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  • from: 岐阜のすーさん

    2010年10月13日 06時03分22秒

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    受け取った分しか受け取れない

     コミュニケーションには、話し手と聞き手とが存在します。話し手が一生懸命に話したとしても、聞き手は、話の内容をすべて聞き取ることはできません。
     当たり前のことですが、それが当たり前と感じていないで、話したことはすべて伝わったと勘違いしていることの方が多いと思います。
     「伝えたはずなのに伝わっていない。」
     「どうして、そうするのか。私の言ったこととは違う。」
     「何度も繰り返し言ったから、間違いないはずだ。」
    こんな言葉を時々耳にします。
     伝わったと思っていても伝わっていないことがあると不快を感じることがあり、相手に責任を転嫁する場面によく出会います。

     しかし、本当に相手に問題があるのでしょうか?

     聞き手は、話し手の言葉を受け取りますが、受け取った言葉は、話し手が思うような言葉ではないかもしれないのです。
     元々体験や経験が異なる話し手と聞き手です。同じ体験をしたのならば、同じイメージを描くと思いますが、異なる体験ではそうはいきません。
     自分の体験にあるものを使って、想像しながら、自分で話の内容をイメージするしかありません。ここに歪曲が起こります。

     また、相手が伝えたいことは言葉を介していますが、本来相手が伝えたいことは、言葉に表れていないこともあるはずです。そのため、話した内容だけしか受け止めていない聞き手は、すでに省略されている内容を受け取ることになります。そして、受け取った言葉をすべて受け取る力がなければ、ここでも省略が起こります。
     
     話し手は、歪曲と省略がある中であるにも関わらず、うなずいたり、「はい」と返事をしたりする聞き手を見て、「伝わった」と判断しています。そして、この姿を元にして次の行動を起こします。

     常に伝わったと思いこんでいるので、聞き手の行動が思いとずれると相手を非難します。そして、不快を感じるのです。
     
     しかし、この「伝わった」という思い込みから始まったことなのです。

    もし、伝わっていなかったかもしれないという思いがあれば、不快にもならないし、相手を攻撃することもありません。

     「やっぱり伝わっていなかったのか。」と考えたり、「伝え方が悪かったね。」と謝ったりすることができます。

     このようにコミュニケーションによってもたらされる問題の原因は、話し手の思い込みによることが多いのです。コミュニケーションでは話し手と聞き手が入れ替わるため、互いの思い込みのずれが問題をより複雑にします。

     互いが自分の伝え方の問題だと考えればトラブルに発展することはないと思います。
     このトラブルを防ぐためには、確認をするしかありません。一つ一つ丁寧に確認し、誤りがないかどうか慎重になる必要があります。

     特に聞き手が子どもの場合は、その点を慎重に扱う必要があります。私たちのように体験や経験が豊富ではないため、理解も十分ではありません。言葉が通じるからわかるはずだと思うのも思い込みです。
     
     全く異なる理解になることもあるのだというくらいの慎重さが必要です。これを欠くと子どもを叱らなくてもいいところで叱ったり、反省しなくてもいいところで反省させたりすることにもなります。

     授業も全く同じです。伝えたことがわかったことにはなりません。子どもが使って初めてわかったということになります。

     一方的な教授の授業(教師が子どもに伝える授業)では、子どもは十分わかっていないかもしれません。子ども自身が言葉にする機会を増やして、理解した内容を確認しなければなりません。

     伝える側の問題に気づくと、授業が変わります。常に反応を見て、確認しながら、授業を進める慎重さを持ち合わせる教師でいたいと思います。

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