうしたら、ちゃんと男性も格好良く描きますから。-
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from: エリスさん
2008年03月28日 15時17分35秒
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「女神の涙〜ティートロース生誕秘話〜・2」
それは、「ペルセポネー事件」が起こる二年前のことだった。
ヘーラーの朝は、侍女たちが部屋まで運んできた洗面道具で顔を洗い、侍女の手で髪を梳いてもらうことから始まる。
その日もいつものように顔を洗い、いつものように髪を梳いてもらおうと椅子に腰掛けヘーラーは、一つだけ、いつもと違うことに気づいた。
「イオーはどうしたのです?」
ヘーラーの髪を梳く係である童女のイオーがいなくて、代わりに古株の侍女・ナミーネーが櫛を手にしていたのである。
「それが……」と、ナミーネーは言った。「まだ出仕していないのです。あの子が遅刻など、今までしたことがありませんから、具合でも悪くなったのではないかと、近くに住んでいる精霊に見に行かせているのですが」
「まだ連絡はないのですか?」
「はい、陛下」
「それは心配な……あの子には確か、夕べ、アテーナーのところへ遣いに行かせたのだったな」
アテーナーのところへ、ヘーラーお手製の杏の砂糖漬けを届けるために、パルテノーンの近くに住んでいるイオーを遣いに行かせたのだった。そしてそのまま直帰してもいいと許可したのである。
「そもそも、ちゃんと帰っているだろうか……」
ヘーラーはナミーネーに簡単に髪を梳いてもらうと、洗面のために持ってきた水がめに手をかざして、呪文を唱えた。
すると、水がめの水面に何かが映った――足早に急いでいる、ヘーラーの侍女の一人だった。イオーの家の近所に住んでいる者である。
「様子を見に行かせたのは、このルルカーに間違いないな? ナミーネー」
「はい、王后陛下……なにやら、様子が変ですね」
「うむ……ルルカー! ルルカー! 聞こえますか!」
ヘーラーが水面に向かって話しかけると、水面に映っていたルルカーが足を止めて、空を見上げた。
「その声は、陛下!」
「ルルカー、イオーはどうしました? そなたが向かっている方向は、イオーの家とは逆方向に思えるのだが」
「今、彼女の家を見てきたところです。急いで社殿へ戻るところでした。陛下、イオーは家にいなかったのです」
「家の中はどんな様子です? 荒れていたとか、そんな様子は」
「いいえ。きちんと片付いていました。ただ、洗濯物が外に干しっぱなしで、夕べは家に帰っていないようです」
「分かりました。それが分かれば、そなたは急いで帰ってくる必要はありません。ゆっくり戻ってきなさい」
「はい、陛下」
ヘーラーは水がめに人差し指を入れて、水面を弾くことで神力を解いた。
ヘーラーが水面からいったん顔を上げたのを見計らって、ナミーネーは声をかけた。
「いったい、イオーの身になにがあったのでしょう」
「分からぬ……アテーナーのところへも確認してみなくては」
ヘーラーがもう一度、水がめに術をかけようとした、その時だった。
寝台の横に置いてある水晶球から、声がした。
「ヘーラー様! アテーナーです!」
アテーナーからの緊急通信だった。icon
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from: エリスさん
2008年03月28日 11時54分45秒
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from: エリスさん
2008年03月25日 19時03分34秒
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桃の花が咲きました
他のサークルにもアップしたんですが、我が家の桃の花が咲きました。
満開になったら、また載せますね。
桃と言えば、アプロディーテーの体香ですね。花じゃなくて果実の方ですが。
私が書くと、アプロディーテーって嫌な女になってしまうんだけど、それは私がそれだけヘーラー王后やアテーナー様を敬愛しているからだと、自己分析してます。この二神は貞節な女神ですから。アプロディーテーは正反対の神でしょ?
