サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。
-
from: エリスさん
2009年02月27日 05時34分37秒
-
from: エリスさん
2009年02月20日 15時09分19秒
icon
「封印が解ける日・12」
「約束するわ。生まれてくる子は絶対に、お父様のような節操なしの性欲の虜(とりこ)にはしないって」
神王アテーナーは真剣な面持ちでそう言った。
「ありがとう、お姉様」
ペルセポネーがそう言ったとき、ちょうどテーブルに紅茶が運ばれてきた。
「アールグレイを水出しにしたものよ。試してみて」
運んできたのは、こちらもお腹が大きいエイレイテュイアだった。
「アールグレイ……を水出し? お湯じゃなくて?」
「うちの人ったら日本で食道楽になっちゃったらしくて、色んなお茶を取り寄せては、いろんな飲み方をするのよ。それがまた美味しいものだから、悔しいけど私も真似をしているの」
「ほう? あのエリスが……」
と、ハーデースも紅茶のグラスを手に持ちながら言った――なにせエリスと言えば、動くのが面倒くさいからと言って食事を抜くような、変な所で欲がない神だったことをハーデースも聞いているからである。
「この間は“オゾウニ”ってものをご馳走になったのよ。ペルセポネー、“オゾウニ”って知ってる?」
「なんですの? 日本のお料理?」
「そうなんですって。新年になると日本人は誰もがそれを食べるんですって。なんでもね、米から作った“オモチ”ってものを、青菜や鶏肉の入ったスープに入れて食べるのだけど、それがとっても美味しかったの」
すると、少し離れたところから声がした。
「よろしかったらまた献上いたしますよ、陛下」
エリスだった。第二妃のキオーネーも一緒である。
――ここはアルゴス社殿だった。いつもは女王としてオリュンポス社殿で公務を執っているアテーナーだったが、休息を取りたいときはここへ来て、姉妹たちと語らいながらお茶を飲むのが日課になっていた。
エリスは淹れたばかりのアップルとローズヒップのフレーバーティーをカップに入れて、
「これもお勧めですよ」
と、ペルセポネーに差し出した。
「お腹のお子様のためにも、栄養を十分にとって、リラックスすることも心がけないといけませんよ、ペルセポネー」
「ありがとう、エリス。じゃあ、私にも日本料理を教えてね。アドーニスも日本での生活が長かったから、きっと喜ぶと思うわ」
「ええ、もちろん……」
エリスはそういって、少し表情を曇らせた。どうしたの? とペルセポネーが聞くと、エリスは頭を下げてきた。
「すみませんでした。あの時、わたしが未熟だったばっかりに……」
ペルセポネーが正気を失っていた時、エリスは彼女の深層心理まで降りていった。その時、ペルセポネーを現実に引き戻すには、辛い記憶とともに、その記憶につながってしまう知識も忘れさせるしかなかった。その結果、ペルセポネーはこれまで子供を作ることができなかったのである。
「わたしがもっと違う方法をとっていれば、アドーニスはもっと早く、お二人の実子として転生できていたものを」
「気に病むことはないよ、エリス。あの時、そなたとヒュプノス、そしてレーテーは、やれるだけのことはやってくれたのだからね。それに、実子ではなかったが、これまでのアドーニスとの生活も楽しかった。血ではない、心でつながった親子というのもあるのだと、わたしたち夫婦は知ることができたのだから」
「そうよエリス」と、ペルセポネーは言った。「あなたは良くやってくれたわ。あの時は、あなたが私のために危険を冒してまでやってくれたことなのに、忘れてしまっていたからお礼も言えなかった。今改めてお礼を言うわ。ありがとう、エリス、助けてくれて」
「もったいないお言葉です……」
「実はね」と、アテーナーが口を開く。「このことに関しては、私もエリスに感謝しているのよ」
「陛下が? なぜです」
「ハーデース叔父様のことよ。先の聖戦で、先代の神王を初めとする多くの神々が、地球を再生するために、その不死の力を解放して亡くなられた。あの時、本当ならハーデース叔父様も殉死しなければならなかったのに、まだ後継者がいないことを理由に、我らが父ゼウスから、ここに残るように諭された。もしあの時、叔父様に後継者――つまり実子がいたら、神王になったばかりの私には心強い相談役がいなかったことになるもの」
