「裕子はケンブリッジ大学でお世話になった、ブライアン・ジョーンズ教授と再会したわ。グリニッジのロイヤルネイビーアカデミーで昼下がりに待ち合わせしたの。裕子は今では影の組織になっている地球防衛軍の中尉なんだけど、ブラックホールに相当する凄いエネルギー源をあそこにインプラントされてるの。そのカプセル製剤を造ったのがこの先生なの。それから定期的に様子を看てもらってるわ。ジョーンズ教授は薬学の先生だけど、アマチュアの天文学者もやってて、薬学の講義よりもずっと熱っぽく宇宙論を話す人だったわ。赤ら顔で、とっても元気そうだった。」

「テムズ川に面してタワーブリッジの近くにロンドン塔がある。」「裕子も知ってるわ。イングランド王家のお家騒動で多くの王家の人たちがここで処刑されたのね。ここに出てくる幽霊があまりにも多すぎて、むしろ陽気なイメージだって聞いたわ。王族の人たちだけでなく、トマス・モアやクロムウェルとかの有名人も王に楯ついたということで処刑されちゃったのね。」「そういうことだな。ところで、ここには世界最大級のカットダイヤモンドがあるって知ってるかい。カリナンって言うんだ。」「知らなかったわ。是非拝んで帰りましょ。ところで、もういい加減スカートの中をこちょこちょするのやめて！」