私が両思いになれないのって、やっぱりアプロディーテーの呪いなのかな (^o^;-
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from: エリスさん
2008年03月21日 15時07分56秒
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女神の涙〜ティートロース生誕秘話〜・1
ヘーラーがオリュンポス社殿で王后としての政務を執っていた時、その知らせは届いた。
「ティートロース様がお越しになられました」
ティートロースというのはゼウスの息子のひとりだが、分け合って幼少時はヘーラーが育て、三歳の時に、当時子供がいなかった小国の王のもとに養子に出された人物だった。
人物――と言っても、半分は神。母親は精霊であるから、だいぶ神に近い存在である。
「おや、懐かしい。あの子が遊びにきてくれるとは」
通信用の水晶球の向こうにいる侍女に話しているヘーラーは、本当に嬉しそうな笑顔だった。だが、それに対して侍女の方は深刻な顔をしていた。
「それが、ただ遊びに来たわけではなさそうなのです」
「どういうことです」
「どうも、家出をなさったようで……しばらく、こちらに泊めてほしいとおっしゃるのです」
「なんですって!? ……それは、泊めるのは構いませんが……。わかりました。私もすぐに帰りますから、そこにティートを引き止めておきなさい」
ヘーラーは執務中の書類など放っておいて、アルゴスにある自分の社殿に戻った。
すると、社殿の前に馬車が停まっていた。数人の兵隊も付き従っていることから高位の者の馬車だとすぐに分かる。
そして、門の前には身なりのいい婦人が、まさに泣き崩れていたのである。
「そなたは、カシミーネー!」
ティートロースが養子に行った国の王妃だった。
カシミーネーと呼ばれた婦人は、すぐにヘーラーに気付いて、女神の足元に駆け寄ってきて、すがりついた。
「ヘーラー様! どうか私をお許し下さい!! 私がどうかしていたのです! あの子を――ティートロースを恐れるなど、母としてあるまじき心だと、この通り反省しております! ですから! どうか私にあの子をお返しくださいませ!」
「なにがあったのです。私は帰ってきたばかりで、まったく事情がわからないのですよ」
入り口の門が開いたのは、そんなときだった。
出てきたのは、ヘーラーの次女・ヘーベーだった。
「カシミーネー王妃。やはりティートロースはあなたとは会いたくないそうです。気の毒ですが、このままお帰りなさい」
「ヘーベー様! せめて、せめてティートロースの顔だけでも拝ませてくださいませ! 私はあの子に詫びたいのです!」
「お帰りなさい、王妃。今は、時を待つのが一番なのです。あなたにとっても、ティートにとっても」
カシミーネーが再び泣き崩れるのを哀れむように見下ろしてから、ヘーベーはヘーラーに目を向けた。
「お戻りなさいませ、お母様」
「いったいどうゆうことなのです、ヘーベー」
「事情は中でお話いたします」
ヘーラーはカシミーネーのことを気にしながらも、ヘーベーと一緒に社殿へ入っていった。
ヘーベーが説明したことは、こうだった。
五年前、ティートロースが養子に行った王家に、それまで諦められていた王の実子が誕生した。しかも生母が王妃とくれば、当然養子のティートロースとの間で後継者問題が沸き起こってくる。
それでも、王妃は自分の子と分け隔てなくティートロースを育てていた。すでに七年もの間わが子同様に育ててきたのである。いまさら実子ができたからと言って、愛情がなくなるような狭量の女性ではなかったのである。
だが先日、ティートロースと、実子である弟王子とで遠乗りに出掛けたところ、弟王子が乗っていた馬が急に暴れだし(どうやら蜂か何かに刺されて、驚いたらしい)、あやうく崖から転落するところを、咄嗟にティートロースが助けたのだ。
だがその助け方がまずかった――落ちそうになった弟の右肩を、ティートロースが右手だけで掴んで引き上げたのだが、つい無我夢中で、力加減ができなくなってしまったのである。
