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神話読書会〜女神さまがみてる〜

神話読書会〜女神さまがみてる〜>掲示板

公開 メンバー数:11人

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  • from: エリスさん

    2011年08月26日 13時33分00秒

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    サークル紹介の文章を書き換えました

     かなり久しぶり書き換えましたが、これには理由があります。


     最近になって、ネット販売などの「読者レビュー」のコーナーで私の著作について書いてくださった方がいらっしゃいまして――大変ありがたいことです。
     その方がこうおっしゃっていたんです。


     「物語の中に、“この話はまた別の物語に...”って書いてあるんだけど、この話って続き物なの?」


     はい、続き物です。でも、出版社からは出してもらえないので、ネットで発表しています――それがこのサークル「神話読書会」です。

     著作を手に取ってくれた方が、その後の私の活動を気にしてくださっている(かなり些細なことですが)のが嬉しくて、その方たちに、なんとかこのサークルの存在を知っていただきたいので、ネットで検索できるように「淮莉須部琉」の文字を入れてみたのです。

     見つけてもらえたでしょうか。
     私が描く神話の世界は、このサークルで細々と生きています。ちょっとお暇があったときにでも、読んでもらえると嬉しいです。

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  • from: エリスさん

    2011年08月26日 13時18分29秒

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    「双面邪裂剣(ふたおもて やみを さく つき)・21」
     「その声も、今回のことに関係があるの?」
     「ご心配なく、すぐに治ります」
     「私は関係があるのかと聞いているのよ」
     佳奈子女史は少し厳しく言った。「相手は、ただの人間じゃなさそうね」
     「先生……関わらない方が先生のためです。友人たちにもそう言うつもりです」
     枝実子がそう言うと、佳奈子女史はクスッと笑って、いいでしょう、と答えた。
     「あなたが関わるなと言うのなら、とりあえずそうしてあげましょう。そのうち、嫌でも関わらなければならなくなると思うけどね」
     女史は席を立って、窓際へと歩き出した。
     「エミリー、自分自身を信じなさいよ」
     その言葉に枝実子は顔を上げた。
     「誰だって、無駄に生まれてくるわけがないの。ちゃんと意味があって、宿命があって、それゆえに試練を持って生まれてくるの。今のあなたは試練の時……乗り越えるためには、自分を信じるしかないわ」
     自分を信じる? 今の自分に出来るだろうか。そうでなくても、自分の狭量さに嫌気がさして、如月が生まれたのに。
     「辛いことをあえて言うわよ。九条眞紀子さんとのことも、嫌われからって、ただ絶望しているだけじゃ進歩はないの。なぜ嫌われたのか、どうすれば許してもらえるのか、よく考えなさい。そして、その欠点を一日も早く直すように努力なさい」
     「……直せるような欠点じゃ……」
     「弱気にならない!!」
     見せたこともない厳しい言葉に、枝実子はハッとさせられる。
     「言ったでしょ、試練だって。たとえ直しようのない、そう、本能を嫌われたのだとしても、嫌われるからには欠点――汚点なのよ。それを直すためにこの世に生まれてきたのよ」
     佳奈子女史の言っていることは、途方もない難しさがある。本能を変えることが出来るか?
     しかし、女史がこんなにも必死に自分に言ってくれるのは、やはり期待してくれているからだ。それだけは分かる。
     こんな時なのに、いや、こんな時だからこそ、枝実子は感謝していた。


     枝実子がアーチ状の学校の入り口を抜ける。
     それをどこからか如月が見送っていた。
     『ここから出たら最後、御身は地獄を見ることになる。覚悟は出来ているか?』
     如月は煙のように消えた……。


     翌朝。
     昨日は家に帰った早々、声が変わってしまっているので(言葉遣いはなんとか注意しながらしゃべっていた)母親がなんだかんだとうるさかったのだが、演劇の練習のし過ぎで声が嗄(か)れたということで落ち着いた。
     枝実子の本当の声は、今は如月の物。枝実子が今出している声が、本来なら如月の声だったのだろう。
     如月はあんな格好をしているが、男だ。枝実子と入れ替わろうなどと、そもそも無理な話だと思うのだが、向こうはその気だ。今度はどんな手で来るか。
     「とりあえず登校しなきゃな」
     枝実子はジーンズと黒の長袖のTシャツ、デニムのジャンパーに着替え、腰までの髪を櫛で梳いてヘアピンで端を留めてから、親友である乃木章一とお揃いの紫水晶のペンダントをつけた。これでよく男と間違えられるのだから、最近のファッションが以前とだいぶ変化してきている証拠だ。(筆者注・この作品はまだ昭和50年代を描いています)
     「俺だって、女らしくすれば、ちゃんと女に見えるさ」
     ………………………どうだか。
     そんなつまらない悩みで気分を壊しつつ、演劇で使う縫いかけの衣装を紙袋に詰めて、登校した。
     アーチ状の入り口をくぐると、すぐに友人たちを見つけて、声をかけた。
     「ごっ機嫌よう★ お嬢さん方」
     枝実子がポンッと瑞樹の肩を叩きながら声をかけると、一緒に柯娜と麗子も振り向いた――なぜか三人とも、不審そうな表情を見せていた。
     「どうしたんだ?」と枝実子が聞いてみると、皆の顔を見回して何か窺ってから、瑞樹が恐る恐るこう言った。
     「あのォ……どちら様でしたっけ?」

