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from: エリスさん
2014年11月14日 11時53分16秒
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伝説異聞のそのまた異聞・3
エルアーが裁縫をしているのを、窓辺で眺めていたタケルは、聞くなら今かな? と思い、口を開いた。
「エルアーはレーテーの恋人になりたいのでしょ?」
その途端、エルアーは指先を針で刺してしまった。
「イタッ!」
「ああ、ごめん!」
タケルは駆け寄ると、エルアーの手から針を取って針刺しに刺し、血の出ている左手の人差し指を手に取った。
「ごめんね。わたしが変な質問をしたから」
「いいえ、私の不注意で......!?」
エルアーが驚いたのは、突然タケルがその指を口に含んだからである。
傷口を吸われたことにより、エルアーの指の出血が止まった。
「ごめんね、エルアー。でも、どうしても聞いておきたいことだったから」
「いいえ、そんな......悪いのは私の方でございます」
エルアーは床に座ると、手をついて頭を下げた。
「レーテー様にはタケル様がいらっしゃるのに、私のような、つまらぬ者が横恋慕などして......」
「つまらなくなんかないよ。エルアーは器用でなんでも作れるから、レーテーはそなたのことを、とても信頼している。それに、エルアーを女と恋が出来るようにしたのは、レーテーでしょ? だったら、レーテーはそなたに対して責任を取らないといけない」
「責任だなんて......私、そんな風に思ってもらいたくありません」
「ああ......そうね、ごめんなさい」
責任を取ると言うことは、愛情はないけど義務として受け入れる、ということである。そんな形で受け入れられても、嬉しいはずがない。
「大丈夫よ。レーテーはレーテーなりに、そなたのことが好きよ。ただ、どうしてあげればいいのかが分からないのよ」
タケルは言いながら、エルアーの両肩に自身の手を置いて、引き寄せた。
「男のようなわたしに触られて、嫌な気はしない?」
「はい、少しも」
「では......嫌だと思ったら、ちゃんと言ってね」
タケルはエルアーを抱きしめ、背を撫でたり、首筋にキスをしたりし、徐々に際どいところへも指を這わせていった。それでもエルアーは嫌がるどころか、甘い吐息を発していた。
タケルはエルアーを放すと、
「わたしでも大丈夫なようね」
「はい......恐れ多くも、私はタケル様のことも嫌いではありません」
「気に入ってくれて嬉しいわ」と、タケルは笑った。「でも、一番好きなのはレーテーなのね?」
「申し訳ありません」
「謝らなくていいから。わたしも、レーテーがこの世の誰よりも一番好き。そのレーテーが気に入っている娘だから、わたしもそなたのことを好きになれるわ」
タケルは、それまで床に座っていたエルアーを立たせて、一緒に窓辺の長椅子に座った。
「レーテーは戸惑っているだけなの。今まで秘め事と言えば、自分はいつも受け身で、わたしにされるがままになっていたから。でも、そなたを受け入れるとなると、立場的に自分が導いてあげなくてはならないから......なんでも器用にこなしてしまう彼女も、これだけは苦手なようなの」
「そう、なのですか?」
エルアーは恥ずかしそうに頬を赤らめながら聞いていた。
「でも、レーテーから聞いた話から判断するに......そなた、導きも得意なのでは?」
以前聞いた、レーテーの湯殿の世話をした時のエルアーの行動から察したのだが――ますます頬を赤くしながらも、エルアーは頷いた。
「はい。わたし......レーテー様の美しい裸体を見ると、触りたくて堪らなくなってしまうのです」
「うん。だったら、大丈夫」
タケルは満面の笑みを見せた。「すべて、わたしに任せて。エルアー」
レーテーが帰って来たのは、すっかり太陽が沈んだ夜のことだった。
「しばらく"忘却の川"を放って置いたものだから、あたりに雑草が生えちゃって、全部引っこ抜くのが大変だったのよ」
「それで衣服が汚れているのね」とタケルは言って、呟いた。「......好都合だわ」
「何か言った?」
「ん? 別に。そうそう、さっきお湯焚きの侍女から湯殿の準備が出来たって聞いたから、さっそく入ったらどうかな?」
「そうね。あなたも一緒に入るでしょ?」
「側近がご主人様と一緒に入浴するのはどうかと思うけど、今日はそういう固いことは抜きにしておくよ」
レーテーとタケルが湯殿に行くと、ちょうどマケ―とクレオが入浴を終えて出てきたところだった。クレオの方は湯で温まったからとは言い難いほど、頬を赤らめていた。
『これは、事後ね......』と、レーテーは察した。
「レーテー姉君、お先にいただきました」と、マケ―は言った。「ちょうどいいお湯ですよ」
「そのようね。私もゆっくり入らせてもらうわ」
レーテーがそう言って湯殿に入っていくと、タケルはマケ―達を見送った後で、湯殿を管理しているお湯焚きの侍女たちに、
「しばらく、わたし達だけにしてくれ」
と、言った......。
体にお湯を掛けてから風呂椅子に座ったレーテーに、タケル言った。
「体を洗いますか」
「ええ、背中をお願い。前は自分でするから......」
「何をおっしゃる。身分ある姫君は隅々まで侍女にやってもらうべきだよ」
タケルは言うと、脱衣所の方にいる人物に声を掛けた。「さあ、おいで」
すると、エルアーが一糸まとわぬ姿で入って来た。
「タケル? これってどういう......」
「君がハッキリさせないから、わたしが一肌脱いだのよ」
タケルはそう言いつつ、エルアーに石けんを渡した。
「前を頼むよ。わたしは背中を洗うから」
「はい、畏まりました」
エルアーは石けんを手の中で泡立てた。そして、直接その手でレーテーの体を洗いだした。
「え、エルアー!?」
レーテーが戸惑っていると、後ろからタケルがレーテーの肩を掴んだ。
「いいから、わたし達に任せて」
「任せてって......あっ!」
エルアーの指先が、レーテーの胸の一番敏感なところに触れた。
「ダメ......あなたが見ている前で、こんな......」
すると、タケルがレーテーの顔を自分の方に引き寄せて、キスしてきた。
「そういう偏見は捨てて。こういう愛の形もあるわ」
タケルは何度も何度もレーテーにキスをして、彼女の甘美な声が外に漏れないようにした。そうしながらも、自分もエルアーに負けじとレーテーの敏感な部分に指を這わせていく......。
「どう?」と、タケルはレーテーの耳元で囁いた。「二人っきりの時より、楽しいでしょ?」
それに答えようとした時、体の奥から波動が込み上げてきて、レーテーは声を上げる代わりにタケルに抱きつき、彼女の耳を噛みしめた――ちょっとした"お返し"の意味もあったが、快感と疲労で倒れてしまったレーテーは、それでも満面の笑みを浮かべて、言った。
「最高の気分よ」
その答えにタケルも満足した。「それは何よりです、ご主人様」
「憎たらしいわね、もう!」と、レーテーは言って、タケルの腕を掴んだ。
「エルアー、次はタケルにお願いね」
「はい、レーテー様の仰せとあれば」と、エルアーは再び石けんを泡立て始めた。
「いや、わたしは......男役専門だから、受け身はちょっと......」
「その偏見はやめなさい」と、レーテーは自分も言われた台詞で笑顔になった。
この日から、この奇妙な三角関係は始まり、今も変わらず続いているのである。-
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