家庭教師のお兄ちゃんと久々に会って、裕子とっても嬉しかったけど、一瞬しまったと思ったわ。何故かって？　それは裕子の服装なの。皆からは50歩100歩って言われるかも知れないけど、この日は特別に短いタイトスカートをはいてきてしっまったの。普通の人ならこんな短いスカートをはいたら、たいていはお尻がはみ出しちゃう筈だけど、裕子はお尻がキュッと思いっきり上がってるからパンツが丸見えにならないのね。こんな裕子の刺激的な姿に気が付かないような雰囲気で、お兄ちゃんは暫くは紳士的にしていたけど、話が裕子が最近まじめに考えていた宇宙論に及ぶと、やおら目が輝いて、熱っぽく細かな理論物理の解説を始めたわ。そして、そのお手手が昔通りに裕子の太腿に伸びてきたの。裕子がヤ～ンって言って後ずさりすると、コラ!　て怒られちゃった。これも昔通りなのね。乗り始めるとお兄ちゃんは理論のエクスタシーとセックスのエクスタシーとの区別がつかなくなっちゃうのよね。そして、裕子の太腿を膝からスカートの裾まで指でスリスリし始めたわ。裕子もご高説を伺いながらいい気もちになっちゃって、困ったもんよ。

お兄ちゃんと初めて行き会ったとき、裕子は中学1年生で、身長は160㎝位だったので、比較的大きい方だったんだけど、お兄ちゃんは確か170㎝位だったから、大分と見上げた覚えがあるわ。中学の3年間で裕子は168㎝まで成長したので、この頃はほとんど一緒のように感じたわ。そして高校の3年間、裕子はあと2㎝ほど伸びて、ショーウインドウとかに映った影は裕子の方がやや上にあるような気がしたわ。でも感覚的にはほとんど一緒っていうのが正直な記憶だったの。ところが、9年ぶりに再会したとき、先ずびっくりしたのはお兄ちゃんを明らかに見下ろすようになっていたことなの。さっきは2年ぶりの再会って書いて、ここでは9年目て書いたけど、ここら辺は自分でも良く分らないの。裕子は年齢が20歳でストップしたから、2年ぶりの再会と書いたんだけど、実は地球時間に換算すると9年もたっていたのね。どっちがホント？この9年間、裕子は時空間を行ったり来たりしていて、最近は背が175㎝に伸びていたことは確かなんだけど、お兄ちゃんはこのカオス時間の間に縮んじゃったのかしら。時空間のどっかでたまに出会うこともあったけど、その時はいつもほとんど同じ背丈だったのよ。乱れた時空間をさまよってる間にいろんなことがあったのかもね。普通は子供のころに脚は伸びきって、その後は年頃になるにしたがって胴長になるって聞いていたけど、この亜空間を彷徨ったこの9年間、裕子は不思議なことに脚だけが伸びてったような気がするわ。

2年ぶりで家庭教師のお兄ちゃんと再会したわ。2年ぶりって言うけど、実際は多元宇宙にお互い放浪してたわけで、裕子は勿論二十歳のまんまだけど、お兄ちゃんも多分別れたときから年を取ってないような顔つきをしてたわ。てことは26歳のままなのかしら。かつて裕子たちが天の川銀河系の太陽系の地球に住んでいた頃、１年365日、1日24時間で成長していった頃、裕子が中学1年生になった4月、お兄ちゃんは京都大学理学部の新入生で、下宿探しで家を訪ねてきたの。そして、家に居座ったってわけ。裕子の両親が大変気に入ったみたいね。それで、彼の生活保障も兼ねて裕子の家庭教師なったってわけ。そして、彼が前期博士課程を修了して、某製薬会社に入社するまでの6年間、裕子が高校を卒業して大学入試にパスした年に彼は当下宿から巣立っていったわ。そして、それから2年が過ぎた年、宇宙戦争が勃発して裕子を含む特定の人間の周辺の時空間が滅茶苦茶になっちゃったの。そこでこの時から2人は年を取らなくなったってわけ。ちなみに裕子は2007年にお兄ちゃんと一緒の京都大学の理学部に一応合格したんだけれど、2回生のときに亜空間で勃発した宇宙戦争に巻き込まれて、その後、なんだか訳が分らなくなっちゃった。