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from: エリスさん
2008年06月27日 15時06分22秒
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「信じていない人たちへ・2」
> 写真右端の【アクセス数】にご注目ください。
拡大したのが、こちら。
昨日のアクセス数・605を、今日はもうこの時間で超えてるでしょ?
更新してる最中に超えたんです。
同僚の中には、
「どうせ大したことない」
とか言ってる人、いるらしいけど。私だってそれなりに頑張ってるんだってこと、いい加減認めてほしいものです。
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from: エリスさん
2008年06月27日 15時03分23秒
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信じていない人たちへ
このサークルがそんなにアクセス数がある = 読者がいる ということを信じていない皆さんに、今日は証拠をお見せします。
まず、左の写真がたった今「泉が銀色に輝く・9」をアップし終えたばかりの画面です。
写真右端の【アクセス数】にご注目ください。-
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from: エリスさん
2008年06月27日 14時56分37秒
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「泉が銀色に輝く・9」
「では、もう少し……もう少し、お待ちください。きっと、この私がマリーターの病を治してみせますわ」
ある日、突然に精神病にかかってしまったマリーター。彼女の病は何者かに術を掛けられてのものだった。
だがその術は他人では解けないように強固に掛っていて、ヘーラーも手を焼いていたのだ。
マリーターは時折、
「泉が銀色に輝いている」
「月が泣いている」
「月が押し寄せてくる」
などと言って、怖がったり怒ったりする。それらから、どうも相手は月の力を利用しているらしい、ということはわかったが、このオリュンポスに月の力を利用した術をかける神など数えきれないほどいるのだ。
残る手立ては、マリーター本人が正気に戻ろうと、強い意志を持つことなのだが……。
『大丈夫。あの子はそんな弱い子ではない。これまでの苦難があの子を強くしてくれているはずなのだ。いや、あの子だけに頼ってもいけない。私があの子を治す、そういうつもりでいなければ』
マリーターの変わり果てた姿を見るたびに、ヘーラーはそう思わずにはいられなかった。
第 二 章
シニアポネーは、だいぶ年の離れた姉と二人暮らしをしていた。
その姉・ミレウーサとアルテミスとが本当の乳姉妹になる。
アルテミスの母・レートーは、アルテミスとアポローンを続けざまに産んだので、そもそもが華奢な体格なのに二人もいっぺんに乳をやれる体力がなかった。そのため、近くで体の丈夫な精霊が女の子を産んだことを聞くと、自らその土地へ赴いて、アルテミスの乳母になってくれるように頼んだのである。それが、メリクーターだった。
メリクーターがレートーに仕えるようになって、ミレウーサもアルテミスと一緒に育つことになり、アルテミスから一番信頼される側近として、他の従者ては一線を画していた。
ある日、朝食の時にミレウーサが言った。
「シニア、最近よく王后陛下の社殿へ行っているようだけど」
「行ってるわよ。いけない? 姉さん」
「いけなくはないけど……あなたはいったいどなたの従者なのか、ちゃんと自覚してる?」
「してますとも。今日だって、これからアルテミス様の湯浴みのお世話をしに行くのよ」
「まあ、あなたのことだから、アルテミス様に無礼なことはしないだろうけど……」
「心配しなくても大丈夫よ、姉さん。最近はマリーターのこともあって、それで頻繁に行っているだけなの。彼女の病が治れば、そんなには行かなくなると思うから」
「それはどうでしょうね。あなたの王后びいきは昔からだったから」
「仕方ないでしょ。ヘーラー様は私を取り上げてくださった方なんですもの」
「とにかく、アルテミス様を蔑ろにすることだけは許しませんからね、気をつけてね」
「ハァイ!」
二人は父親が違う姉妹だった。
ミレウーサの父親は人間で、小さな国の王子だったそうだが、ミレウーサの顔を見ることもなく病死したそうだ。
シニアポネーはそれから二百年以上もたってから生まれている。
歳も大分離れているうえに、背格好も全然違うので、一見すると姉妹には見えないのだが、それでも二人はとても仲が良かった。長年暮らしていれば、血のつながりなど、どうでもいいのかもしれない。icon
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from: エリスさん
