「裕子は痴漢退治で有名になっちゃったけど、これが良かったのか、悪かったのか？　これが切っ掛けで変なアイドルになっちゃって、連日ファンたちに追い回されるようになっちゃったの。そして、動くパワースポットなんて言われて、油断してるとスカートは捲くられるわ脚には触られるは大変よ。やってることは痴漢と一緒の様な気がするわ。でもこういう輩を裕子が吸収して他の女性は安全になったって考えたら良いのかな？　いずれにしても迷惑この上もないので、実はこれが切っ掛けでスポーツサイクルを愛用するようになったの。」

「ほら裕子は余裕を以て跨げたわ。でもお兄ちゃんはタイヤを跨ぐのが精一杯ね。」

「裕子バ。トのお金でスポーツサイクルをポーツサイクルを買っちゃった。これから地球中走りまくるぞ！」
「裕子はやると決めたら諦めることを知らない娘だから止めても無駄だろうな。ところでこんなにサドルが高いのに跨げるのか？」
「裕子は多分行けると思うわ。でもお兄ちゃんは絶対無理やろうね。」

「ミトコンドリアは細胞内に沢山住んでいるけど、1つ1つが遺伝子を持っていて、独自に有性生殖も分裂増殖もできるって言ったけど、単独にそれぞれ遺伝子を持っているってことが癌やらいろんな病気の諸悪の根源だって疑われた様なのね。当時、国立がんセンターにいてはった林純一という先生が、ミトコンドリアの遺伝子は突然変異を起こし易いけれども癌化には至らない、ってことを実験的にも論理的にも証明したわ。がんセンターでのテーマがミトコンドリア癌仮説を確立せよということだったので、風当たりが相当にきつかったそうよ。林先生はこれだけでは終わらず、先天性疾患や遺伝病にも例外はあるけど殆どシロという結論を出したの。そして、裸の遺伝子を持つ最も変異しやすいミトコンドリアが何故シロなのかというメカニズムもしっかり提唱してるの。このメカニズムがまたまたきわめてミステリアスなのよね。ミトコンドリアは遺伝子を持っているから有性生殖をするんだけど、勿論父方からは精子の形で、母方の卵子へ突入する訳だけど、どういうわけか生殖すると精子の遺伝子はみんな死んじゃって、卵子の遺伝子しか残らないんだって。そんな訳で一方的に母方の遺伝子のミトコンドリアばっかりが増えて行って、父方のミトコンドリアは消滅して、遺伝子変異やなんかで多様化したミトコンドリアは自然に純粋種に戻るんだって。これが癌原性にならない理由の１つらしいのね。こんな訳で、ミトコンドリアのもとをたどると人間のルーツに行きつけるんだって。何でも今盛んに内戦している南スーダン辺りがイブになるんだそうよ。そうしてもう1つ優れているのはダメージを受けたミトコンドリアに対して、他の多くのミトコンドリアが結合して修復しちゃうシステムを持ってるなんて言ってたわ。凄いダメージコントロールの仕組みね。そんな優れた機能から、ミトコンドリアは人間が死んでも、あるいは宿主である細胞が死んでも数か月は生きているんだって。不老不死の存在だなんてことも言われているわ。こんなことから怖いＳＦチックな話が生まれてくるのね。パラサイトイブだとかミトコンドリアの解放だとか。」

「話はここから面白くなるのよね。酸素を生体エネルギーに変えることに成功したミトコンドリアは　時代のハイテクを開発したことになるのね。でも自分だけのために使っているのでは勿体ないし、何とか企業化を図ったわけ。また、そのまま原核生物のままだったから、色んな酸化反応を行う過程で発生するラジカルやスーパーオキサイドや1重項酸素のような活性酸素がいっぱい出来てきて、剝き出しのＤＮＡをぼろぼろにしちゃう頻度が高まって、自殺行為になっちゃったのね。そこで、真核細胞へ侵入して何とか酸素から避難しようとした訳。でも単に潜り込んだだけじゃあ本質的解決にならないので、多分いろんなことを考えたんだと思うわ。そして編み出した戦法が、自分の遺伝子の8割がたをレトロウイルスの様に真核生物の安全な核の金庫に預けちゃったの。貸金庫みたいね。これで自分の運命を担う遺伝子を安全に避難させ、ひたすら生命エネルギーを造ることに専念できるようになったって訳。だから、ミトコンドリアは今でも残り2割のＤＮＡを持っていることと、預け入れたＤＮＡと自前のＤＮＡを使って、独自に分裂増殖できるんだって。何で2割のＤＮＡを手元に残したかってことだけど、未だに謎なんだって。真核生物はイスラム国みたいのが勝手に侵入してきて、いい迷惑だったかもしれないけど。逆にミトコンドリアの浸入のおかげで生命エネルギーとやらをいっぱいもらうことができ、今まで毒でしかなかった酸素が有用な燃料となったの。そして、酸素を思い切り活用できるようになった真核生物は、その後爆発的な進化を遂げることになるんだわ。」

