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from: エリスさん
2015年01月23日 11時37分26秒
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悠久の時をあなたと・2
そもそも大地の女神ガイアは、最古の神である混沌の神カオスから分離して生まれた7人兄弟の一人で、後に名を馳せる不和女神エリスの実母・ニュクスとも姉妹にあたる。
そしてガイアは女神の勤めとして、己の力だけで天空の神ウーラノスと、海の神ポントスを産み落とした。そしてそのうちのウーラノスと夫婦となり、地上に神を増やしていった。先ずはオーケアノス、続いてテイアー、レイアー、コイオス、テーテュース、ポイペー、テミス、ムネモシュネー、クレイオス、ヒュペーリオーン、イーアペトス、クロノス――この十二柱は「ティーターン神族」と呼ばれるようになる。そして末子のクロノスを産み落とした時、ガイアは自分の体の異変に気付いた。立て続けに子を産んだがために、ガイアの体は衰弱し始めていて、これ以上子供を産もうとすれば、次は異形の者――すなわち怪物を産んでしまう恐れがある。
ガイアは夫であるウーラノスにそのことを告げて、もう子作りはやめて、自分たちの子供に次代を任せようと提案した。だがウーラノスは、
「妻が夫との臥所を拒むなど、許されることではない」
と聞き入れようとせず、ガイアに子を宿させた。その結果、ガイアは目を一つしか持たず、後に巨人として成長する双子のプロンテース、ステロペースを産み落とした。
ウーラノスは、醜い容姿で生まれてきたこの双子を、まだ赤子で抵抗できないのをいいことに、タルタロスの底に突き落として幽閉した。
当然ガイアは抗議した。
「だから私は言ったではないの! 次の子供は確実に怪物になるから、もう子供を作るのはやめようと! それなのに、あなたが私を抱き続けるから、あの子たちは生まれてきてしまったのよ。だったらあなたは、あの子たちを受け入れてあげなくてはいけない義務と責任があります! それなのに、あの子たちを奈落の底に突き落とすとは、どうゆう了見ですか!」
するとウーラノスはいまいましそうに言った。
「夫が妻を抱くのは当然の権利だ。なのに、妻が夫との臥所を拒絶するなど、決してあってはならぬこと。その結果怪物が生まれてしまったら、処分すればいいだけのことだ」
「あなたは、つまり......」
ガイアは体の底から湧きあがってくる怒りをどうすることもできず、叫んだ。
「私の体にしか興味がないということ!!」
するとウーラノスは平然と言った。「それがどうかしたのか?」
少しでもガイアに対する愛情があれば、そんなことは言えないはずだった。ウーラノスにとって結婚とは、性のはけ口でしかなかったのである。
そうしてガイアは子供たちを集めたのだった。
「もはや許してはおけません。そなた達、あの肉欲の塊と化した外道を、成敗しておくれ!」
ガイアはそう言うと、武器として用意した大鎌を差し出した。だが、ティーターン神族たちはみな口々に、
「父親殺しなど、恐ろしくて......」
と、躊躇するばかりだった。
話を聞いていたレイアーもその中の一人だった。
『お母様の気持ちも分かるわ』と、レイアーは思った。『お腹を痛めて産んだ子を、奈落の底に落とされてしまうなんて、私だってそんな苦痛には耐えられない。しかも、お父様にとって性欲のはけ口でしかなかっただなんて、そんな風に思われていたなんて知りたくもなかったでしょう。お父様を殺したいと、思っても仕方のないことだけど......』
父親殺しの大罪を犯すのは、誰にとっても恐ろしい事だったに違いない。
それなのに、彼は名乗り出たのだった。
「母上! わたしがやります!」
兄弟たちの前に進み出た彼は、末子のクロノスだった。彼も母親同様、怒りで握り拳を震わせていた。
「そんな極悪非道、許してはおけません!」
「おお! では!」と、ガイアは喜んで大鎌を差し出した。「これでウーラノスを!」
すると、クロノスはその大鎌を払いのけた。
「そんなのは後です!」と、クロノスは言った。「それよりも先に、可哀想な弟たちを救出してやらなくては!」
クロノスの怒りは、生まれたばかりの兄弟を奈落に突き落とされた、その一点が最重要だった。-
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