サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。
-
from: エリスさん
2006年06月08日 21時20分35秒
コメント: 全31件
from: エリスさん
2006年06月17日 21時44分54秒
icon
「月光女神生誕秘話・30」
「またいらっしゃい、エリス。そなたの好きな苺の砂糖漬けを用意しておくでな」
「ありがとうございます、ヘーラー様」
「オイ、エリス」とアレースが言った「あとで釣りに行こうぜ!」
「ああ、迎えに来てくれ」
エリスが颯爽と帰っていくのを見送ると、ヘーラーはテーブルの上に置かれた小さな瓶を、エイレイテュイアに渡した。
「杏の蜜漬けです。朝食ができるまで、これでも摘んでいなさい。疲れた時は、甘いものが効くのだ」
「はあ…」
なんだかキツネに摘まれた感じのエイレイテュイアは、ヘーラーがアレースとヘーパイストスを連れて行ってしまうと、妹のヘーベーに聞いた。
「お母さま、怒ってないの?」
「うん。あのね」
ヘーベーは、昨日の朝に聞いた話を、詳しく教えてあげるのだった。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月17日 21時24分49秒
icon
「月光女神生誕秘話・29」
夜明けと共に帰ってきた娘を、ヘーラーは腕組みをしたまま出迎えた。
「お帰り」
エイレイテュイアは………硬直を通り過ぎて凍結していた。
エイレイテュイアはエリスの馬で帰ってきていて、窓から入ろうと、馬の背に両足で立っていたところだった。
「どうしたのだ? そのままでは落ちる、早く上がってきなさい」
「は、は、は、、、、」
緊張のあまり「はい」と言えない姉を、仕方がないので、アレースとヘーパイストスが引っ張り上げた。
それを見届けたエリスは、ヘーラーにお辞儀をすると、
「では、私はこれにて」と、窓辺からバク宙(後方宙返り)で外へ飛び出し、ふわっと馬の背にまたがった。
見ていた者は、あまりの身軽さに拍手喝采を送った。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月17日 16時59分55秒
icon
「月光女神生誕秘話・28」
こうして、アルテミスとアポローンは生まれた。アルテミスは月と狩猟を司り、アポローンは太陽と芸術、医術、予言など、多彩な才能に恵まれた神になった。そして、自分達の誕生を妨害したヘーラーとは折り合いが悪く、なにかと衝突しあうのであった。
さて、後日談になるが…
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月16日 22時12分45秒
icon
「月光女神生誕秘話・27」
『よし、もう少し!』
胎児の前に立ちはだかっていた障害物は、溶かされて小さくなり、今は産道の途中に引っ掛かっていた。もう少し小さくしてやれば、あとは自然と押し出されてくる。胎児も早く出たがって暴れている。早く出してあげなければ…そう思った時だった。
エイレイテュイアは急に目眩を起こした――無理もない。朝から休みなく、神力を使い続けているのだ。すでに黄昏時である。体力も限界にきていた。
すると、誰かがエイレイテュイアの右腕に触れてきた。見れば、五歳くらいの少女が、エイレイテュイアの隣に座って、真剣な眼差しを向けてくるではないか。
その少女は、金髪碧眼ながら、肌の色が銀色に輝いているように見えた。まさに女神の神秘を体現させているのである。
「私もお手伝いするのォ」
少女はエイレイテュイアにそう言った。
「あなた、レートー様の子なの?」
昨日生まれたばかりの女児が、もうこんなに大きくなっていたとは。もしかしなくても、苦しんでいる母を見兼ねて、自らそうなったのだろう。
「うん、手伝って」
エイレイテュイアは、彼女から神力を貸してもらい、そうして無事に男児出産を成し遂げたのである。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月16日 20時15分09秒
icon
「月光女神生誕秘話・26」
その頃エイレイテュイアは、再び陣痛の始まったレートーの傍へ行き、胎児の前に立ちはだかる障害物を、徐々に溶かす作業をしていた。
その間、生まれたばかりの女児は、デーロス島の精霊たちに託された。運良く、子供を生んだばかりでまだ母乳の出る精霊がいて、彼女が臨時の乳母となり、他の精霊は女児の為の寝床や、衣服を用意するのに尽力した。
そんなうちに、不思議なことが起こった。
普通ならまだミルクで育てなければならない時期なのに、女児は数時間後にはミルクを拒否し、テーブルの上の果物に手を伸ばした。歩くのはもちろん、片言だが言葉も話せるようなる。神霊は成長が早いと言うが、これは異例である。
そして、夕方ごろには…。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月16日 19時58分27秒
