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from: エリスさん
2009年06月26日 15時45分19秒
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すみません.....
「神話読書会〜女神さまがみてる〜」に重点を置いたため、
今日はこちらのサークルを更新する時間がなくなってしまいました(>_<)
来週は必ず更新しますから、許してください!-
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from: エリスさん
2009年06月19日 15時44分42秒
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「箱庭・76」
「ずっと文学だけが趣味? それにしては、根暗なイメージないよね」
「ああ……うん。高校の時に、変わったの。……千鶴と会って」
「紅 沙耶華(くれない さやか)、か。彼女、本当に俺に似てるよね」
「外見はね。性格はだいぶ違うのよ。……高校一年の時に、私がクラスに馴染めていないのを、ずっと気にしてくれてたみたいなの。それで、文化祭のころに〈うちの部の手が足りないから〉って、無理矢理連れて行かれたのが、彼女が所属する演劇部だったの。そこで、裏方の仕事を覚えて、楽しくなってきちゃったのね。だから、それまでは茶道部にいたんだけど、二年生からは演劇部に転部して……千鶴とも、親しくなって」
「で? どっちが交際申し込んだの?」
「彼女よ。私は、禁忌だって分かってたから、ずっと口にするの堪えてた。でも彼女はそういうこと全然気にしない人で。進学の時も、〈あなたと別れたくないから、芸術学院へ一緒に行こう〉って誘ってくれたの」
「彼女と……その……本当の意味での恋人になったのも、その頃?」
「ええ。キスは中学三年の時に。体を許したのは、芸術学院に入ってからしばらくして。なんかね、自然とそういう仲になれたのよ。入学してから知ったんだけど、あの学校って男女のカップルより、同性カップルの方が多いの。アヤさんに女生徒ばかりのファンクラブがあったって、知ってる?」
「聞いたことある。川村郁の派閥と二分してたんだろ? 凄い世界だ」
「普通じゃ想像できないわよね……やだ、話が全然違う方向へ行ってるわ」
「いいよ、続けて」
「……私ね、あの学校が好きなの。アヤさんが郁先生の遺稿を整理して〈芸術学院シリーズ〉を発表しているけど、私もいつか、あの学校を舞台にした小説を書いてみたい。アヤさんとも郁先生とも違う、別の視点から。私だからわかる事もあると思うの」
「それ……俺に担当させてくれない?」
「え?」
「東海林さんが退社したんでうやむやになったけど、君を起用しようって動きは、本当にあったんだよ。ただ、君が身内から出したくないって言ってたから……」
「そうよ。自分がいた出版社じゃ、コネを使ってるみたいで嫌なんですもの」
「それ言ってたら、北上先生や川村郁はどうなるの。彼女たちがデビューした佐姫出版(さきしゅっぱん)は、川村郁の祖母が経営している出版社だろ。あの二人だって、元はコネだったかもしれないじゃないか。気の遣いすぎだよ」
「そうかしら……」
「もう、そうゆうこと、言わない方がいい。損するよ」
そうかもしれない。自分の才能を正しく評価してもらいたい一心で頑なになっていたけど、もうそんなことし言うべきではないのかもしれない。現に、生活のために姉が紹介してくれた出版社では連載をやっているのだから。
返事をしようとしたときだった。戸が細めに開いて、飛蝶が顔を出して、鳴いた。
「ああ、ハイハイ。お腹がすいたのね。もうすぐお昼だわ。喬志さん、なに食べる?」
「食欲ない」
「駄目よ、食べなきゃ。祖母が作った梅干しがあるの。梅粥つくってあげる」
結局、私は返事をしなかった。まだ少しわだかまりがあったのかもしれない。もう少し、考えたかった。icon
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from: エリスさん
2009年06月19日 11時26分14秒
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「罪ゆえに天駆け地に帰す」が
このたび、電子書籍になりました――早い話がケータイ小説です。シャープの携帯版電子書籍サイト「ケータイ読書館」から販売させていただくこととなりました。
6月15日から配信開始されていたんですけど、お知らせが遅れてしまってすみませんでした。
アクセス方法は、携帯の機種によって違いますが、たとえばdocomoなら、
i Menu ⇒ メニュー/検索 ⇒ コミック/書籍 ⇒ 小説 ⇒ ケータイ読書館 ⇒ ニューウェイブライブラリー
という順番でアクセスできます。