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  • from: エリスさん

    2011年08月12日 14時01分48秒

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    「双面邪裂剣(ふたおもて やみを さく つき)・20」


                第二部 双面闇射月(ふたおもて やみに さす つき)
                                   嵐賀エミリーの手記



     カール如月の小刀が片桐枝実子の首筋に向かって振り下ろされた。
     それで、すべてが終わるはずだった。
     だが。
     枝実子の辛うじて動かせる左手が、如月ののど仏を殴っていた。
     「俺に男だと気づかれたことが災いしたな」
     枝実子はゆっくりと立ち上がりながら、言った。
     「男にとって急所であるところを叩かれたら、一溜まりもないだろ」
     如月は咳き込みながら答える。
     「潔く死ねばよいものを、賎しき者。いいでしょう、今回は生き延びさせてあげましょう。しかし必ず、御身を亡き者にし、この世から災いの種を摘み取ってみせる!」
     二人を包んでいた空間が消えていく。如月もすうっと居なくなってしまった。
     気がつくと、枝実子は校内の、階段の一階の踊り場にいた。
     授業中ということもあって、周りに人の気配はない。
     『カール如月……俺自身が作り出した、もう一人の自分……』
     目の前で起きたことを、いくら突拍子もないとはいえ、認めざるを得ない。
     『俺が、自分を殺したいと思ったおかげに、こんなことになったんだ。自分の責任だ』
     枝実子は乱れた髪を直した後、とりあえずゼミのあった近くの空いている教室で授業が終わるのを待つことにした。
     そんな彼女の様子を、密かに如月が見送っていた。
     『作戦を変えるだけよ。御身を必ず亡き者にし、わたしが名実ともに片桐枝実子となってみせる。それまで、生き恥を晒すがいい』
     その時の如月の笑い声を聞いた者は、誰もいない。


     「いきなり教室を飛び出すんだから!」
     向田瑞樹に怒られ、枝実子は平謝りするしかなかった。(ちなみにここは学生食堂である)
     「さぞあの後、大変だったんだろうな」
     「そりゃもう、あの人もあんたの後を追ってどこか行っちゃうし、ほとんど授業にならなかったんだから」
     テレビドラマとかだと、如月がどこかへ行った時点で、如月のことは綺麗さっぱりと回りの人間は忘れてしまうところだが、そうはいかないのが現実社会である。
     おかげで枝実子も何があったのか話しやすかった――掻い摘んで、ではあるが。
     「それで、如月に変な暗示をかけられて、そんな声と言葉遣いになってしまったと……」
     瑞樹がそう言ってくれたので(とてもじゃないが“魔術を使われた”とは言えなかったので、適当にごまかしたら、そういう解釈をしてくれた)、枝実子は答えた。
     「まあ、そういうことだな」
     「ちょっと、どうすんのよ! そんな声でジュノーを演じる気!? 歌だって歌えないでしょ!」
     「しょうがねェだろうがッ!! こうなっちまったもんわ!!」
     ちょうどその時、二人の方へ来た鍋島麗子(なべしま かずこ)と有馬柯娜(ありま かな)は、初めて聞く枝実子の声の変貌に、つい立ち止まってしまった。
     「い、今の……エミリーさんの声なの?」
     「どうしちゃったの? 風邪引いたの?」
     「風邪だったらこんなに苦労しないさ」
     ただの悪夢であってほしい――そう思いたいぐらいだった。


     小説ゼミの授業中、枝実子は如月のことを佳奈子女史に話すべきか話さぬべきか、迷っていた。ことがことなだけに、瑞樹たちには話さなければならない状況だったから、一応の説明はしたものの、本当なら彼女たちにも危険が及ぶかもしれないのだから、話すべきではなかったのではないだろうか。佳奈子女史には、知らせない方がいいかもしれない。
     だが、授業が終わって、そのまま帰ろうとする枝実子を、佳奈子女史の方が呼び止めた。
     「私に何か報告することはないの?」
     「……容赦ないですね、佳奈子先生」
     そっとしておいてくれてもいいものを、自分から危ない橋を渡るのだ、この女性は。
     「私が容赦したら、誰があなたの手助けをするのよ。友人たちを危険な目に合わすぐらいなら、大人の私がなんとかしてあげるわ。教師の中で、あなたに何が起こっているか理解しているのは、私だけのようだけど」
     「おっしゃるとおりです……」
     詩ゼミの教師も劇作ゼミの教師も、枝実子の作品が盗作されているのに気づかなかったのに、佳奈子女史だけはそれを誰よりも早く気づいて、気をつけるように注意もしてくれた――その甲斐はなかったが。



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