「この自然公園は街中にあるのに、何だか山中に踏み込んだような気がするわ。心身ともに疲れちゃった裕子を癒してくれる絶好の場所ね。ここはぶなの森ね、森の空気が美味いわ。」

「裕子、街の雑踏も嫌いじゃないけど、どうも今回は一人で自然の懐に抱かれてみたい気がしたの。そこで、近所の自然公園にふらっと行ってみることにしたの。ここはメタセコイアの群生林よ。」

「さあ、着替えて気分一新、外に出よう。」

「昌夫さんは、ゆっくり休めって言ったけど、家の中に1人でいるとかえって気が滅入っちゃうわ。もう、裕子の得意技の鈍感力を発揮して、総てをリセットしちゃうことにしよう。丁度、悪夢に魘されたあと、目が醒めた時みたいにね。正夢ってこともあるって？
そんなことを言ってたら、鈍感力は身に付かないぞ。」

「今回のタスクは特にタフだった様な気がするわ。男どもの集団に縛られたり、吊るされたり、掴まれたり、触られたり、揉まれたり、突かれたり、体のそこら中に忌まわしい感触が残ってるわ。でも、時間がたつと甘味な記憶に変貌していくような気がするの。そんな自分が怖いわ。」

裕子、しばらくはゆっくりお休み。

「これで裕子は1人ぼっちになっちゃった。また異常な事件が発生して、出動要請が来るまで、好きなこと三昧をします。
ところで裕子は何が好きなんだったっけ？
いい機会だから、人生をもっとまじめに考えるのもいいかもね。」

「じゃあな。アディオス裕子」

「・・・・・・・」

「では、さらば。異常なことが起きて、時空の乱れが生じた時、また自然に会えるだろう。」

「その時は、裕子もう少し成長してるね。」

「あんまり大人にならなくっていいぞ。それから、もう脚も伸ばさなくっていいからな。」

「お別れの前に、もう1度股下長の差を実感させてくれるか。」

「いいわ。好きなようにして。」

「丁度この位置でフィットするんだけど、。。。。。」

「裕子、なんにも言わないわ。だって、脚の長さなんて、価値観の総てじゃないもん。」