他の携帯電話でも、最後が ケータイ読書館 ⇒ ニューウェイブライブラリー になるように検索するとアクセスできますので、ぜひぜひご覧になってください……有料ですけどm(_ _)m-
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from: エリスさん
2009年06月17日 07時07分26秒
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from: エリスさん
2009年06月12日 14時26分24秒
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「箱庭・75」
「……ねえ」と、彼が言った「さっきから、俺ばかり話してる」
「あっ、ごめんなさい。私が話してあげなきゃいけないのよね……でも、何を話したらいいんだか」
「じゃあ……今度は俺の質問に答えて」
「なァに?」
「どうして、小説家になろうと思ったの」
「……子供のころから、体が弱かったの。それでよく寝つくことがあったのね。だから外へ遊びに行くってことがなくて」
「家で本ばかり読んでた?」
「ええ。文字が読めなかった頃は、姉が読んで聞かせてくれたり、自分で考えたお話を聞かせてくれたりしてくれたわ。自分で読めるようになってからは、寝ながら読んでた。学校でも休み時間には必ず教室か図書室で読んでた。それぐらいしか楽しみがなかったのよ。それでね、ときどき疑問に思うようになったのよね」
「疑問って?」
「こんな終わり方でいいのかなって。……シンデレラなんか、意地悪なお姉さんの一人は、ガラスの靴に合うように、自分の足を削っちゃうじゃない? 子供が読むものなのに、そんな恐ろしいこと書いていいのかしらって思うの。桃太郎でも、鬼が島へ鬼退治って言うけど、その鬼が実際にどんな悪いことをしていたか――ということまでは書いてなかったの、私が読んだ絵本には。もしかしたら、鬼の姿をしているだけで、桜鬼のように悪い人じゃなかったかもしれない。それなのに、懲らしめた後で鬼たちの財宝を根こそぎ分捕ってるの。本当にそれでいいのかしらって思ったわ。そういうこと、あなたは考えたことない?」
「ある。ちびくろサンボって知ってる? トラが木の周りをグルグル回ってるうちに、バターになっちゃうの」
「ええ、知ってるわ。今は発刊禁止になってるのよね、人種問題とかで」
「いや、出版社側が自主回収しているだけで、改ざんされた〈アメリカ版〉ではなく、原作そのものを翻訳したちびくろサンボを出版しようって動きはあるんだよ」
「あっ!? そうなのね」
「それはともかく、あの話も“そんなバカな”って思うよな。トラがバターになるなんて、よく考えると気色悪い」
「それを人間が食べるんですものね。――童話なのに、そういうおかしな話って多いらしいのよ。それで、自分なりに童話を作り変えることを覚えたの。私の創作活動って、先ずは盗作から始まったのよ」
「つまり、童話も書いてたってこと? 純愛文学だけじゃなくて?」
「子供のころはね」
「見たい!」
「恥ずかしいから、みんな捨てちゃったわ。所詮は盗作だから。……それから少しずつステップアップして、今の純愛物に定着したのは専門学校の頃かしら」icon
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from: エリスさん
2009年06月12日 13時43分56秒
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「Re:来週は更新できるのか危機的状況」
もう一つの小説サークル「神話読書会〜女神さまがみてる〜」をご覧になった読者様は、もうご存知のことと思いますが、この一週間、かなり大変でした。
一番大変だったのは、うちの公太とその息子たちの喧嘩を仲裁しようとして、私が公太の攻撃を受けて、救急車に運ばれたことですか(^_^;) 今でも右腕と右足に包帯巻いてます。
うちの映画館に来るお客様には、きっと、
「この映画館は怪我人を働かせているのか!?」
と不快に思ったかもしれませんが、急な怪我だからと、代わりに誰かが出勤できるような、そんな生ぬるいことが言える状況ではなかったんです。
すべては「ルーキーズ」の爆発的な人気が......。
そういうこともありまして、今日もこのあと病院に行かなければならないので、このサークルの更新がかなり短くなってしまうことをお許しください。icon
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from: エリスさん
2009年06月05日 14時42分48秒
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来週は更新できるのか危機的状況
どうしてか..........「ルーキーズ(スペル忘れた)」の公開が始まってから、いつものスタッフの人数じゃ人手不足になるってことで、休日も駆り出されることになったからです!!
