加速系は見かけだけ
重力場の存在で加速ロケットの動きも見掛け倒しになりました。動いたはずのロケットも見方によっては止まっていることになるからです。図ではロケットがブラックホ－ルの重力場から逃れようと必死ですが、中の人はロケットは快調に加速中と思います。外のリンゴも後方に飛んでいきますから。一方、重力場に自由落下しつつあるリンゴからみるとロケットは重力源に対して止まっています。この状況をまとめると「加速系も相対的な現象」となります。全宇宙に対して動いている物を決めることは重力場が存在する限り不可能です。

相対論　ｄｅ　敬語
日本が世界に誇る言語文化である敬語にも相対性が見られます。尊敬する人を敬う気持ちを２種類の言葉で表現するのですが、その１つが尊敬語、もう１つが謙譲語です。尊敬語は相手を持ち上げる言葉であり、謙譲語は自分がへり下る言葉です。尊敬語は相手の動作の表現であり、謙譲語は自分の動作を表します。こうして相手より自分が相対的に下になることにより相手に尊敬の気持ちを伝えます。相対的な落差を作るのです。

カクテルシェ－カ－の相対論
カクテルを作るとき、シェ－カ－にジンやジュ－スそれに氷などを入れ蓋をして中の物がよく混ざるように何回も振りますが、ここにも相対的な現象があります。シェ－カ－本体と中の氷はお互いに激しくぶつかります。どちらが動いているかなど決まりません。しいていうならば「双方が動いている」ことになります。無重力の宇宙空間の中で発進するロケットと中のリンゴの状況はこのカクテルを作る場合と同じです。宇宙空間で左右両側から接近してお互いに正面衝突するロケット達と同じです。うちわで扇いで顔に風を当てる場合と固定したウチワの前で頭を左右に激しく振る場合と同じです。この現実の空間における運動は全て相対的にしか記述できないのです

達磨の相対論
この現実の物理空間では誰も軸足を持つことが出来ません。まさに達磨さんです。運動は相棒との間でそのつど取り決めをすることになります。図の中で地表面Ｓをもし絶対空間と仮定するとＡとＢの相対的な加速度は相手が見えなくても計算で決めることが出来ます。そしてこれは「絶対加速度」でもあります。しかし、重力場の存在により絶対空間Ｓは存在が否定されました。その結果ＡとＢはレ－ダなどでお互いに観測できる位置関係で、初めて相対的な運動状態のみを決めることが出来るようになりました。個別には誰がどのような動きをしているかは誰も言い当てることは出来ないのが現実です。一般相対論の帰結です。

宙に浮いた加速度
重力場の存在により絶対空間（全宇宙に亘り固定した座標軸）が存在しないことがわかったので加速度も計算によって求めることが出来なくなりました。図をご覧下さい。絶対空間が存在するならば車ＡもＢも絶対空間に対する加速度を確認し、計算でＡとＢの間の絶対加速度も決めることが出来るのです。しかし、重力場の存在で絶対空間の存在は否定されたので計算することは出来ませんし、ＡとＢの間の加速度はお互いに観測して、「相対的加速度」しか確認できません。加速度は「相対的に」しか決まらないのです。このことが「全ての運動が相対的である」ことの根源であり一般相対論の基礎なのです。

加速系は重力場と酷似
加速系は重力場と酷似していて、区別できないので「本当に加速したのか」「何に対して加速したのか」ということを確認することが必要になりました。図をご覧下さい。宇宙にフワフワ浮いているロケットがあり中には天井に結わえた紐があります。紐にはバネばかりと錘がつないであり、これもたるんだまま宙に浮いています。このロケットがエンジンに点火してグンと加速します。すると錘のせいでバネや紐は真っ直ぐに伸びます。一方重力場に止まっているロケットの中でも上記の加速中のロケットと同じことが起こっています。このことを考えると加速中のロケットは止まっているロケットと同じなので本当に加速中なのかという疑問が出るのです。この結論を纏めると「ロケットと錘はお互いに加速系にある」と言うことに成ります。つまり加速系も相対的現象なのです。こうして全ての運動が相対的となり一般相対性理論の基礎が固まりました。

ゴルフとボ－リングは同じ
ボ－ルと他のモノが衝突すると云う点で見分けがつかないのです。
ゴルフは加速度系、ボ－リングは重力場です。
明日は十三夜

企業買収の相対性
最近、外国の金融グル－プが日本の企業を買収しようとしたニュ―スは皆さんもご存知でしょう。この時この敵対的買収を防いだのが「株式の相対的な持分の比率の低下」です。日本の企業は大量に株式を発行して、協力会社に買い取ってもらい、外国の金融グル－プの持ち株の比率を相対的に低くしたのです。比率が下がると経営権が手に入らないので買収を諦めるという方法です。「相対的」とはこのように２つ以上のモノの間で決まる事柄です。

ながれ星の相対性
流れ星を「あ、流れて行く」と感じるのは周りに見える星たちと違う動きをするからです。回りに何も見えない（地球も何も無い）状態ではただ光をだしてもえつきる線香花火のように見えます。ただこの時人間の脳は、立体空間をイメ－ジできる上に残像を感じるので真っ暗闇でも流れを想像してしまいますが。とにかく流れ星の成立には他の星達の協力が必要なのです。流れ星は相対的なドラマです。

絶対的の反対は相対的
絶対的なものはどんな物があるでしょう。たとえば合い異なる３つの点があると、この３点を含む平面は１つに決まってしまいます。反対に単独ではその状態などが決められないものが相対的になります。例えば囲碁の勝敗は、白の領土が黒の領土より大きいとき白の勝ちになります。白の領土だけに注目しても何も決まりません。このほか男と女、プラスとマイナス、磁石のＳとＮなど相対的なものは身の回りに沢山あります。相対的なものは必ずペアです。相棒がいるのです。相対論の場合は運動の「加速系も相手がいて初めて決めることが可能」であることをのべるのです。無重力空間の中でのロケットの発進単独では加速状態は確認できないのです。落ちてくるリンゴを確認して「ああ、自分はリンゴと相対的に加速系にある」と認識するのです。このことはロケットとリンゴ両者の世界のみに適用できるのです。全宇宙に拡張できないのです。それを阻むのが地球表面などで見られる「重力場」です。