｢多分，Dr.Slip は先ず，中学生時代の裕子に合わせて自分を創り上げたのさ。裕子の周辺にプロッティングし，裕子の愛情を獲得した。そのころは脚の長さだけのコンプレックスで済んだけれど，むしろこのコンプレックスが快感だった気がするが，裕子の成長が著しくて，身長差も脚長差もあまりにも隔たりができてしまった。
コンプレックスエクスタシーもあまり高じると切なくなるもので，そんな訳で少し手直しをして出直そうと考えたんだろう。そしておいらの誕生となったのさ。Dr.Slip は，背丈がほぼ一緒で，股下長が極端に違うと言う設定が最もお気に召してるようだ。常にややマイナーな平均的存在になって裕子に近づきたいんだろうね。裕子のように素直に成長していく人形が羨ましいよ。おれなんざあこの強烈な願望のおかげで，ステータスまで変えて出直さなきゃあならんのだから。Dr.Slip の屈折した欲望のために。｣