「裕子、学園生活はもう十二分にエンジョイしたろうから、そろそろまたお勉強するぞ。今日からはミトコンドリア論だ。」
「以前、不老不死の薬を調べたとき、登場したミトコンドリアなんだけど、これって結構不可思議な存在なのよね。ミトコンドリアは細胞内にいて、生体内で必要な生命エネルギー（ATP）を酸素エネルギーから一括して作り出している小器官なんだけど、一般に紹介されているさやえんどうのような楕円形の小器官はほんの一面を見ただけで、本当は無数のさやえんどうが紐で結ばれて、網目のようなネットワークを形成してるんだって。まるで細胞内に張り巡らされた電線の様になっていて、このネットワークを介して隅々までエネルギーを供給してるんだって。このミトコンドリアって小器官は、40億年前、もともとは原核生物っていって独立した一匹の単細胞生物だったんだって。勿論他の原核生物と一緒で、遺伝子もしっかり持ってたのよ。そしてこの頃の地球環境は２酸化炭素と水と光はたっぷりと有ったんだけど、酸素は無かったらしいわ。ところが同じ原核生物である葉緑素が登場すると、これらの２酸化炭素と水と光を使って、酸素とブドウ糖を造り始めたのね。当時は酸素の使い道なんて殆どなかったから、酸素は溜まり放題だったらしいのね。そしてこの酸素は産業廃棄物の様に原核生物には毒以外の何物でもなかったのね。原核生物の遺伝子を酸化分解して生物自信を殺しまくったそうよ。そこで原核細胞は自己防衛のために核を作りこの中に遺伝子を保管することを考えたのね。そして、真核生物へと進化していったわ。一方、ミトコンドリアは自分の仕組みに目覚め、産業廃棄物である酸素とブドウ糖を使って生命エネルギー（ATP）を造り始めたの。」

「早速翌日最寄りのbeachへみんなで出掛けたわ。みんな背の高い大女なのでこんなに勢ぞろいすると迫力あるわ。何でか知らないけど、お兄ちゃんが一緒についてきちゃったの。アマゾネス集団中でひときわ小さく見えるかど、こんなのが結構好きみたいね。昨日の男性教師も本当はマゾでこんなんが好きだったんじゃないのかな。でももうそんな不健康な遊びは止めて大自然の中で伸び伸びとアクションしようよ。そしてこれを機会にみんなと大親友になっちゃった。」

「こんな陰険な遊びに現を抜かしているのは健康に良くないと思った裕子は彼女たちを海水浴に誘ってみようかと思ったの。そこで裕子も10㎝ヒールを履いて連中の中に入って行ったの。そして誘ってみたら結構2つ返事でOKしたわ。彼女らは根っから悪じゃなかったのね。」

「この高校の女子生徒は概ねみんないい子たちなんだけど、一部気になる存在の子たちがいたわ。何と言うかどうも不良グループと言うかやんちゃグループと言うか、暗～いイメージなのよね。身長が170㎝以上あるような大きな娘が10㎝以上のハイヒールを履いて教室の暗闇に屯してるの。そして、小柄な男性教師をいたぶっちゃあ鬱憤を晴らしているようなの」

「裕子は自由の時空間を選べるらしいので。高校時代は地球の日本で過ごすことにしたわ。そして時間は地球時代の1990年代にセットしたの。そしてここでバレーボールやブラスバンドを堪能した訳。勿論裕子にも多くの友達が出来たわ。でもほとんどが女友達で、ボーイフレンドが全然できないの。何故なんだろう。何時もついてくるお兄ちゃんのせいかな。当時の日本の女子高生は超ミニのブリーツスカートにルーズソックススタイルだったので、ルーズソックスははかないけれどいつも超ミニの裕子はあっさり彼女らに溶け込めたわ。この2人は親友になったケイと桃子よ。」