弟王子の肩の骨はボロボロに砕け、回復しても元通りに動かせるかどうか分からないと、医者が判断したのである。
その話を聞き、王妃は恐怖の目でティートロースを見てしまった……ほんの一瞬だったが、それにティートロースも気付いてしまった。
だからティートロースは王宮を飛び出してしまったのである。
王妃は当然、そんな自分を恥じた。だからこそ、先程のように謝罪に来たのである。今まで我が子として育ててきたものを、恐ろしいと思ってしまうなど、自分こそ人間の心を持たぬ卑しきものだと、そう戒めて。
それらを聞き――ヘーラーは深いため息をついた。
「ティートは? 今どこに?」
「かつてのあの子の部屋に。お母様があのころのままにしていたから、私がそこへ通したのよ」
「ありがとう……」
ヘーラーは、その場所へ足を向けた。
二階の日当たりの良い部屋が、かつてのティートロースの部屋だった。ノックをしてヘーラーが中へ入ると、まだ十二歳の少年が、目の周りの涙を拭きながら、振り返った。
「……ヘーラー様ァ……」
そうしていると、思い出す。
この子は、あまりにも亡き母親にそっくりだった。
あの悲しい目にあわせてしまったまま、死なせてしまった、可哀想な侍女に……。
ヘーラーは、ティートロースに向かって両手を広げた。
それを見て、すぐにも彼は飛びついてきた。
「僕……僕、お母様に嫌われてしまった。僕が、弟を怪我させたから……」
「……そなたのせいではない。そなたは、弟を助けようとしただけであろう」
「でも……」
なおも泣きじゃくるティートロースを、ヘーラーは力いっぱい抱きしめてあげた。-
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from: エリスさん
2008年03月17日 15時50分19秒
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とりあえず、終了
「禁断の花園」の連載は、ここまでです。
ここまでが、本来「秘めし想いを……」というタイトルで書いていた頃の序章だったんです。
この後、ヘーラーが秘密裏に出産したマリーターの物語へと突入します。
一応説明しますと、
父親が誰なのか分からないまま出産したヘーラーは、その女児をキオーネーの母樹・ダフネーの中に隠します。ダフネーはヘーラーへの恩から、その子を自分が産んだように見せかけるのです。
こうして「キオーネーの妹」としてマリーターは育ちます。けれど、容姿はヘーラーにそっくりで、ゼウスはマリーターが成長するごとにその出生を疑うようになるのです。
後にカナトスの泉の番人となるマリーターは、その頃、ゼウスの息子・ティートロースと出会い、恋に落ちます。けれどゼウスは二人の仲を許さず、マリーターに無実の罪を着せて、殺してしまおうとするのです。
その裁判の時、ヘーラーがマリーターは自分の子であることを明かしてしまいます。
ヘーラーはマリーターと一緒にある森へと行きました。そこは、ヘーラーが出奔していた間、人間の娘に化けて住んでいたところでした。そこで、自分が人間の男に犯されてマリーターを妊娠したことを告白するのです。
それを隠れて聞いていたゼウスは、その人間の男が自分が化けていた姿だったことに気づき、すべてがまるく収まるのです。
簡単に説明すると、こうゆうストーリーになるはずでした。
結局悪いのはゼウスなんですね。
しかしこの数日、濡れ場ばっかり書いていたんで、自分でもだいぶ気合を入れ過ぎました。想像だけじゃ書けそうにもなかったんで、レズ動画を配信しているサイトにもアクセスして、勉強させていただきました……でもあの動きを文章にするのは難しいね。ぜんぜん表現し切れていないような気がする。
さて、今後の予定ですが。
「泉が銀色に輝く」を執筆する前に、短編を二つばかり書こうかと思ってます。いきなりマリーターのその後を書くよりはいいかな? と思いまして。
では次の連載をお待ちください。-
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from: エリスさん