2008年06月27日 13時54分26秒
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「泉が銀色に輝く・8」
一方、ヘーラーとゼウスの方は……。
「若いといことはそれだけで良いものだ。あの者であろう? おまえが自分付きの侍女ににしたいと言っていたのは」
ゼウスがヘーラーに聞くと、
「侍女というよりは、娘のように可愛がり、そばに置きたいのです。気立てがとても良いのですよ」
「では、わたしがアルテミスに言って差し出させようか?」
「いいえ、それには及びません。シニアは自分の手でこの御屋に迎え入れます。それに、できる限り権力にものを言わせるような真似は、したくないのです」
「今更ではないのか? おまえは、アルテミスとアポローンに対しては、権力行使など何度も使ってきただろう」
「それとは事情が違います。あれらは皆、あの二人が私を蔑ろにしてきた事への報いです。けれどシニアのことは、双方納得した上で譲ってもらいたいと思います。シニアのためにも」
「そうか、では好きにしたら良い」
また、会話が途切れてしまって、重苦しい雰囲気が漂ってしまった。
何か用があってゼウスが来たことは間違いないのだが、言い出しにくいことなのだろう。
「……あなた……」
「いや、ちょっとな……実は、ティートロースのことなのだが」
再び沈黙が続いた。
「マリーターの病は……気狂いは、まだ治りそうには……」
ヘーラーが言うと、それは分かっている、と言いたげにゼウスは溜め息をついた。
「しかし、良い歳をして妻も娶らず愛人も持たず、それではティートロースが哀れだ。治る見込みがないのなら、いっそのこと……」
「ティートロースに他の妻をとおっしゃるのですか!?」
「妻とまではいかぬが、愛人の一人ぐらいは……」
「なりません! 私は反対です! ティートロースに――マリーターの婚約者に他の女など、もっての外です!」
「しかしヘーラー、このまま独身でいさせるわけにも」
「ティートロースならば耐えてくれます。あの子を教育したのは私です! それとも、あなたの御子だから見境なく他の女でも手を出せる男だとでもお思いですか? ゼウス、そうではないでしょう? あなただって分かっていらっしゃるはず。ティートロースがどんなに一途にマリーターを愛しているか。あの二人の絆がどんなに深いかを」
「わかっている、しかし」
「あなたはマリーターが可愛くはないのですか!! あの子がどんな経緯で生まれ、どんな境遇で育ったか、よくご存知のはずなのに、あの子に幸せな家庭を持たせてやりたいとは思わないのですかッ」
「思っているとも、思っているが……」
「ティートロースに愛人など持たせては、あの子は私と同じ苦しみを味わうことになるではありませんか!!」
またしても苦しい沈黙が漂う……。
「……わかってくれ、ヘーラー。男には男の立場というものがあるのだ。一生涯、純潔を通すと誓いをたてた者ならばともかく、神であり王族であるティートロースが、良い歳で妻を持たぬというのは、あらぬ疑いを持たれ、一人前の男神として認めてもらえぬ。もちろん、マリーターのことは可愛い。……長い間、あれのことは、自分の娘とは知らなかったとは言え、ひどい目に合せてしまった。だからその分、償わなければならぬと思っている。ヘーラーよ、娘の幸せを願わぬ親がいようか! だからこそ、その婚約者であるティートロースにあらぬ噂など持たせてはならないのだ!」icon
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from: エリスさん
2008年06月23日 20時59分00秒
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「Re:2サークル共通カキコ 「そんな前だったっけ?!」」
「早く『高飛び込み』(本当のタイトルは違います)の上映、終わってくれないかな」
私がそうぼやいたら、後輩にこう馬鹿にされた。
「エリスさん、うぶなんですね」
まだまだ分かってないね、この子は。私の場合、うぶとかの問題ではなく、嗜好の違いだよ。
毎週木曜日に更新される百合動画サイトを、楽しみにしているような人間を、うぶとか言わんだろ(~o~)キャハハ
まだ新人さん達には、私がバイだってことを誰も教えていないらしい。
知ったときの驚きが見物だね。(^.^)bicon
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from: エリスさん
2008年06月22日 19時19分11秒
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「Re:2サークル共通カキコ 「そんな前だったっけ?!」」
>好きな男の裸も見られないぐらいだから……
>今じゃどうでもいい。
「男の裸、見られるようになったんだ」(~o~)ケラケラ
ちっがァ〜う!!
