｢すると，春香さんの手がやや震えたように感じたわ。春香さんの股の位置は確かに裕子のより上にあったわ。だけどヒール高さを換算したらひょっとしたら裕子のほうが長いんじゃないかと感じたのは裕子の錯覚かしら？でも春香さんもそう感じたと思うよ。ちょっとリアクションが一瞬尋常でなかったわ。公証96cmの股下長の春香さんに対して3cmと違わないような気がしたの。ヒール差が7cmとすると，・・・・・・何と裕子の股下は１ｍ！暫く凍りついたような空気になったわ。春香さんはやはり大物ね。“やっぱり私のほうが長いわね。”と言い，さっと身を離したわ。そして，“スケジュールがあるから。”て言ってスタジオから出て行ったの。でもその後がなんか変なムードになっちゃった。裕子も居た堪れないから，逃げ出したかったけど，スタッフの人が暫くここにいてくれって言うの。プロデューサーだかディレクターだか分かんないけど，なんか偉そうな人たちが走り回ってなんか盛んに命令していたわ。
そして５分ほどたったころ，多分一番偉い人から突然のアナウンスがあったの。残りの30分間は予定のスケジュールを全てキャンセルして，本件に絞ると言う内容だった。本件ていったい何？ひょっとして裕子と関係してるの？何かよく分からなかったけど，多分そういうことのような気がしたの。図星だったわ。裕子は芸能人でも文化人でもない普通の人なのに，どうすればいいの？何の説明もお願いも無いのよ。そんな裕子が公共の電波を撹乱しちゃったみたい。後で聞いた話だと，このターニングポイントとなった5分間，ずっとコマーシャルをやってたんだって。