アテーナーはそう言うと、照れたようにウィンクをしてみせた。
「確かに、これも天の采配というものですかね」
ハーデースは言うと、エリスがペルセポネーに淹れたアップルローズヒップティーを取って、一口飲んだ。
「あっ、本当に美味しいね、これ」
「まだありますから、ハーデース様にもお淹れしますよ」
とエリスが言うと、ペルセポネーが片手を挙げて止めた。
「いいのよ、私達はこのカップのを分け合って飲むから。いつもそうしているのよ。ねえ? あなた」
「そうだね」と、ハーデースがペルセポネーの口元にカップを持っていくと、そのまま飲ませてあげるのだった。
「あらまあ」と、アテーナーは手で扇ぐ動作を見せた。「仲のおよろしいこと」
その一言で皆が笑顔になった。icon
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: エリスさん
2009年02月20日 12時47分16秒
icon
「封印が解ける日・11」
ペルセポネーは近くにあったシーツを引き寄せて、体に巻きつけながら言った。
「だって、あと三ヶ月もすればお父様――ゼウスは復活するのよ」
「アテーナー神王の腹の中にいる子供のことか?」
「ええ……私にも分かるの。お姉様のお腹にいる御子は、間違いなくゼウスの生まれ変わり。その子が生まれてくれば、私は嫌でもその子を見るたびに思い出す。あの時のおぞましさを。そして、いつ襲われるか分からない恐怖に怯えながら、生きていかなければならないんだわ」
そう言って、指先が震えだすのを必死に押さえ込もうと、ペルセポネーは両手を握り合わせた。
「ペルセポネー……」
ハーデースはそんな妻の手をしっかりと握った。
「そなたも冥界の女王なら知っているはずだ。魂は、生まれ変わるごとに違う人生を生きる。同じ魂だからと言って、前世とまったく同じ生き方をするとは限らないのだよ。性格も、性別すら変わるんだ。それはゼウスだって同じことだよ」
「……変わるかしら? あの魂の底から好色なゼウスが」
「変わるとも。考えてもごらん。あのアテーナーとヘーパイストスの間から生まれてくるのだよ? 色好みに育つと思うかい?」
そう言われて、ペルセポネーはしばらく考えてから、クスッと笑った。
「そうね。あの堅物のお姉様と、真面目を絵に描いたようなヘーパイストスの子供になるのですものね」
「そうとも。だから何も心配することはない。それに……」
ハーデースは包み込むようにペルセポネーを抱きしめた。
「もう二度と、そなたをそんな目に会わせない、このわたしが! 二度とそなたを奪い取られてなるものか、この命に代えても」
「あなた……」
嬉しさに、ペルセポネーはハーデースにキスをして、笑った。
「そろそろ朝の仕度をしましょう。皆が心配しているといけないから」
「そうだね。きっとアドーニスが心配しているよ」
ハーデースはそう言いながらベッドから降りて、服を着だした。
ペルセポネーも着替えながら、ふと立ち止まり、自分の中で異変が起きていることを感じ取っていた。
そうしているうちに、部屋の外からペイオウスの声がした。
「刻限でございます。お目覚めでいらっしゃいますか、君様。王妃様」
「ああ、おはよう」
ハーデースはペルセポネーの着替えが終わっていることを確かめてから、ペイオウスに中へ入るように言った。
「アドーニスも起きているか? 皆には心配をかけたな」
「いえ……その、アドーニス様は……」
「どうした?」
「それが……アドーニス様はもう、ここにはいらっしゃいません」
「なんだって!? いったいどこへ……」
その時、ペルセポネーが口を開いた。
「アドーニスなら、いるわ」
ペルセポネーは振り返りながら、自身のお腹をさすった。
「この中に」
その言葉の意味を知り、ハーデースは感嘆の吐息をこぼした。
「そうか! とうとう!」
「ええ! 私たちの念願が果たされたのよ!」
ハーデースとペルセポネーは互いに抱き合いながら、この至福を喜び合ったのだった。icon
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: エリスさん
2009年02月20日 12時00分40秒
icon
「Re:Re:ご報告 続き」
> > 実際に店頭に並ぶのは3月になってからですが、予約はもうできますので、皆様よろしくお願いします。