icon
「月光女神生誕秘話・25」
「おそれいります、ヘーラー様」とエリスが言うと、ヘーラーは満足気に笑った。
「さあ、そなた達も着替えて、洗顔をしてから食堂にいらっしゃい。お腹がすいたであろう。特にエリスは、昨夜はお粥だけだったのだから」
「あのお粥は絶品でした。十分満たされましたよ」
そこで、ようやくヘーベーが口を開いた。
「エイレイテュイアお姉さま、ちゃんとお食事なさったかしら?」
「それならば大丈夫。先程フルーツの盛り合わせを美味しそうに食べておったから」
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月15日 16時26分41秒
icon
「月光女神生誕秘話・24」
とは言え、子供には罪はない。いずれ、頃合いを見計らって呪いを解くつもりでいた。それに、誰かが私のかわりにエイレイテュイアを味方にしようと画策するのではないかと、予想もしていた。それならば、これはあの子にとっても良い訓練にもなる。そうであろう?」
「陛下…」
エリスは、先程ヘーラーの心情をあれこれ詮索したことを、恥ずかしいと思った。そんな彼女の気持ちがわかるのか、ヘーラーは言った。
「そんな堅苦しい呼び方はやめておくれ。私はアレースの母。そなたは息子の親友。男女の垣根を越えて、あの子と友情を深めてくれるそなたに、感謝しているのです。そなたはきっと、男友達にはない、大きな何かをあの子に教えてくれるであろう」
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月15日 16時10分30秒
icon
「月光女神生誕秘話・23」
「何故です」とエリスは言った「エイリーがデーロス島にいると気付いたのなら、出産の妨害をするよりも、連れ戻せばいいことではありませんか。このオリュンポスには、産褥分娩の女神は陛下とエイリーしかおりません。エイリーさえその場にいなければ、それだけであなた様の目的は達せられたはず」
すると、ヘーラーは二人の傍へより、それぞれの肩に手を添えた。
「そなた達もいつか恋をするでしょう。その時には、覚えておおき。決して、妻子ある男性を愛してはいけません。それは、愛した男性の家庭を壊し、相手を不幸に陥れることになります。また逆に、妻子ある男性から求愛されたら、潔く拒絶しなければなりません。――それが、貞節を守るということ。倫理という考え方です。けれど、レートーにはその考え方が欠けていた。妻子あるゼウスからの求愛を拒みもせず、あまつさえ懐妊までした。その行いには罰を与えねばなりません。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月14日 19時58分46秒
icon
「月光女神生誕秘話・22」
「エリスが帰ったばかりなら、エリスの残り香があっても当然だから、気にも止めなかったのだ」
ヘーラーの言葉に、エリスはハッとした。
「そうか、神霊特有の体臭…」
「そう。お粥を持って行ってあげたとき、私の娘ならば百合の花の匂いがするところを、ベッドの中からはラベンダーの匂いがした。ラベンダーの匂いは、夜の女神ニュクス殿の血筋に受け継がれるもの。だから、ベッドの中にいるのはエリスだと気付いたのですよ」
「あっ! それでは、エイリー(エリスがエイレイテュイアを呼ぶ時の愛称)が出産の手助けをしているのを、どこからか御覧になっていらっしゃいましたね。だから、初めはなかった胎児の間の壁が、女児出産と同時に、新たに出来上がったのですね」
エリスの言葉に、ヘーラーはさらに微笑んだ。
「察しの良いこと」
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月14日 19時40分51秒
icon
「月光女神生誕秘話・21」
ヘーラーはちょっと険しい顔で立っていた。そして、
「アレース、ヘーパイストス」
「ハ、ハイィィィ!」
呼ばれた二人は、思わず「気を付け!」をした。
「ここは女の子の部屋ですよ。なのに、寝巻のまま、寝癖も直さず、失礼極まりない。今すぐ着替えて、洗顔をし、髪を整えて、食堂に行きなさい!」
「わ、わかりましたァ!」
アレースとヘーパイストスは、逃げるように去って行った。 残されたエリスとヘーベーは、緊張で体を堅くしていた。自分達も怒られる! と怯えていた。
だが、ヘーラーは怒るどころか、微笑んでみせた。
「初めは気付かなかった。エリスがエイレイテュイアに化けていることに」
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月14日 07時25分44秒
icon
「月光女神生誕秘話・20」
「そ、そんな」とアレースは言った「そこまで言うことないだろォ〜」
「私が言わなければ、誰が言うんだ馬鹿モン!」
すると、離れたところから声がした。
「まったくその通りだな」
見れば、ヘーラーが入り口のところで、腕を組んで立っていた。
