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from: エリスさん
2011年05月28日 03時16分55秒
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from: エリスさん
2011年05月27日 14時06分16秒
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「双面邪裂剣(ふたおもて やみを さく つき)・12」
>>声が出なかった。――今度こそありえないことなのに。
その詩は、本名が書かれていないため、一番最後に回された。
「さて、この詩は誰が書いたのかな? ペンネームだけなんだけど、本人は来てる?」
何人かの視線が枝実子に集まる。麗子も『もしかして?』と思って窺う――枝実子のパターンを知っている者なら、誰でもそう思う。
「仕方ない。代わりに誰かに読んでもらおう。……片桐さん、頼むよ」
枝実子の心に、引き裂かれたような痛みが走る。
枝実子はろくにプリントも見ずに、読み始めた。
〔 雷(いかずち)は情けを知らず
紫がかった雲は豪雨(あめ)を降らし
強風(かぜ)は前方をさまたげる
それでも少年(かれ)は飛んでいた
身体(からだ)を持たぬ御霊(みたま)となって
恋しいあの娘(こ)のところへと
あの娘に渡すはずだった
誕生石(パール)のピアスを握り締めて
土砂降りの雨が嘲笑い
少年の視界をさえぎった
今さら傷つくこともない
壁をもぶち破ってみせようと
躍起になって突き進む
やがて雨も諦めて
少年の前途に幸あれと
冗談めかして退散した
窓辺にピアスを置いて
あの娘の頬にキスをしたら
さあ お行き
おまえの用は終わった
天上(そら)でその娘を待つがよい
この世におまえの住む場所は
もう どこにもないのだから 〕
それは、枝実子が今日になって書き出した詩だった。――ペンネーム・カール如月。
またしてもやられた!!――しかし、どうやって?
詩を書いた紙はバインダーに挟んで、絶えず離さず持っていた。それなのに……。
生徒たちの批評が始まった。だが、枝実子は何も発言できず、絶望感と戦うしかなかった。
今度の作品は、小説と違ってシリーズにもなっていない。自分よりもカール如月と名乗る人物が先に提出しているのだから、今度こそ枝実子が盗作したことになってしまう。
授業が終わり、先週まだ作品提出をしていなかった生徒が教師のところへ行って、提出する。その中には枝実子もいなければならなかった。
だが、行ける訳もなく、麗子が戻ってくるのを黙って待っていた。
先生は、提出された作品を見ながら、「おや?」と小さく言って、枝実子に視線を向けた。
「片桐さん、作品は?」
枝実子は苦しいながらも、言い訳した。
「すみません、今日はまだ……」
「書けなかったの? 今日が最終日だよ」
「申し訳ございません」
枝実子の表情がだんだんと血の気のないものとなっていく。
「仕方ない、来週持ってきなさい」
「はい……必ず」
提出日に遅れる――今までにこんな恥はかいたことがない。期日は守るべきもの。特にゼミナールなら当たり前のことなのに、それを、遅らせなくてはならないなんて!
力なく教室から出る枝実子を支えるように寄り添って歩いていた麗子は、何かあったのか聞いてみる――多少、想像しつつ。
「麗子さん、信じて。私は……私は他人の作品を盗んだりしないわ!」
「エミリーさん、それじゃ! やっぱりあの作品……」
「みんな誤解するわ、きっと。盗まれたって主張しても信じてくれない。だって今日のは明らかに、あのカール如月って方が先に書いている。私が書いたのは、今日の昼休みだもの。それまでは頭の中に仕舞っていて……紙に書いてからだって、絶対手放したりしていないのに、なのに、盗めるはずがないわ。それなのにどうして、あの詩の内容がわかったの!!」icon
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from: エリスさん
2011年05月27日 10時53分14秒
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最近、アクセス数が異様に多かった日があった。
今は落ち着いていますが、今週の火曜日か水曜日、いつもの二倍のアクセス数がありました。
不思議に思って、自分のペンネーム「淮莉須 部琉」でグーグル検索してみたところ――某ネット販売サイトに、私が執筆した「罪ゆえに天駆け地に帰す」が中古品として出品されていることが判明。しかも四人から。
値段が非常に安かったので(^_^; 購入する前に、
「この作家、どんな奴だ?」
と疑問に思った方々が検索エンジンでこのサークルを見つけて、閲覧しているのだと想像できました。
というわけで、サークルプレイヤー会員以外の閲覧者の皆様、私はこうゆう奴です。ここ数日の書き込みで分かったかと思いますが、貧乏すぎて次回作も自費出版できず、こうしてネットで発表しています。
中古だろうがネット販売だろうが、買っていただけるのでしたらありがたいことです。ただ一つ、著者の私からアドバイスするなら、「罪ゆえに〜」は新風舎版と文芸社版とありまして、誤植が完全に訂正されているのは…………………………………………………
ということです。過去の書き込みを遡れば分かります――何年分遡らせる気だ! と思われた方は、雨傘さんが運営されている「百合な日々」サイトをご覧ください。向こうは探しやすくなってます。
私が勤務している映画館が入っているショッピングモールの中の本屋さんには、まだ並んでいると出版社からご連絡いただいたことがありましたが、その後どうなったかな?-
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from: エリスさん
2011年05月27日 10時24分55秒
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「Re:Re:先日、変なメールが届きました」
> 小説アップは明後日する予定です。
> 例の迷惑メールですが、着信拒否にしても、ドメインを変えてまた来るので、DoCoMoの迷惑メール対策設定を最強にしてみました。
> そしたら来なくなったのですが…………TSUTAYAのお知らせメールも来なくなってしまったような? たまたまかな?