> >
> >
> > 「罪ゆえに天駆け地に帰す」
> > 著 者・淮莉須 部琉(エリス ベル)
> > 発行所・文芸社
> > 3月15日発売予定
>
>
> すみません、訂正があります。
> 予約受付は2月20日からだそうです。
> 今ネットなどで予約をしても「新風舎」の誤植が残ったほうが送られてくることがあるかもしれませんので、出版社や値段をよくご確認のうえ、ご予約お願いします。m(_ _)m
試しに「淮莉須部琉」でグーグル検索してみると、まだ「新風舎版」の方がトップに出てきますね。
でもその三つ下ぐらいにyahooのサイトが出てきて、そっちではもう「文芸社版」が載っていました。
皆様、くどいようですが今日から予約受付です。
誤植が直っていて、値段も安くなっているのは「文芸社」の方ですよ。お間違いのないように。
重ねて重ねてお願いします。m(_ _)m
近いうちに「百合な日々」の雨傘さんにもお知らせしなきゃだわ。icon
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: エリスさん
2009年02月16日 06時47分55秒
-
from: エリスさん
2009年02月13日 16時10分24秒
icon
「Re:ご報告 続き」
> 実際に店頭に並ぶのは3月になってからですが、予約はもうできますので、皆様よろしくお願いします。
>
>
> 「罪ゆえに天駆け地に帰す」
> 著 者・淮莉須 部琉(エリス ベル)
> 発行所・文芸社
> 3月15日発売予定
すみません、訂正があります。
予約受付は2月20日からだそうです。
今ネットなどで予約をしても「新風舎」の誤植が残ったほうが送られてくることがあるかもしれませんので、出版社や値段をよくご確認のうえ、ご予約お願いします。m(_ _)micon
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: エリスさん
2009年02月13日 15時11分00秒
icon
「封印が解ける日・10」
右肩のフィビュラもはずすと、ペルセポネーは滑らすようにキトンを脱いだ。
「ペルセポネー……」
「私はずっと望んでいたの。叔父様の手で私の純潔の花を散らしてもらうことを。夢にまで見るほど恋焦がれて……でも、お母様の言いつけを守って、清い交際を続けてきたわ。愛らしい少女の仮面をかぶってまで」
ペルセポネーはハーデースの後頭部に両腕を回して、熱く甘やかなキスをした。
「でもこれが本当の私。あなたのことが欲しくて欲しくて堪らない、厭らしい女よ」
ペルセポネーはそう言うと、ハーデースに背を向けた。
「だから罰が当たったんだわ。貞淑に生きることを教えられて育った私が、あなただけにはそんな、娼婦のような感情をいだいてしまったから」
「それのどこが悪い」
ハーデースもそう言うと、自身のキトンを脱いだ。
「愛しい人をこの腕に抱きたいという感情は、誰しも当たり前のことだろう」
ハーデースはペルセポネーを自分の方へ向かせると、そのまま床に押し倒した。
「それとも、そなたはわたし以外の男にもそんな感情を覚えるのか?」
「いいえ、いいえ!」
ペルセポネーはしっかりとハーデースに抱きついてきた。
「あなただけよ! 私が愛しているのはハーデース様だけ!」
「ならば、なんの問題もない」
二人はまるで引かれ合うように、何度も何度もキスをした。
目が覚めた時、ペルセポネーは寝台(ベッド)の中にいた。
横を見ると、すぐそばでハーデースが眠っていた。
冥界はいつでも暗いから分からないが、おそらく朝になっているはずである。
ペルセポネーは起き上がると、寝台から降りて、床に足をつけた。そして立ち上がった時、下腹部に痛みを覚えた。
純潔でなくなった証だということは、すぐに分かった。この痛みを知るのは二度目である。
一度目は、ゼウスに辱めを受けた時ではない。もっともあの時ペルセポネーはすぐに正気を失ってしまって、痛みを覚えるどころではない。
それはもっと以前のこと。ハーデースに抱かれる夢を見たその次の朝、ペルセポネーはこの痛みを覚えて、出血までしていたのである。
『あの時は、月の障りだとお母様に説明したけど……私にも不思議なことだったわ』
ペルセポネーがそう思った時、背後から声が掛かった。