子供たちがフリーズしたのは書くまでもなかった。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月13日 18時58分03秒
icon
「月光女神生誕秘話・19」
「そもそもな」と、エリスは言った「王后陛下がこんなにまでレートー様の出産を阻むのは、おまえの為だ、アレース」
「なんでだよ」
「考えてもみろ、陛下とレートー様は従姉妹同士。身分的には同等なんだ。そのレートー様が男児を生んだら、その子はおまえのライバルになる」
「うっ」と、アレースは言葉を詰まらせた。
「おまえは陛下と神王ゼウスの長男だが、特技は剣術、趣味は釣り――それ以外の特筆すべき才能は皆無だ。けれど、ゼウスの先妻・メーティス様から生まれたアテーナー殿は、剣術はさることながら、知力に長け、芸術を尊び、音楽家であり、刺繍の名手でもある。まさに才女だ。だからゼウスの御子は、長女としてアテーナー殿が束ねている。この時点で、おまえはアテーナー殿に負けている! そこへ来て、レートー様の生む男児が多才な神として生まれたら、おまえはその子より風下に置かれ、王后陛下の立場がなくなるだろうが!!」
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月13日 15時42分01秒
icon
「月光女神生誕秘話・18」
「もォこうなったら!」とアレースが言った「エリス、変化の術で、姉上に姿形も化けろ!」
「う〜ん、それには一つ問題が」
「なんだ!」
「私の変化は、髪と目の色が変わらないのだ」
「意味ねェ! それじゃヘーパイストス! おまえの器用な指先で、姉上そっくりの人形を作ってだな…」
「そんなすぐには無理だよ。出来上がった頃には、姉上が帰ってきてる」
「だぁ! おまえたちゃ使えねェな!」
「そうゆう貴様はどうなんだ!」
エリスが食って掛かってる隙に、ヘーベーはクッキーの入ったバスケットをイーリスに渡した。
「お姉様に渡して」
「うん、わかった。また後でね」
「バイバイ」
そうしてイーリスが虹の橋を渡って戻ろうとすると、エリスの罵声が聞こえたのだった。
「そもそも、おまえが悪いんだ!」
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月12日 15時37分02秒
icon
「月光女神生誕秘話・17」
その話を虹の女神イーリスから聞いたエリスと、ヘーラーの子供たちは(アレースとヘーパイストスも寝巻のまま来ていた)、ため息をつくやら頭を抱えるやら!
「わが母ながら、えげつないなァ、母上」
とアレースが言うと、エリスは、
「いや、二重トラップにしてあるところは、尊敬に値する」
「なにを呑気な! このあとをどうするんです?」
ヘーベーが言う通りである。エイレイテュイアが帰ってこれないとなると、まだエリスが身代わりになってなければいけないが、如何せん朝である。仮病にも限度というものが…。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月12日 15時26分49秒
icon
「月光女神生誕秘話・16」
「それで、なにがどうなってるの?」
レイアーは、杏を頬張っている孫娘に、お茶を差出しながら尋ねた。もちろん、まだ腹の中に赤ん坊のことである。
エイレイテュイアはお茶を一口飲んでから、答えた。
「産道の途中に、骨と同じ組織――カルシウムって言うのですけど、それで栓が出来ていたんです。それを溶かすことで、お腹の下の方にいた女の子は出てこられたのですけど、その栓が、もう一つあったんです」
「まあ、どこに?」
「男の子の前に。わかりやすく言うと、女の子と男の子の間に、壁のように立ってたんです。初めの透視の時には気付かなかったんです。――もしかしたら、一つ目の栓を溶かしている間に、新しくできたのかも」
まさにヘーラーの呪いと言うべきか。
「今度は、カルシウムの壁の向こうに赤ん坊がいます。慎重にやらなくては、赤ん坊まで骨なしで生まれてくることになるでしょう」
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月12日 12時05分02秒
icon
「月光女神生誕秘話・15」
エイレイテュイアのかけて術で、レートーの中の胎児が眠ってくれたおかげで、ようやくレートーは苦しみから解放された。
「今のうちに、レートー様にお食事を。この術は長くはもちませんから」
エイレイテュイアの言葉に、レートーの母神がすぐさま、果物を手に駆け寄った。
「それから、生まれたばかりの赤ちゃんにも、誰かミルクをあげて」
とエイレイテュイアが指示すると、島に住む精霊の一人が進み出て、自身の母乳を飲ませてあげるのだった。
一人目の赤ん坊――女の子を取り上げるのに、一晩かかってしまった。後一人、男の子なのだが、その子が生まれるにあたって、新たな障害が立ちはだかった。それで、胎児を一時的に眠らせて、小休止を取ることにしたのだ。