2008年03月17日 15時35分13秒
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「禁断の花園・37」
エリスが歩いていった方に、ルシーターは寝返りを打った。
「我が君!」
エリスはテーブルの上にある神酒の瓶を手に取っていた。
「心配するな! 抱いてやる!……礼だからな」
そして杯になみなみと注ぐと、あおるように神酒を飲み干した。
「……どうして……」
エリスは音を立てて、テーブルに杯を置いた。
「我が君?」
「どうして男なんだ! 私を愛してくれているのなら、そなたとて同性愛者だろう! それなのに、なぜ……なぜ、男と共に居ようとする」
「我が君……」
「確かに、そなた一人を愛してはやれない」
エリスはそう言うと、ルシーターの方を向いた。
「私は不実な女かもしれない。キオーネーがいたころなら、彼女一人で良かったのに。今は……だからと言って、私は恋人になってくれた女性を蔑ろにした覚えはない。真心をこめて接しているつもりだ。それでも不満なのか……私が女だから、子供を産ませることもできない。恋の形見を残してやれない私では、不満だと言うのか」
「不満なのではありません、不安なのです。私は……私たち精霊や人間は、いつかは年老いて死んでいく身」
「だから、男と添って、家族を作ることを望むと?」
「それが女として生まれた一番の喜び」
「黙れ!」
エリスはテーブルを叩いた。――しばらくの沈黙が続き、そして、またエリスが口を開いた。
「男なんか、どこがいい。……ゼウスを見ろ。この世で最高の女性を手に入れても、何十、何百もの愛人を作り、情欲に溺れている。しかもそれらの女性のほとんどは暴力によって手に入れたものだ。今回のペルセポネーの一件がいい例だろう。そうゆう男が多いんだ、実際に! そんな生き物に、なぜ私は愛するものを殺されなければならなかったのか……」
「エリス様……」
「どちらがいい……たとえ禁忌だとしても、誠意ある愛され方をするのと、正常の男女愛と呼ばれながらも男に陵辱され続けるのと、どちらが正しい生き方だ!」
ルシーターは寝台から降りると、エリスの体を抱きしめた。
「分かっております、正しいのは我が君だと。でも、すべての男性がそうだと、どうかお思いにならないで。男性になって誠実なお方はおります。現に、あなた様の親友のアレース様はそうではありませんか……」
「あれは……珍しいんだ」
「他にも、きっとおりますわ。女性に対して誠意を持って接することのできる男性が。だから、すべての男性に不信感を持たないで」
「……ルシーター……」
エリスは、ギュッとルシーターを抱きしめた。
「私が、あなた様の傍を辞すのは、まだ大分先の話になりますわ、我が君」
ルシーターはそう言って、エリスを見上げた。
「それまで、あの少年が誠実な男性に育つように、見守ることをお許しください。あなた様が認めることのできる、立派な男性に育てて見せます」
「……わかった。その時になったら、暇(いとま)をやる。そなたが見込んだ少年だ。私がケチのつける隙間もないほど完璧な男に育ててみせろ。それまでは……」
エリスはルシーターの唇に、優しいキスをした。
「私を癒してくれ、ルシーター」
「はい、我が君」
エリスはルシーターを抱き上げると、再び寝台へと上がった。
終。icon
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from: エリスさん
2008年03月17日 14時58分36秒
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「禁断の花園・36」
「このことがヘーラー様に知れたら……」
カナトスの泉の番人・ルシーターは、両手で顔を覆いながら、恐ろしさに震えていた。
「だから、母君に知られぬうちに事を終わらそうとしているのだ」
エリスはそう言うと、自身の肩のフィビュラを外しにかかった。
ここは、ルシーターの小屋だった。
「我が君……」