> 他のジャニヲタの皆さんのところにも届いてるんですよね? 皆さんはどうゆう対策をとりました?
その後、TSUTAYAからはちゃんと届くようになりました。
それにしても、あの迷惑メールはいったいなんだったんでしょうね。icon
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from: エリスさん
2011年05月27日 10時21分58秒
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「Re:節電よりも切なる物」
> 今日は給料日なのですが…………………………。
> 仕方ない、地震のせいで一週間も仕事が出来なかった上に、2月は28日までしかなかったのだから。
> 我が家にパソコンがない私としては、ネットカフェに行く回数を減らすしかありません。
> 今日は休載し、来週は金曜日にならないうちに更新したいと思います。
そして一昨日も給料日だったのですが…………………まだ厳しい状況でした。6月も二週間に一回の更新になりそうです。
でも先週から「パイレーツ オブ カリビアン」が始まって、勤務時間が削減されることもなくなりましたから、7月は毎週更新できるのではないかと、淡い期待をしております。icon
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from: エリスさん
2011年05月20日 13時54分53秒
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今日は小説を更新するはずの日ですが....
実はたった今まで仕事(映画館スタッフ)してました。
ただでさえ収入が減った影響で、ネットカフェに来るのを2週間に一回にしていたのに、さらに回数を減らすようなことになってしまって済みません。
実は同僚に就職活動中の後輩がいまして、その子が今日急に面接を受けることになったんです。それで代わりに仕事に入れる人が誰もいなかったので、やむなく私が入ることにしました。
こうゆう時、その子を見捨ててでもネット小説を優先するぐらいの強引さがあれば、プロの小説家としてやっていけたかもしれませんが……すみません、小心者なもので、それができませんでした。
今日小説が書けなかった代わりに、近いうちに更新したかったのですが、仕事のスケジュール上やはり来週の金曜日までできそうにありません。なので、次の更新は来週の27日におこないたいと思います。もちろん、その翌週の6月3日も更新する予定です。
そろそろ地震の影響による「人件費節約のための勤務時間カット」も少なくなると思うので、そうすれば収入も元に戻るとは思いますから、近いうちに以前どおりの毎週金曜日の更新に戻れます。それまでご容赦ください。-
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from: エリスさん
2011年05月08日 17時31分13秒
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苦痛だ……
今年一年間、自治会の幹事をやらされているのだが、
もう! 苦痛でしかない!
男の人の傍に長時間いるのは気持ち悪いって言うのに――ついで言うと正座も辛いのに(印刷会社時代に膝を痛めた)――おじさんばっかりのところに座布団で座れって言われても、無理!! 足崩した時に隣のおじさんに体が触れるのは間違いない距離しか隙間がないのに!!
もうヤダ! 3月までやらなきゃいけないなんて、耐えられなァい!
今度は交通整理に参加しなくてはいけないそうだ。-
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from: エリスさん
2011年05月06日 15時08分55秒
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「双面邪裂剣(ふたおもて やみを さく つき)・11」
「何故あなたが教室を出なければならないのッ。あなたは悪くないのよッ」
授業が終わって、教室にバッグを取りに行こうとしていたら、麗子の方が枝実子のバッグを持って図書室に来てくれた。――で、来た早々お説教である。
「こんなとこじゃなんだから、詩ゼミの教室行こうよ」
麗子の顔を見てやっとホッとできたのに、お説教されるとまた気が滅入りそうだった。
「どうしてエミリーさん、そんなに真田さんに遠慮するの。あの時だって、もっと堂々としていたら良かったのに」
「いいのよ、麗子さん。私が気をつけていれば、今日のことは防げたはずなんだから。私が馬鹿だったの」
「そんなことないったらッ……真田さん、わざとやったのよ」
麗子の言葉に、立ち止まる。
「真田さんは、エミリーさんのバッグは分かるはずよ。一年のころから換えていないし、特徴あるもの。隣がエミリーさんだと分かっていて、それで……」
「嫌がらせしたっていうの?……されても仕方ないのよ、私は」
枝美子はそう言ってから、しばらくして言葉を続けた。「復讐、だもの」
「……エミリーさん……」
麗子は何故か悲しくなった。
「他にも、あの人に何かしたの?」
何をしたか――どんな罪を犯したか。
あの和服の女は何を言いたかったのか。
『己が罪にかこつけて……いったい、何のこと? 眞紀子さんのこと? でも、なんか違うような……引っかかる』
麗子には、藤色の和服の女に会ったことを話していなかった。このことを話して、更に彼女を悩ませたくない。
「とりあえず、済んだことだし、もう止めましょう、この話は。それより、ゼミで提出する作品書いてきた?」
はぐらかされた感じになったが、麗子は気を取り直して、「もちろん」と答えた。
「今日が最終日でしょ。まァ、あの先生は、一週間ぐらい遅れてもむ許してくれるけど」
「でも、少しでも遅れると、自分自身のプライドが許さないのよねェ」
「そォなのよ。やっぱり、みんな考えることは同じね」
「アハハ、文芸に命張ってますから」
しばらくして、授業開始のベルが鳴る。
このゼミには、真田も眞紀子もいないので、少しは気楽に受けられる。
少し待つと、教師が入ってきた。
いつものように生徒が提出したしを数枚のプリントにして配り始める。枝実子は隣から回ってきたプリントを自分の分だけとって麗子に回しながら、目に入ってきた詩のタイトルに驚いた。
〈それでも少年(かれ)は飛んでいた〉
まさかと思って、それだけ先に読んでみる――一度だけ見たことのある筆跡、ペンネーム。そして、暗誦できる内容。
『どうして……どうして!!』
青ざめていく表情を、麗子が心配そうに窺う。
「どうしたの? エミリーさん」
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