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    2008年02月27日 06時47分25秒

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    「胎蔵マンダラ(2) 胎蔵マンダラの三重構造と「三句の法門」」
    [522]の続き

    胎蔵マンダラの三重構造と「三句の法門」

    ①初重〈菩提心=因の世界〉
    「菩提心を因とし」
    人を救うということ(菩提心) 「目的」

    ②第二重〈大悲=根本の世界〉
    「大悲を根本とし、」
    菩提心をエネルギーによって「仏の慈悲(大悲)」生じる「原因」

    ③第三重〈方便=究境の世界〉
    「方便を究境とする」
    具体的な仏の活動とその手段(方便)となる「結果」

    仏の「慈悲」について四位基台の正分合作用の三段階のような因果律を明らかにしている。

    このことは、私たちの心が存在する精神世界もまた(その「因果律」に則った形の)三重(三段階)構造から成り立っていることを示すものでもある。


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    2008年02月26日 07時06分43秒

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    「胎蔵マンダラ」

    胎蔵マンダラについて概略からまとめていきます。

    「胎蔵マンダラ」は、真言密教の根本経典である『大日経』に依拠したものです。

    「楽しくわかるマンダラの世界」では、
    『大日経』は、インド後期密教においては、『金剛頂経』に比べると論理的な体系でないため数理的なインド人には評価されなかったのではないかと論じられているが、
    真言密教においては最重要経典とされている。

    「胎蔵」とは、人々に悟りを求める心を、赤ん坊を宿らせた女性の子宮のように、宿し、育み、生み出し、さらに成長させて悟りへと導く、そのような「仏の慈悲」の時間的な変化を表現したものである。

    その図は、「金剛界マンダラ」とは違って、大日如来の座所である「中台八葉院」と呼ばれる中央の区画を、「重」と呼ばれる三重の帯が取り囲むような構造になっている。

    静かな池に小石を投じた時に生じる水面の波紋のように、仏(大日如来)の慈悲が同心円状に広がりながらさまざまに変化していくあり様を象徴している。

    両界曼荼羅
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%A1%E7%95%8C%E6%9B%BC%E8%8D%BC%E7%BE%85


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    2008年02月24日 06時54分45秒

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    「金剛界曼荼羅 向上門」

    この(1)から(9)の「向上門」の説明を仏教霊界通信を参考に説明します。

    ⑨この世的な成功法則や偶像、また、一般的な書物を通じて宗教的なものを知ろうとする世俗的な信仰も悟りへの第一段階とする。

    ⑧宗教心が芽生えると「もの」や「この世の常識」に縛られる心から脱しようと心を鬼(明王)とし、世間から遠ざかろうとする。
    (これは「戒律遵守」の段階に相当し、旧約聖書の律法遵守に近いものを感じる)

    ⑦欲は人が生きるために必要なもので滅却するには限界がある。
    欲求を肯定的にとらえ、欲がどうあるべきかを知ってコントロールする必要性を学ぶ。

    ⑥欲望のコントロールの境地を体得すると、そこに「唯一の存在」であり「智恵の根源」である大日如来の必要性を感じてくる。
    しかし、この段階では大日如来を実感として感じるわけでなく、まず観念的に理解する。

    ⑤さまざまな経験をへて、人は大日如来とその智恵の現れは、状況の変化に応じて千変万化な表現をされていることを悟る。

    ④大日如来の智恵の中には「その智恵を与えて人を救おうとする大いなる慈悲」が存在していたことを知ることで、
    また自分の「智恵を得ようとする心」を大日如来の「智恵をつねに与えようとする心」に素直に従わせることで、
    その智恵のさらに深い部分に踏み込むことができることを、人は悟ることになる。
    (この段階は新約の神の愛と許しを実感している段階のような境地と思われる)

    ③そうした見方をつづけるうちに、大日如来の智恵というものが小さな物質の元素や果ては宇宙の微細な振動の中にもあまねく行き渡っていることが理解できるようになる。

    ②さらに、もっとも高い段階においては、そうした大日如来の智恵がさまざまな「表象」によって示されること、そしてこの世の現象すべてがその映像であることを知ることができるようになる。

    ①かくして人は、智恵の根源である大日如来を生活の中で実感し、その智恵を受け容れる完全なる器となって、その智恵と一体化して、大日如来とともに生きるようになる。

    このように大日如来と一体となった境地のことを、密教では「入我我入」という。

    原理的に言えば個性完成して神に侍る境地に近いと思われますが、原理の四大心情圏と三大王権のような実体的心情関係の具体性というよりも、大日如来(神)との縦の関係の確立が強調されているように思います。


    次に胎臓曼荼羅のほうをもう少し突っ込んでみたいと思います。
    密教の歴史や後期密教に関して松長有慶氏などの専門家がどのように理解しているのかは空海個人の探求よりも私には興味のあるところで少しづつ調べたいとは思っています。


