楽天的な人と悲観的な人との違いは、原体験から生まれた価値観の違いによるものだと前回述べました。
ただ、この原体験を探り出すのは、なかなか難しいようです。それは、無意識の力が働くからです。
無意識は、己の安全安心を最優先にはたらきます。
そのため、己の危険が迫った時に働く原体験から生まれた価値観はとても重要なものですから、簡単に探れないように自分の奥深くに隠しています。見つかりそうになるとごまかしたり、嘘をついたりすることもあります。
ストレスは、己の価値観と深いつながりがあり、根本的に解決しようとすれば、自分の内面を深く探ることになります。
過去の体験を思い出せばよいのだから、関わりのある過去の体験を探ろうと、意識的に考えても原体験が現れるわけではありません。無意識は意識よりもかなり強力なので、意識で探ることはできません。
そこで無意識を扱います。
この無意識をうまく扱うために利用するのが、NLP心理学で行うタイムラインというワークです。
床に一本の線をイメージします。今立っている位置が現在になります。目の前には未来に続く一本の線があります。そして、自分を通り抜けて後ろに過去の線がつながっています。
つまり、未来、自分を通って、過去へとつながっている一本の線があるというイメージです。
ここでは、ストレスが起きた時の嫌な感覚を使って原体験を探ります。
現在の位置で感じるストレスが起きた時の嫌な感覚をもったまま、過去に下がっていきます。
感覚をもったまま過去に下がっていくとふっと思い出される出来事があります。
ただし、これは原体験ではありません。
多くの場合、原体験は、２、３歳の頃にありますので、その頃まで戻っていくことになります。
稀に、お母さんのおなかの中まで戻る方もいらっしゃいます。
ふっと浮かぶ出来事を見つけながら、過去に戻っていってふっと思い浮かぶ出来事がもうないなと感じたら、最後に浮かんだ出来事が、多分原体験になります。
また、原体験を探る過程でふっと浮かんだ出来事は、原体験から生まれた価値観を強化するために必要な出来事と考えることができます。
現在感じているストレスも原体験から生まれた価値観を強化するために必要な体験です。そして、それは、長い自分の人生のほんの一つの体験でしかありません。
そして、原体験を探ることは、原体験から生まれた価値観を強化するための体験を続けないための大切な体験になります。
また、別の見方をすれば、無意識は、自分が危険にさらされると反応して自分を守ってくれているので、ある意味私たちの意識とは無関係に働いていることから、私たちは、無意識のロボットになっていると考えることができます。
このことから考えると、原体験から生まれた価値観を探ることは、強力な無意識に対抗することになります。
言い換えると、これからも無意識のロボットとして生きていくか、それとも無意識のロボットをやめ、意志をもって生きていくかの選択を迫られているといっても過言ではありません。
根本的にストレス緩和には、その意志が必要だということにもなります。
ここまでのワークでは、原体験から生まれた価値観に気づくことができます。また、この先、価値観を変えようとすれば、これには少々技が必要になります。
でも、ここまでのワークで、原体験から生まれた価値観に気づくだけでもかなり変化します。
（ここで取り上げたストレス緩和は根本的なストレス緩和になります。一時的なストレス緩和ならば、ストレスケアの著書が本屋さんにたくさんならんでいます。また、お酒を飲んだり、運動したり、ヨガやアロマセラピーに通ったり・・・と体験されていると思います。これらは一時的なストレス緩和ですから、根本が変化していないので、何度も繰り返すことになります。一時的な緩和に一喜一憂している私たちは、無意識に踊らされているように感じます。）
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