今日も一日中うっとおしい天気ですね。
こんな日には気持ちをパッと明るくしてくれる,とっておきの花を。
Magnolia grandiflora
和名は泰山木（タイサンボク）です。その名前から、てっきり中国原産だとばかり思っていたのですが、実は北米原産です。アメリカではSouthern magnoliaと呼ばれることが多いそうです。
３０mにも達する常緑樹で、ダークグリーンの葉は厚くて光沢があり、葉の裏はスェードのような手触りでセピア色をしています。
(この葉は、グリセリン加工をすると、まるで皮細工のようになり
ます）
日本では、５－６月頃に花が咲きますが、この国では７－９月にかけて。直径２０－３０cmもあるぽってりとした感じの乳白色の花は、シトラスのような芳香があります。
イギリスでは、大きな庭園の壁に這わせてwall shurubとして植えることが多いのですが、私は、堂々とした自然な姿のまま巨木になっているのが好きです。

さて、その木がうちの小さな庭にもあります。
ここに来た時からありましたので、十年以上は経っていますが、
うんともすんとも言わず、大きな葉ばかりを茂らせておりました。
この国では日本よりも、開花するまでに年月がかかるとは
聞いていましたが・・・
それが７月の猛暑のあと、涼しくなった８月も半ば過ぎになって、
初めての花をぽっかりと咲かせてくれたのです。
そして、９月になってからもう一輪。
十年目のおくりものです。
植物との付き合いには、時としてこんな風にじっと待つしかないこともありますね。

　　　　　たまたまたずね来て
　　　　　　　　　　その泰山木が咲いていて
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山頭火