「そなたも脱げ。それとも、私が脱がすのがいいか?」
腰帯を解くと、そのままキトンはエリスの後元に滑り落ちた。男勝りな性格とは不釣合いな、豊満な肢体が現れる。
その姿を見て、ルシーターは苦笑いをした。
「口止めのおつもりですか? 我が君」
「協力してくれるそなたに、お礼をするだけだ」
するとルシーターの笑みが、満足の笑みに変わった。
「確かに、いま私が一番に欲しているのは、あなた様の御肌(みはだ)。なにしろ、この三ヶ月、お渡りがなかったのですから」
ルシーターはそう言うと、キトンを脱ぎ、エリスの肢体に絡み付いて、彼女の胸に顔を埋めた……が、すぐにその顔を離してしまう。
「もう、エイレイテュイア様とは秘め初めがお済みなのですね」
ルシーターはそう言うと、エリスの胸の谷間の奥にある痣に、そっと右手の人差し指を添えた。
「……不満か?」
「いいえ。所詮は愛人の一人であることぐらい、理解しておりますもの」
「減らず口を叩く女だ……」
エリスはルシーターを寝台の上に突き飛ばした。
そのまま横になったルシーターの上に、覆いかぶさると、今度はルシーターの胸にエリスが顔を埋めた。
その時、エリスも気づいた。
「人間の男の匂いがする……」
その声は怒っている風ではなかった。すると、ルシーターはクスクスと笑ってこう言った。
「あなた様のこと、その人間の男が、年端も行かぬ少年であることもお気づきでございましょう?」
エリスは体を起こすと、ルシーターを見下ろしながら言った。
「泊めたのか? ここに」
「森で迷子になっていたのを、保護いたしましたの。昨日一晩だけ、泊めてあげましたわ」
「この寝台で? 私と愛を睦みあっている、この神聖な場所に寝かせたのか。人間の子供なんかを」
「夜の闇に震えておりましたの。だから……」
ルシーターは両腕を伸ばして、エリスの顔を自身の胸元に引き寄せた。
「こうして抱きしめて、勇気付け、慰めてあげましたのよ」
「なんて奴だ」
エリスはルシーターの左胸に、噛み付いた。
「痛いッ」
「お仕置きだ。私以外の者を受け入れたから」
「まあ。それ以上のことは何もしませんでしたのに。信じてくださいませんの?」
「誤魔化すな。そなた、その少年に惚れたであろう」
「何を……」
「そなたの心ぐらい、私にはお見通しだ。実際、オーラが微妙に揺れているのを感じる」
すると、ルシーターはため息をついた。
「……いつか、あなた様に捨てられてしまうぐらいなら、この少年と共に生きてみたいと、考えたことは事実です」
「ルシーター……」
「我が君……あなた様は、いつまでも亡くなられた奥方を忘れられない方ですから、いつかは、仮初めの私のことなど……」
その先の言葉を言わせないように、エリスは今度は乳首に噛み付いてみせた。
ルシーターが痛がっているのに、しばらくそのまま離そうとしない。
「我が君、やめて!」
ルシーターが悲鳴をあげたことで、ようやくエリスの歯がそこから離れた。
「減らず口を叩くからだ……」
血が出ていた。
エリスはその上に左手を当てると、「治れ……」と言霊をかけて、元に戻してやった。
そして、ルシーターから離れて、寝台を降りた。icon
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from: エリスさん
2008年03月17日 14時21分18秒
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「禁断の花園・35」
「まあ! なんて素敵なところ!」
ペルセポネーは両手を握り合わせて感動していた。
目の前に広がるのは、緑の森に囲まれた泉。その泉は太陽の光を受けて、まるで自ら輝いているように金色に煌めいていた。
ペルセポネーの喜びに気を良くしたように、エイレイテュイアは言った。
「いいでしょう? 私の秘密の場所なのよ」
――そこはカナトスの泉だった。ペルセポネーを純潔に戻すために、エイレイテュイアたちは嘘をついて連れ出したのである。
恐怖の記憶をすっかり忘れたペルセポネーは、なんの疑いもなく異母姉たちに付いてきた。
