「上野まで、京成電車の急行に乗ったの。たいした込み具合ではなかったけど、裕子は立ってたわ。そしたら、横に立ってた40歳ぐらいのおじさんが、折りたたみの傘を小脇に差したの。そしたら、おじさんの背中側にとび出した柄の部分が裕子のスカートの中に入ってきて、しかもおじさんは傘の前を下げるもんだから、モーメントの関係で、スカートが捲くれ上がっちゃったの。止めて！って言ったら、おじさんは、普通そんな高さにスカートの裾なんかないんだ。脚が長すぎるお前が悪い。って言うのよ。まるで誰かさんみたい。こんなシーンもちょっと前に夢で見た気がする。ほんとは、夢の中ではもっともっと怖いことが起こっていたので、ほんとに背筋がこわばってきたわ。」