「気分はどう?」
ハーデースだった。目が覚めた彼は、起き上がると寝台に腰掛け、ペルセポネーにも隣に座るように勧めた。
「記憶は、ちゃんとつながったかな?」
「ええ、あなた。みんな思い出したわ。お父様に辱められて、正気を失ったこと。そのまま子供――ザクレウスを産んだこと。そしてザクレウスが殺される声を、地の底から感じ取ったこと。それでも心を閉ざしていた私の深層心理の中に、エリスが降りてきてくれて、私を連れ戻そうとしたこと。そのとき私、エリスにも話したわ。本当の私はハーデース様に抱かれたくて仕方のない厭らしい女だって。だからこそ彼女は、私の嫌な記憶を忘れさせるために、性的な知識を一切隠してしまったのね。そして私は目覚めて、エイレイテュイアお姉様の手引きで処女に戻り、あなたと結婚した……」
「そうだね。なにもかも思い出して、それでも、そなたは今ちゃんと正気に戻っている」
「ええ。私の一番の望みが叶ったからだわ、きっと」
「わたしの本当の妻になれたことか?」
「ええ」
「それならもっと昔に、すでに叶っていたのだよ」
「え?」
「夢の中で、わたし達は契りを交わしていたのだよ。覚えていないかい?」
「あっ、じゃあ、あれは……」
ペルセポネーの本心を感じ取れないほど、ハーデースは鈍感ではない。またハーデース自身も、ペルセポネーの母・デーメーテールからどんなに反対を受けていても、ペルセポネーのことを諦めることができなかった。それでハーデースはペルセポネーの夢の中へ入っていき、密かに思いを遂げたのである。
「つまり、そなたの初めの純潔を奪ったのはゼウスではなく、わたしだったのだよ」
その言葉を聞いた途端、ペルセポネーはうれしそうに夫に抱きついた。
「そうだったのね。それじゃ、あの三日後に会う約束をしていたのに、会いに来てくださらなかったのは?」
「わたしも女性を抱くのはそなたが初めてだったから、後から思い出したら恥ずかしくなってしまってね」
「いやだわ、あなたったら。大の大人がまるで少年みたいに」
「まったくだね。今思うとそんな幼稚な自分の方が恥ずかしいよ」
「でも嬉しい。私の始めての相手があなたで、しかもあなたにとっても初めての相手が私だなんて。こんな嬉しいことはないわ。天にも昇る気分よ」
「そうかい? じゃあ、ゼウスとのことは忘れられそうかい?」
するとペルセポネーはハーデースから離れて、悲しそうに首を振った。
「それは……無理よ」icon
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
-
from: エリスさん
2009年02月13日 14時18分41秒
-
from: エリスさん
2009年02月13日 14時17分25秒
-
from: エリスさん
2009年02月13日 14時09分13秒
icon
ちょっとブレイク
明日、2月14日は何の日でしょう?
「少年メリケンサック」の公開日です!
映画館スタッフならそう答えなきゃいけないのかな(^o^)
それも正解ですが、答えは「バレンタインデイ」です。
というわけで、直接お届けできない読者の皆様へ、チョコレートの写真をアップします。
あっ、同僚の皆さんには明日配りますんで。楽しみにしててくださいね。
毎年この時期になると、同僚に配る「義理チョコ」と、自分で食べる「ご褒美用」が我が部屋にいっぱい置かれます。今年は秋葉原限定「眼鏡っ子ハローキティのチョコモチ」まで加わりました――アキバで買ってきたわけではなく、先日お台場で「20世紀少年 第2章」を見に行ったら、その同じ建物の中で売ってたんです。
ちなみに、2月19日が何の日か覚えてる方、います?
私の誕生日なんですわ。今年で38になります。……ハイおばさんです。なのに彼氏も彼女もいない、さびしい老後が待っております。
なのでこの日は有給を取って、家でゆっくりしようかと思っている次第。まだ読み終わっていない「マリア様がみてる」もたまってますし。「びんちょうタン」のPS2もまだクリアしてないから、やりたいし。
あっ、この日は近所の温泉もサービスデイで、600円で入泉できるので、出かける可能性も(^_^)
そんな感じで、個人的に二月はイベントが多い月なんです。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-