「お祖母さま、私もお腹空いた」
疲れも手伝ってエイレイテュイアが甘えると、レイアーは微笑んでフルーツの盛り合わせを差し出した。
「はい、おまえの好きなものばかりだよ」
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月11日 14時25分44秒
icon
「月光女神生誕秘話・14」
「ねぇ、エリス様。いっそのこと、ここで私たちと暮らさない?」
ヘーベーの言葉に、エリスは微笑んで、言った。
「それはダメだ。母君が私を一人暮らしさせてる意味がなくなる」
「だったら、ご自分でお料理しなくちゃダメよ。さっき、お夕飯の時ね、お母さまが心配なさってたの。エリス様は血色がお悪いから、これからもお夕飯に招待してあげなさいって、アレースお兄さまに言ってらしたわ」
「そう、陛下が…恐れ多いな。ヘーベー、君はお料理はできるの?」
「ちょっとだけ。お姉様は上手よ」
「じゃあ、今度来た時には、私に料理を教えてくれ」
「ええ、いいわよ」
そして夜が来て――虹の女神イーリスが再び訪ねてきたのは、朝日が昇ったばかりの早朝だった。
エイレイテュイアの姿はなかった。
「お姉様はどうしたの?」
「まだ生まれないのかい?」
ヘーベーとエリスがそれぞれ言うと、それがぁ、とイーリスは言葉を濁した。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月11日 12時20分41秒
icon
「月光女神生誕秘話・13」
「起き上がれるようになったら、おあがり。エイレイテュイア」
ヘーラーはそう言うと、子供部屋を後にした。
足音が遠ざかるのを確認したエリスは、ようやくベッドから出てきた。
「もう大丈夫だな」
「見ていてヒヤヒヤしたわ! お母様ったら、あなたの熱を測った時、しばらく動かなかったでしょ? 気付かれたんじゃないかと…」
「あ!?」とエリスが驚きの声をあげた。「このミルク粥、おいしい!」
まったく緊張感のないエリスに、ヘーベーはため息をついてから笑った。
「お母様が自らお造りになったのよ」
「なんだか、得した気分。仮病で、王后陛下の手料理が食べられるなんて」
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月10日 21時30分28秒
icon
「月光女神生誕秘話・12」
しかしそれは、ヘーベーの取り越し苦労だった。エリスはご丁寧に金髪の鬘をかぶって、ベッドで顔を隠していた。
「具合はどうだ? エイレイテュイア」
ヘーラーが聞くと、エイレイテュイアそっくりの声で、エリスは言った。
「ご心配をおかけします、お母さま。少し納まって参りましたので、寝ていれば治るかと思います」
「そう? 熱はないのか? 測らせておくれ」
「…はい…」
エリスがそうっと額だけだすと、そこにヘーラーは優しく手を添えた。
「ん。熱はない…」
と、ヘーラーは言葉を切り、何を思ったのか、鼻をひくひくとさせた。
その間が、ヘーベーをとても不安にさせた。
やがて、ヘーラーはクスッと微笑んだ。
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 -
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
from: エリスさん
2006年06月18日 15時50分36秒
icon
「月光女神生誕秘話・31」
一方、廊下を歩いていたヘーラーは、後ろを歩いていたアレースに声をかけた。
「そなたは良い友人に恵まれたな。若いうちは、仲良い友と思い切り遊ぶことも必要だ」
「はい、母上」
「だが」とヘーラーは振り返った。「長男としての自覚も忘れるでないぞ」
「は、ハイィ!」
そんなわけで……
「剣の稽古するぞ!」
開口一番そう言ったアレースに、驚きながらも釣り竿を肩に担ごうとしていたエリスだった。
「今のは言い間違いか?」
「間違いじゃない!」
「じゃあ釣りは?」
「釣りもやる! 今晩は魚が食べたいからな。けど、その前に剣術だ!」
これは母君になにか言われたな、と察しのついたエリスは、釣り竿を下ろしてから言った。
「それじゃ、昼まで稽古するか」
「おうッ!」
こんな経緯があって、アレースとエリスが剣術の稽古を続けていくうちに、女神であるエリスが剣の達人になっていくのである。
しかし、アレースもそれなりに上達するのだが、やはりゼウスの長女アテーナーには最後まで勝てず、「ゼウスの長子」の称号は永遠にアテーナーのものだった。
さて、これまでずうっと話の主軸に出てこなかった神王ゼウスであるが…ヘーラーに戻ってきてもらう為に土下座したことだけ記しておこう。
終わり。
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。
閉じる
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。
閉じる
icon拍手者リスト