そうゆう解釈しないでくれ!
昔はそんな風に悩んでいたけど、今は男の裸を見られない自分を「自分らしさ」として、ちゃんと受けとめてるって意味です。
でもね、好きな男性の裸は見られるようになった、というのは堂本光一と松本潤と風間俊介で実証済みです(^o^;
好きでもない男は駄目ですけど。
真矢みき見たさに「絶対彼氏」を毎週見てますが、速水もこみちが脱いでるシーンは一秒も見ないで目を背けちゃいますから。
でも私はそれでいいんだと思います。これが私なんだから。
もう一個補足すると、百合小説ばっかり書いてる私も、個性だと開き直ってます。icon
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from: エリスさん
2008年06月21日 22時18分37秒
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パルテノン神殿のアテーナーは、
ヘーパイストスに逢えない日々に、今の私と同じ心境でいたんだろうか?
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from: エリスさん
2008年06月20日 19時57分45秒
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2サークル共通カキコ 「そんな前だったっけ?!」
今、「神話読書会」では〈泉が銀色に輝く〉を、「恋愛小説発表会」では〈箱庭〉を連載していますが、
ワープロに入っている〈泉が〜〉を出力しながら、
KinKiのDVDを見、
さらに、〈箱庭〉が収録されている同人誌〈気まぐれロマネスク Vol.6〉を確認する。
という、オタクにありがちな、三つのことを同時にやる、という日常茶飯事をこなしていたところ、あることで手が止まった。
〈気まぐれロマネスク Vol.6〉の奥付の日にちが、平成10年5月4日だった。
「十年前!?」
そんな前だったっけ?
十年ったら、確かキンキも十周年。そして見ているDVDは、それを記念してのライブ――「Harmony of December」で光一くんと剛くんがラブラブしている、あれです。
なんという偶然なんだ。
『この世に偶然なんかないわ。あるのは必然だけ』
って、×××HOLiC でユウコさんが言ってましたが。
〈気まぐれロマネスク Vol.6〉の執筆後記には、当時の私が〈箱庭〉を書きたくなった理由として、とにかく堂本光一をモデルに一本書きたくなった、と言い訳してましたけど、本当の理由は、私と、私が片思いしていた男性をアッサリ振って、他の男と結婚した『お姉様』に、私の当時の心境を見てもらいたかったんです。
考えてみたら、〈泉が〜〉の方なんか、原型を書いたのはもっと前になるんだなァ。
文化学院で私と同期だった読者メンバーは覚えてるかな? 当時、私は〈Olympos神々の御座シリーズ〉というのを執筆していて、〈泉が〜〉はその中の〈その他の神々編〉の一つだった。当時のは今のと大分設定が違っているけど。
ちなみに、「罪ゆえに〜」を当時のタイトルで言うと、〈Olympos神々の御座シリーズ 不和女神編 罪ゆえに天駆け地に帰す〉と、長くなる(^o^;
執筆後記には、当時の私の悩みなんかも書いてあった。
百合小説ばっかり書いてしまって、まともな男女の恋愛が書けなくなってしまった。
とか。
好きになった男性の裸すら見られないぐらいだから、濡れ場の表現が甘すぎる。
とか。
異父姉がいまだに母に会いに来れないのは、私のせいだ。
とか。――今じゃ全部どうでも良くなってしまったことを、えらい深刻に悩んでいたことが分かる。
十年って人を変えるのね。
そりゃそうか。私はともかく、当時は中性の美のど真ん中だった光ちゃんが、もう三十路一歩手前の艶男になってるんだから(^.^)b-