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    2008年02月23日 06時50分17秒

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    「金剛界曼荼羅 続き(4)」
    [519]の続き

    金剛界曼荼羅はこのように、どの仏を崇めてもそれは大日如来の顕現であるから即身成仏につながる、とよく解説されている。

    しかし、それだけでは間違いだと、私は思う。

    この曼荼羅の秩序を理解し、どのような段階にいるかを知って、
    より上の段階に導くものがいるか、この曼荼羅を理解して己の状態を知って何が必要かを悟るものに、即身成仏の道が開けるのだと思う。

    そのような理解に達するためにも、胎臓曼荼羅の理解をあわせてしておく必要があるのでは、と思います。


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    2008年02月22日 07時16分10秒

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    「金剛界曼荼羅 続き(3)」

    それでは[475]の続きの部分を書きます。

    (8)降三世会

    この区画にくると、さらに低い「明王」と呼ばれる段階の人に示される智恵が表されている。

    すなわち、世俗的な常識や慣習に縛られ、仏を信じられず己に執着する心を打ち破ろうとする大日如来の智恵とそのエネルギーは、罪悪に対する恐怖心となって現れることがある。

    そのような大日如来の現れは、恐ろしい姿形の「明王」として描かれている。

    旧約聖書において神様が恐ろしい神としてイスラエル民族に現れたが、それもこのような段階であると思われます。


    (9)降三世三昧耶会

    この最後の区画では、「明王」の「智恵を求めるエネルギー」がさまざまな仏具の形で示されることを教えている。

    ここでは、ご利益信仰的なものも1つの仏につながる知恵として与えられていることを示している。素朴な人たちには「もの」あるいは「偶像」のような単純なご利益信仰から仏に至る智恵の第一歩が与えられることが、ここで示されている。

    ここでは、宗教的な行事に参加したりする中にも仏とつながりがあり、その中で大日如来の知恵や慈悲が与えられる。

    つまり、神の愛や知恵を感じる道が開かれていることを意味する。


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    2008年02月20日 06時31分30秒

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    「Re:Re:Re:金剛界マンダラ、上転門と下転門、空海と両部不二(2)」
    [517]の続き

    「遍調伏品は世界の本性はすべて清浄であることを体得させるために,
    蓮華部の調伏の働きを表にして,一切煩悩をコントロールし,人間の生の根本である煩悩を偉大な宗教的生命に高めていくことを,様々な角度から説示する。

    一切義成就品は,降三世品の根本煩悩の降伏と,曼茶羅への再生,遍調伏品の煩悩のコントロールと,清浄世界の開示と大生命の蘇生が,当然に人間本性の珠玉を顕示していくことを示したものである。

    ここでは豊かな人間本性の立場から金剛界曼茶羅を見ようとし,前品同様に,大三法羯四一の六種曼茶羅が説かれているのである。

    以上みたように,金剛界品は金剛界の全体的,普遍的な特性を示すのに対し、
    降三世品は煩悩降伏と再生復活の立場を,
    遍調伏品は一切の浄化と大生命の付与を,
    一切義成就品は人格の宝珠が顕示される立場を表にして
    説示するのである。

    それ故,各品はそれぞれに連関がある。」

    (「主要密教経軌解説」八田幸雄著 より引用)
    http://books.yahoo.co.jp/book_detail/03334605

    とあります。


    降三世品、遍調伏品、一切義成就品は、蘇生、長成、完成の3段階、
    あるいは、旧約、新約、成約の3段階にあたるように思います。


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    2008年02月19日 06時38分53秒

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    「Re:Re:Re:金剛界マンダラ、上転門と下転門、空海と両部不二」

    > 堕落したというのは誤解だとも言われますが、金剛頂経に偏りすぎた結果ある程度の問題は含んでいるとは思われます。

    まるっきりそれで堕落するとは言いがたくても、
    人間中心に偏ることでいろいろな問題が出てくる可能性はありますよね。


    > 完成した状態の『初会金剛頂経』(『真実摂経』)は、「金剛界品」「降三世品」「へん(遍)調伏品」「一切義成就品」の四章から構成されている

    > 不空訳の金剛頂経三巻は、冒頭の「金剛界品」の、さらにその一部にあたりますが、逆に一番本質的な内容が書かれた部分であると思います。


    私の持っている「主要密教経軌解説」(八田幸雄著)
    http://books.yahoo.co.jp/book_detail/03334605

    にも、そのように書いてあります。

    この本から抜粋すると、

    「しかし最も根本になるのは,金剛界品の中の金剛界大曼茶羅である。」

    「降三世品は,世尊の教えに背を向ける傲慢な自我心を降伏するに,金剛忿怒の働きを表にして,金剛界の世界を証得させることを示す。

    ここでは大自在天をはじめ,五類諸天をもって,根本煩悩とそこより生ずる様々な煩悩の働きを示し,大自在天,ならびに五類諸天を降伏し,曼茶羅に遍入させることを説く。

    これは,根本煩悩の主体である人間存在が,一転して法身大日の世界に再生されることを象徴的に示すのである。」


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    2008年02月17日 06時42分20秒

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    「生命誕生の「最新シナリオ」(3)」

    「最新シナリオ」でなぜ両者のギャップが大きいのかといえば、科学の議論になると性相的な部分がどうしても欠けてしまうからだと思います。

    科学では既存の分子構造を把握してもそれにもともと意味があるとまでは言うことができません。

    ところが、生命機能は、目に見える形状によってあきらかに「機能」が実現されているのであり、
    機能という性相面が形状面によって実現されている、というのが事実であるからです。