そんなわけで、来週の金曜日、なんとかお休みは確保してあるのですが、もしかしたらまた過労で倒れてしまうかも。
来週の更新は期待しないでください。
............早くルーキーズの波が治まるのを、心待ちにしております。-
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from: エリスさん
2009年06月05日 14時37分48秒
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「箱庭・74」
>先生のこと〈後妻の産んだ子など、本当に片桐の血が入っているかどうか分らない〉って貶(けな)してたらしい」
「ひどい侮辱ね。確かにエミリー先生のお母様は再婚だったらしいけど、だからって……」
「うん……先生もその叔父さんの仕打ちは耐えられなかったんだろうな。でも、とにかく世が世なら嫡流の長女として斎姫(いつきひめ。巫女のこと)になっていた立場の人だから、話し合いには出なくてはならない。それで、親友のその男の人と一緒に、宗家に来たんだって」
「親友なの? その男の人」
「おれも初めは先生の恋人かと思ったんだけど……多分、あの人だろうな。聞いたことない? 嵐賀エミリーが唯一そばに置いている男の人。マネージャーみたいになってるけど、実は愛人じゃないかって言われてる」
「ああ……雑誌で読んだことある。高校時代からの友人で、そうよ、歌舞伎研究部にいたって書いてあった。それに、先生が書いた小説〈双面邪裂剣(ふた おもて やみを さく つき(剣と書いて「つき」と読ませている))〉って、先生の実体験を基にしてあるんでしょ? あれに、先生の親友として出てくる男の人!」
「うん、たぶんその人だと思う……〈月刊桜花〉の編集部に入る前に、〈STAGE〉の編集部で研修してたことがあったんだけど、それでいろんな舞台を取材して回ったんだ。だけど、どれを見ても、あの時のあの人の舞いより凄いって思えるものはなかったな。なんて言うのかな、自然と一体化してるって言うのかな、本当に人間が舞っているって感じがしないんだ。今考えれば、あんだけ雪が積もっているのに、全然足が埋まらずに、草履で舞ってるんだよ。人間離れしてると思わない?」
「……本当に人間だったの?」
嵐賀エミリーなら、仙女とかの友達がいてもおかしくないかも、と思ってそう聞いたのだが……。
「舞い終わったあとに、先生の方へ来ようとして、ズボッと足が埋まってよろけたから」
やっぱり人間だわ。
「私も見てみたいな、その人の舞い」
「君は、エミリー先生とは?」
「まだ一度も。アヤさんは何度も会ってるから、いつか紹介してくれるとは言ってるけど……もしかしたら、一生会えないかもしれない」
「どうして?」
「うん……ただ、なんとなく」
その時は本当に、ただなんとなく、だった。けど今――一九九九年一〇月の今にして思えば、彼女が近いうちに亡くなるということを予期していたのかもしれない。嵐賀エミリー――片桐枝実子は、親友とも恋人とも言えるその男性・乃木章一と同日、同時刻の一九九九年八月に亡くなっている。結局私が会えたのは、郁子に連れられて彼女の葬儀へ参列し、お棺の中の顔を覗かせてもらった時だった。三十五歳とは思えないほど若々しく、顔立ちは郁子に似ていたけれど、彼女より遥かに肌が白く、まるでギリシアの女神のようだった。
親族の列には、エミリーの臨終の直後に産気づいて娘を出産したという、弟子の嵐賀レイ(本名・三枝レイ)も並んでいた。まだ退院は無理だという医師たちを押し退けての参列だったらしい。気丈にも涙をこらえている彼女の姿は、まだ記憶に新しい。icon
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