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from: エリスさん
2008年06月19日 15時35分46秒
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「泉が銀色に輝く・7」
ヘーベーが慌てながら入ってきたのは、そんな時だった。
「お母様! お父様がいらしたわ!」
「ゼウスが? まあ、珍しいこと」
神王ゼウスが来ると聞いて、シニアポネーは緊張した。まだ会ったことがなかったのだ。既に足音が近づいている。すぐにここへ入ってくるのだと気付いた彼女は、椅子から降りて床に跪(ひざまず)いた。
それにしても、ここは本宅ではないから、ゼウスは滅多に来ないと聞いていたのに。
「邪魔するぞ、ヘーラー」
と、ゼウスは中へ入ってきた。
「いらっしゃいませ、あなた」
シニアポネーはその時、ヘーラー王后の言う“あなた”が妙に艶があって、他の言葉とは違う雰囲気を持つことに気付いた。どう違うのかと聞かれると答えようがないが……。
「これはまた、ヘーラー、おまえの美しさは見慣れているはずなのに、随分とまた美しくなったではないか。それはキトンのせいか、それともカナトスの泉のおかげかな?」
「およしになって、あなた。シニアがおりますのに」
シニアポネーは下を向いていたので、二人が何をしていたかは分からなかったが、一瞬だけヘーラーが色っぽい溜め息を付いたので、だいたいの察しはついた。
「シニア? おお、これは気付かなかった。すまん、すまん」
「初めてお目に掛かります、神王陛下。シニアポネーにございます」
シニアポネーは床を見つめたまま挨拶をしたので、ゼウスは、
「苦しゅうない、顔を見せよ」と言った。
「はい」と答えてシニアポネーが顔を上げると、彼女は少し驚いてしまった。ゼウスはヘーラーの実弟であるのに、ヘーラーよりも年上に見えた。しかも口の周りや顎などに髭をはやしているから、余計にそう見えるのである。
『ヘーラー様の弟御(おとうとご)だなんて、何かの間違いではないの?』
シニアポネーがそう思ったのも無理はない。
「そちがシニアポネーか。アルテミスの乳母の子というのは。なるほど、娘たちの言うとおり、なかなかの美人だな」
ゼウスが言うと、ヘーラーがキッと目尻を上げた。
「あなた!」
「そういう意味ではない、誤解するな」
「ええ、是非そうあって欲しいものですわ。でも仮に、シニアに手を出したら、絶対に許しませんよ!」
「おいおい、純潔を守るアルテミスの従者になど……」
「カリストー(大熊座になった娘)とのことは、何年前でございましたか?」
しばらくの沈黙。
シニアポネーは、吹き出してしまった。
「お許しください、つい……」
そう言いながらも、笑いはなかなか止まらなかった。
『これはまた、神界の王ともあろう御方が、流石のヘーラー様には適わぬとは……ヘーラー様とはなんとお強い、尊敬すべき方でございましょう』
そう思いつつ、ようやく笑いを止めることができて、重ね重ねお詫びしたのだった。
「良い良い。わたしもしばらくぶりに若い娘の笑い声を聞けて、嬉しかったぞ。今度は本邸の方へも来るが良いぞ。ところで、夫婦内輪の話がしたいのだがな」
「あ、ハイ。失礼致しました」
「ではシニア」と、ヘーベーが言った。「私の部屋へいらっしゃいな。お姉様方もいらしてるから、お話しましょ」
「はい、そうさせていただきます。それでは、王后陛下」
「帰るではないぞ。あとで夕食を一緒にな」
「はい、陛下。失礼致します」
シニアポネーは深々と頭を下げてから退出していった。そしてヘーベーに、
「その前に、寄りたいところがあるのですが、宜しいですか?」
するとヘーベーはすぐに察して、悲しげに微笑んだ。