「この泉はね、病気の治癒に効果があるの。あと、美容効果もね」
エイレイテュイアはそう言うと、率先してキトン(ギリシアの民族衣装)を脱ぎ始めた。
「さあ、ペルセポネーも遠慮しないで」
ヘーベーも続けてキトンを脱ぐので、恥じらいながらもペルセポネーはキトンを脱ぎ、泉の中へ入っていった。
「うわっ、冷たくて気持ちがいい……」
足をつけただけなのに、ペルセポネーは大はしゃぎだった。
「もっと奥までいらっしゃい。肩まで浸かれるぐらいの深さまで」
エイレイテュイアの手招きに、ペルセポネーは転ばないようにゆっくりと歩いていき、彼女のそばで身をかがめた。
その途端、あっ、とペルセポネーは声を漏らした。
「どう?」
エイレイテュイアが聞くと、
「なんだか、お腹の中が引き締まったような感覚があったわ」
「それはきっと、胃腸が弱っていたんだと思うわ。それが今、治ったのよ」
「ええ、きっとそうね、お姉様……でも不思議、どうして私、十ヶ月も眠っていたのかしら」
記憶を消したのはいいが、月日が経っていることを誤魔化すことはできず、ペルセポネーはずっと眠っていたことにされたのである。
「ペルセポネーは意識を失くされる前、ハーデース様と野遊びをなさっていたそうですね」
そう言ったのはエリスだった――エリスは泉には入らず、岸辺で精霊の少女と一緒にいた。
「ええ、そうなの。綺麗な花を見つけて、叔父様に摘んできてもらいに行ったところまでは覚えているのよ……」
「ハーデース様は油断して、足を滑らせたと聞いていますが」
「そうだったみたいね。そこは覚えていないのだけど、叔父様がそうおっしゃっていたわ」
「ペルセポネーはその時、愛する恋人の危機に失神してしまわれた。もしかしたらその一瞬で、永遠に会えなくなってしまうかもしれない……その恐怖が、あなたを長い眠りにつかせたのですよ」
「そう……なのかしら?」
「つまりこうゆうことね」と、ヘーベーが言った。「それだけペルセポネーは、ハーデース叔父様を熱愛しているってことよ」
「やだ、ヘーベー姉様ったら!」
ペルセポネーが恥ずかしがっている間に、エリスは精霊の少女を連れて歩き出した。
それに気づいたペルセポネーは、
「あら、エリスは入らないの?」
「いいのよ。エリスお姉様には野暮用があるの」
と、ヘーベーが言うと、エイレイテュイアが面白くなさそううな表情をした。
「あの子はなんだったの?」
「私たちが雇っている、この泉の番人。そして、エリスお姉様の恋人」
「ああ、そうゆうことなの」
新たな来訪者が来たのは、そんな時だった。
「まあ、こんなところに、こんな綺麗な泉があっただなんて」
月と狩猟の女神・アルテミスだった。そばには従者らしい女も居る。
「あら! アルテミス」
と声を掛けたのはエイレイテュイアだった。「狩りの帰り?」
「はい、エイレイテュイア様。だけど今日はいい獲物が見つからなくて、代わりに、ちょっと転んで膝を擦りむいてしまいましたの。差しさわりなければ、ここで膝を洗っていっても構いませんか?」
「だったらちょうどいいわ。この泉は治癒の泉なの。あなたも水浴びをしていきなさいな」
「よろしいのですか?」
「どうぞ。さあ、あなたもキトンを脱いで」
アルテミスは遠慮なくキトンを脱いで、従者の女に手渡した。
そして泉に入ってくると、彼女もペルセポネーのように声をあげた。
「大丈夫?」
ペルセポネーに聞かれて、アルテミスは恥ずかしそうに答えた。
「はい。ちょっと……他にも擦り傷があったようで、沁みましたの」
「だったら、もう大丈夫よ」
とエイレイテュイアは言って、アルテミスの方へ近づいた。「この泉に浸かれば、たちまち治ってしまうから」
そして、水の中でアルテミスの手をとったエイレイテュイアは、ペルセポネーに気づかれないように耳打ちをするのだった。
「気をつけなさい……」
「すみません……」
岸にいる従者は、それまで緊張した面持ちをしていたが、ようやく安堵の息をついたのだった。icon
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