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  • from: jun_zoさん

    2011年04月03日 17時38分16秒

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    もっとも美しい対称性

    イアン・スチュアートの「最も美しい対称性」を一応、
    最後まで読んでみました。
    原題は「Why Beauty Is Truth」。
    副題に「The Story of Symmettry」とあります。

    「対称性(対称変換)は数でも形でもない。特別な種類の返還、すなわち物体を動かすやり方のことである。変換した後でも物体が同じに見えれば、その返還は対称変換だ」とあります。

    物理法則は場所が違っても同じであるはず。つまり、空間運動や時間経過に関して物理法則は対称的でなければならない。

    その対称性の探求は純粋数学で進み、その概念は素粒子や宇宙を研究する現在の物理学で有力な欠かせない手段となっている。

    ところで、本書が美術への興味に関連して面白いのは、ルネサンス時代の遠近法にまで話を戻している点だ。

    「1425年にフィリッポ・ブルネレスキが、正確な遠近法のための系統立った数学的方法を定式化し、その後、それを他の画家たちに伝授した。1435年にはこのテーマに関する初の書物として、レオーネ・アルベルティの筆による『絵画論』が出版されている」

    「この方法は、ひとかどの数学者であったピエロ・デラ・フランチェスカの絵画において完成を見た。ピエロは遠近法の数学に関して3冊の本を書いている」

    ダ・ヴィンチの「絵画論」には、「数学者でない者には私の著作は読ませるな」と記されているとのことです。

    著者が言いたかったのは、遠近法で射影幾何学を使っているという点。この話から、五つある例外型リー群の話につながっていくのですが、そこはかなり難解です。

    「歴史を通じて数学は、二つの異なる豊かさをもらってきた。一つは自然、もう一つは論理的思考の抽象的世界だ」と。

    西洋絵画で盛ん研究された人体ですが、自然の一部。
    日本の美術に多く登場する花鳥風月も自然。

    当然といえばそれまでですが、数学と美術の共通性は感じます。
    美術では「論理的」に加えて、「感性的」と言ったらいいか、
    もう一つ軸がプラスされますね。

    ところで、イアン・スチュアートはこの本で多くの数学者、科学者について様々なエピソードを紹介。
    その何人かは、フィリップ・ステッドマン著の「フェルメールのカメラ」にも登場します。
    こちらは、アリストテレスが木陰に映る太陽の像を観察したことから話が始まります。ピンホールカメラの原理。

    結局、私たちがデジカメで簡単に二次元画像を手に入れられるまでに、光学、芸術の長い歴史の文脈がある。

    写真は戦後、米国で芸術としての評価が高まりましたが、現在の絵画と写真の立ち位置を考える上でも、「フェルメールのカメラ」はとても参考になりそうです。

    まだ、最初の数ページを読んだだけなので、またご報告しますね。

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