以前から思っていたことも含め、最近の広告のひどさが目に付く。
　以前から思っていたのはTV・CM。CMになると突然音量が上がる。2段階くらい。これってTV局が番組内容よりもよりCMの方を視聴者に届けたいってことか、って思う。どうせどっかの広告会社とTV局が合意のもとに始めたんだろうけど、広告主はそれで本当に良しとしているんだろうか。私はこういう広告手法に甘んじている広告主には好感は絶対に持てない。
　昨日出会ったのは地下鉄車内の広告。車両の床に大きな文字で広告コピーが書いてある。正確な文面は覚えていないが確か「車内から広告を全部なくしてすっきりさせました」みたいなことだった。で、広告は「ボラギノール」。確かに額面という車内側面の上の方に並べて掲示するものや、中吊りと呼ばれる天井からぶら下がったもの、さらにはドア上にある液晶画面表示も全部なくなっている。ちなみにドア上の液晶画面には広告だけでなく、天気予報やニュースも出ていたのに真っ白い画面の下にものすごく小さく「すっきりさせますボラギノール云々」的な広告コピーが流れているだけ。単純にその奇抜さや初めて感をかっての広告出稿だったんだろうけど、液晶の番組もなくすのはやりすぎと違うんか。天気予報もニュースも暇つぶし以外にも役に立つし、スケベなオヤジやオバはんだって広告に出てくる美女やイケメン見て目の保養にしてることもあるんじゃ。
　腹が立つのが二つ。
　一つはPCやスマホ広告。サイトや投稿を見てるそばからその画面の上に乗っける形で出てくるやつ。邪魔なだけだし、消しボタンがあまりに小さくて見えなかったり、あってもタップしづらく結局その広告へリンクしちゃったり。こんな広告見てその商品を買おうって奴いると思ってんのかな。
　もう一つは特にTVの提供CM。番組の内容の真逆のような、あるいは内容を引き継いだようなCM。神経逆撫でみたいな真逆パターンはいくつもあって、むかついたせいではっきり覚えてないんだけど、例えば子ども食堂を取り上げた番組の直後にディズニーランドの広告が流れる、空き家急増中って番組の直後にマンション広告、みたいなパターン。特にニュース番組の後はそりゃ面倒かもしれないけど、TV局も流すCMの順番くらい変えたら？ＡＩ使えば番組内容の予定とＣＭ内容を判断して、流すＣＭの順番変えるくらいの事出来るんじゃないの。ニュース原稿読ますんじゃなくで、そういう事にＡＩ使えよって。
　引継ぎパターンではW杯ラグビーで日本敗退後に流れたイチロー応援コメント（アサヒビール）CMなんか最悪で、「リアルタイムの気持ちを視聴者の皆さまと共有することが狙いでした。勝ちパターンも用意してました」とか企業は言ってるようだったが、試合を見てもいない段階で収録・制作しといて「僕も感動しました」はないでしょ。あれだけの尺で流すのなら「このCMが流れているってことは負けてしまったという事なんでしょう。でも、きっと全力で戦ってくれるに違いない、戦ってくれたに違いないと僕は信じています」程度のセリフを言わせろよって。イチローもなんでこんなコメント文言原稿に文句言わなかったんだろって。いい加減視聴者を小ばかにするようなことはやめた方がいい。

　昔日のTV・CMは本当にすごかったと思う。リアルタイムで見てた人は多くの人が同感じゃないかと思うけど、例えば有名なやつでサントリー・オールドなんか、子供だった自分が見てても「早く大人になりたい」、「飲みたい！」って思えて、縁日で買ってもらったハッカパイプ（ポパイのパイプみたいなやつ）くわえながら親父のロックグラスで梅酒呑んでた。ＲＸ－７やレグノ、浜ゴム、ダーバン、資生堂なんかアート、作品って言ってもいいくらいのＣＭ群だった。実際はそんなに美味しいわけでもないのに何度一種騙されて一番安いネスカフェ買っちゃったか。
　今の広告クリエイター達はいったい何をやっているんだろう。企業宣伝部は何も感じていないのだろうか。メディアには読者、視聴者の事を真剣に考える人間がいないのだろうか。「広告」をしっかり広告として見せ、子供が見て「早く大人になりたい」と思うような、何十年後でも記憶に残り、また飲んでみたい、乗ってみたい、使ってみたいと思えるような、そのＣＭ，広告自体をまた見たい、聞きたい、読みたい、そんな広告が無さ過ぎないか。