「これが有名なゼロ戦ね。」
「そうだ，日本海軍の航空兵力の象徴だ。日本は太平洋戦争の5年間，このゼロ戦で戦い続けた。デビューした当初は，想像を絶する航続力に，フィリピンの米軍は度肝を抜かれたようだ。そして良く訓練されたパイロットと一体となって，無敵の伝説を生み出した。
ところが，アリューシャンでゼロ戦を鹵獲してみると，以外に脆弱な装甲にビックリしたらしい。そして，この脆弱性に着目した対策が米軍式ハリネズミとなった訳だ。自軍の戦闘機の戦法も根本から見直したらしい。敵を知り，フレキシブルに対応できる米軍に対し，精神力と思い込みに慢心して敵を知ろうとしなかった日本との差が高々5年の間に歴然となってしまったんだな。これは単純に物量の問題ではなく，コンセプトの問題だ。」
「そして最後には日本の航空攻撃力では米艦船に勝てなくなって，特攻だけが唯一の手段となってしまったのね。」