「マリーターのところなら、駄目よ。あの子、今、眠っているし。それに、あなたに会ってもきっと、分からないと思うわ」
「わかってます。それでも、顔だけでも見ていきたいのです」
「……いいわ。それじゃ、行きましょう」icon
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2008年06月19日 14時29分02秒
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「泉が銀色に輝く・6」
それに、アルテミスは自身が処女神である誓いを立ててからは、従者たちにもそれを強要している。生涯純潔という生き方も尊くて、女ならば憧れるだろうが、シニアポネーはどちらかと言うと家庭をを持つことを望んでいた。心から頼れる人に嫁ぎ、子を産み育て、いわゆる俗世の生活がしたかったのだ。その点では、沢山の子供と孫に囲まれたヘーラー王后の生き方は理想的である。
「そなたの母も厄介な遺言を残したものだ。いくら自分がアルテミスの乳母だったからと言って、自分の娘が本当は何を欲しているのか、気付かなかったのであろうか? シニア、そなたもいつか恋を知るだろう。けれどアルテミスのところにいる限り、恋は同時に破滅になってしまう」
「はい……聞いております。恋を知ってしまったがために、死んでいった先輩たちのことを。なのに、母だけが、アルテミス様が処女の誓いを立てた後も、子を産むことを許されたのです」
「そうであったな。……あれから、もう十八年もたつのだな」
シニアポネーの母・メリクーターはその日、アルテミスの母・レートーに呼ばれて女神の社殿へ向かっていた最中だった。
身重であった彼女は、まだ産み月には一ヶ月早いというのに、鹿車で空を駆けていたその時に、急に産気づいてしまった。それで、とりあえず地上へ降りることにしたのである。
そこが現在シニアポネーが住むエウボイア島なのだが、運悪くと言おうか、その島はいろいろな女神が分割して支配している土地で、ちょうど彼女が降り立った場所はヘーラーの領地だった。
ヘーラーが夫の愛人であるレートーのことを良く思っていないことを――そのためにアルテミスとアポローンが生まれる際には妨害してきたことも知っていたメリクーターは、なんとかして隣にあるアルテミスの領地まで行こうと試みた。が、陣痛が納まる時間はあまりにも短く、少し走っては止まり、また走っては止まるの繰り返しになってしまう。
そこへ、ヘーラーが現れたのだ。
「そなたが私を恐れる必要などない。そなたは、不倫や強奪ではなく、正しき愛によってその子を宿したのであろう」
ヘーラーはそう言って、痛みを和らげる術をかけてやりながら、お産の助けをしてやったのだ。
こうして生まれたのがシニアポネーである。
月足らずで生まれたという心配もあったため、ヘーラーはそれからも時折シニアポネーの様子を見に行っていた。それでシニアポネーはヘーラーを慕うようになったのである。
「しかしそなたは、月足らずで未熟児になるどころか、精霊とは思えないほど背も高くなって、丈夫に育ってくれた。何よりも美しい。母親のメリクーターとはあまり似ていないところを見ると、父親似なのであろうな。きっと、その銀髪も」
「そうかもしれません……父には、会ったことがございませんが
」
「何か事情があるらしい、ということは私も感じていたが……しかし、親が誰であろうと、そなたはそなただ。関係ない。それにしても惜しいこと。他の女神に仕えているのなら、良い殿御を世話してやりたいのに」
するとシニアポネーはニコッと笑うと、
「ありがとうございます。けれど、こうしてご機嫌伺いに上がることは許されているのですから、これからもどうぞ、私のことをお目に掛けてくださいませ」icon
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