    科学がこれについて何らの説明もできないのでギャップは限りなく大きいのだと思います。


    また、機能の実現を化学進化的に説明できるのは、変化の過程が一本のプロセスのみの場合に限られます。

    複数のプロセスの結合である「ネットワーク」があって初めて達成されるような機能は、化学進化的な説明では説明出来ず、ランダムな偶然と言う以外にはなくなってしまいます。

    すなわち科学的には偶然に委ねるしかなく説明を放棄する以外にはないのです。

    化学進化の説明範囲を超えたネットワークの存在は、
    相対的授受相関対応関係であり、
    http://pocs.info/josetu_text_setu.htm
    科学的に説明できない性相的な存在であり、かつ、生命の起源にとって必要不可欠な存在だということができると思います。


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    2008年02月16日 07時08分17秒

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    「生命誕生の「最新シナリオ」(2)」
    [514]の続き

    4.DNAとタンパク質の両方が必要だが、どちらも単独では出現し得ない

    DNAは設計図であり、化学反応を促進する装置はタンパク質で、この両者は生命に欠かすことができない。
    ところが、DNAもタンパク質もそれぞれ単独では出現し得ない分子である。


    5.RNAワールド仮説が現在有力だが、自然合成されるには複雑すぎる

    RNA(自己複製を行うリボザイム)から始まり、細胞膜の獲得、タンパク質の獲得、DNAの獲得に至ったという「RNAワールド仮説」もあるが、RNAの鎖をつくる基本ユニットである「リボヌクレオチド」はアミノ酸に比べて複雑な分子であり、これが自然合成された例はない。


    6.最初はアミノ酸のランダムな配列だったとしか考えられないが実際の生物とのギャップははるかに大きいというのが、生命誕生についての「最新シナリオ」の結論

    生命はタンパク質から始まったという説においては、最初は設計図などではなく、4種類のアミノ酸がランダムにつながったものだったのではないかという。

    しかし、生命起源の研究の2つのアプローチ、すなわち、
    化学進化によって無機物からどのような有機物が生じどのような生命体を作り出すのかを検証するアプローチと、
    現在の生物の共通先祖やさらに原始的な生命の姿を探るアプローチの、
    両者の間に横たわる溝はまだまだ大きく、両者はつながっていない。

    (続く)


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    2008年02月15日 06時54分56秒

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    「生命誕生の「最新シナリオ」」

    Newtonは、最新の科学をわかりやすく整理してレポートしてくれていますね。
    2007年03月号には、生命誕生の「最新シナリオ」がレポートされていました。

    月刊科学雑誌『Newton』2007年03月号
    http://www.newtonpress.co.jp/science/newton/back/back07/n0703.html
    「最初の生命」はどう誕生した? 物質に「命」が宿った瞬間
    協力 小林憲正/藤井紀子/出口 茂/菅 裕明/池原健二/ジェラルド・ジョイス/フリーマン・ダイソン

    述べられている中で注目すべきところ(1〜6)をピックアップして、コメントを加えたいと思います。

    1.生命とは何か
    生命は自分と同じ姿をした子孫を作り出すこと「自己複製」ができる。
    また生命は、「個体」を維持する一連の機能「代謝」も持っている。
    生命の起源を探ることは、生命の2大機能である「自己複製」と「代謝」がどのようにして出現したのかを探ることである。

    2.アミノ酸の利き手問題
    1種類のアミノ酸には必ず左手型と右手型があり、ミラーの実験やそれに類する実験では両者のアミノ酸が等しい量つくられる。
    しかし、地球上の生物はほぼ例外なく左手型のアミノ酸だけをタンパク質の材料にしている。これは「アミノ酸の利き手問題」と呼ばれ、生命の起源にひそむ大きな謎としてよく知られている。

    3.膜のカプセルの出現が生命誕生の重要な鍵
    生命の誕生には材料分子を高濃度に濃縮する必要があり、大量に水があるところでは分子が分散してしまい、生命に至る反応は起きない。
    オパーリンは、膜のカプセルの中に生命の材料となる分子が閉じ込められ、かつ、分子どうしの化学反応のネットワークが最初にあって生命が始まった、と言った。

    (続く)


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