時々、問題行動を起こすＡ君。今日は先生の足を蹴った。
　きっと何か理由があるだろうと思い、話を聞こうとするがつんと顔をそらして目を合わせない。これは、ちょっと時間がかかるかなと思いながら、別の話題で気を紛らわすことにした。そのうちぽつぽつと話をし始めた。勉強が嫌いなこと、体育は好きなこと、先生が嫌いなこと、うちでよく叱られること、学年が上がったら空手を習いたいこと等話してくれるようになった。そのうち、「不意をついて、蹴ってやった。」と話してきた。ようやく本論に近づいてきた。（始めつんと顔をそらしていたのは、きっと私に叱られると思っていたからなんだろうな。）
　よくよく話を聞くと、先生がしなさいといったことをしたくなかったことがきっかけのようだ。そのうち「先生に謝ろうと思うけど、謝る勇気がない。」「先生、代わりに謝って。」などと言ってきた。担任にその旨を伝え、担任と話す機会を作ったが、教室に入ろうとはしなかった。
　「先生がそばにいてくれるなら教室に入る。」と話してくれた。それならと傍につき、授業に参加することになった。「休み時間も一緒に遊ぼ。給食も、５時間目も一緒にいて。」と話してくる。体育では一緒に走った。落ち着きを取り戻し、何とかみんなと一緒に学習することができるようになった。約束通り５時間目も教室の方に行くが、廊下で見ていることにした。友だちが、ドアを閉めようとしたとき、「先生が見ているからドアを閉めないで。」と訴える。仲間や先生の協力があり、ドアを閉めないで授業が始まる。教室を暖めているので、その後「影が映ってわかるから、ドアを閉めても大丈夫だよ。」と話し、ドアを閉めてもらった。ひょっとするとと思い、廊下でその時間を過ごした。活動が広がり教室を出て廊下で私を見ることはあっても寄ってくることはない。もう、離れても大丈夫。一人で教室でうまくやっていけそうだ。
　「先生、そばにいて！！」と叫んでいるのは、Ａくんだけではない。