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恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜

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公開 メンバー数:6人

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  • from: エリスさん

    2009年07月31日 13時59分41秒

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    <(_ _)>

     申し訳ありません。

     本日こちらのサークルは休載いたします。

     もう一つのサークル「神話読書会〜女神さまがみてる〜」は更新してありますので、代わりにそちらをお楽しみください。


     

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  • from: エリスさん

    2009年07月23日 16時48分12秒

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    「箱庭・81」
     「うん。君はこの庭から離れられないだろ。だから、俺が居候する形になるけど。……結婚は、まだ決めてくれなくていいから」
     私はしばらく黙ったまま考えていた。様々な思いが頭の中を巡る――天の声と地の声が囁き合っているのを、私は冷静になって受け止めた。
     「……一緒に住めば、あなたに何があっても、そばにいることができるのよね」
     「うん……俺も安心できる」
     「……飛蝶の部屋を、二階に移しましょう。あなたがそこの部屋を使ってください。それから書庫の本を私とあなたの部屋に分けて、開けておかないと。この子が生まれてきたら、日当たりのいい部屋が必要になりますから」
     私がこんな風にすらすらと話したので、彼は少し驚きつつも、微笑んだ。
     「こうゆう話、嫌がらなくなったね」
     「私も考え方が変わりました。私、愛し合えないのなら、結婚する意味はないと思っていたんですけど、周りの皆から〈子供に父親は必要だ〉って言われ続けて、そうかもしれないって思えるようになりました。……子供は両親の不仲を敏感に感じるものです。自分がそうだったから分かります。そんな両親に育てられた子供は、自分の存在意義に疑問を持ち始めるものだけど……たぶん、父親があなたなら、そんな疑問を持たずに済むんじゃないかと、今は思えます。愛し合わなくても、互いを理解し、尊重し、信頼しあっている両親なら、子供は不安がらないんじゃないかしら……甘い考えだと思う?」
     「そんなことないんじゃない?」と、喬志は答えた。「正直、子供のために結婚するって偽善的な考えには、自分自身も悩んだんだよ。そんなことしたところで、不幸になるのは子供じゃないかって、君も言っていたからね。……君に指摘されたとおり、俺が想っているのは杏子さんだ。別れ方が別れ方だったから、なかなか忘れることなんかできない……でも、君のことも嫌いじゃない。これも素直な気持ちなんだ。たぶん、妹の史織とダブらせてるんだと思うんだけど……」
     「嬉しいわ、そんなふうに言ってもらえて」
     「ホント? だったら、尚のこと君となら上手くやっていける――これは確信だ。今までの実績があるからね」
     「うん……そうね」
     「じゃあ、同居に賛成してくれる?」
     「でも、結婚はやっぱりもう少し考えさせて……一生の問題だから」
     「構わないよ……でね?」
     喬志は頬杖を突きながら、軽い口調で話しかけてきた。「たまには、してもいい?」
     「え?……な、なにを?」
     「うん……だからさ」
     喬志は私の方に身を乗り出してきて、先刻まで頬杖を突いていた右手を、私の顎の下に添えてきた。
     そのまま、唇が触れあった……私はきっと赤面しているに違いない。
     「赤ちゃんできてから、沙耶さんって素気ないんだもん。さびしかったんだよ」
     「えっ、そっ、そんな!? だっ、だって!」
     恋人でもないのに、そんなこと……。
     「俺、思うんだけど。沙耶さんがもっと積極的に俺のこと口説いてくれてたら、杏子さんのことだってとっくに忘れられたはずなんだ」
     「そんな、私のせいですか!」
     「もちろん、俺自身の問題もあるけどさ……でも実際、君が身重の体じゃなかったら、俺も歯止めが利かなかったと思う」
     喬志さんたら、本当に正気なのかしら??? 想像だにしなかったことばかり話してるんだけど。
     「本当のことだよ。今までこんなに君のそばにいたのに、子作りのとき以外に欲情しなかったわけがないだろ? それだけ俺も我慢してたの。だから、もう今日からは我慢しないし……あっ、出産がすむまでは今まで通りだけど……だから君も、我慢しないでくれよ」
     「わ、私はそんな!?」
     欲情なんてしてません! と言おうとしたら、喬志に言われた。
     「言いたい言葉、我慢してただろ? 俺への気持ち」
     あっ、そっちね……。
     「うん……じゃあ、私も我慢しません」
     「うん、そうしてくれ」
     こんなに幸せでいいのかしら……私はつい考えずにはいられなかった。本当は杏子こそが喬志の傍にいるべき人物なのに、と。
     でもこの幸せは、いずれ来る苦しみと対になっていたのだと、私が気付いたのはずっと後のことだった。

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  • from: エリスさん

    2009年07月17日 15時18分38秒

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    「箱庭・80」
     「これ、ようやく見つけたよ」
     そ、それは!? 〈月刊ミルフィーユ〉の二月号! ああ、よりによって、お正月に合わせて読者サービスをした……。
     「いやァ、驚いたね。君がこんなに激しいシーンを書くなんて。それにしても、君のマザーコンプレックスは理解しているつもりだったけど、義理の母娘の禁断愛を描けるほどだったとは……」
     ああ……もうお仕舞い。
     「あ、あのね、喬志さん……」
     「正月に実家帰っただろ? その時、従姉の姉ちゃんが持ってきてたんだ」
     「いえ、あの、そうではなく……」
     「分かってるよ。新人作家なら一度はやる、読者集めの過剰サービスだろ?」
     「……おっしゃるとおりです」
     「俺だって編集者の端くれ。それぐらい心得てるさ。……で、問題はそこじゃないんだ」
     喬志はパラパラとめくっていた手を止めて、雑誌を脇へ退けた。
     「主人公の友人で、会社の妻子持ちの先輩と不倫してるキャラが出てきただろ?」
     「ええ」
     「そのキャラが言っていたことが、君に重なってしまって……好きな人が病気になっても、看病はおろか、見舞いにも行けない。どんなに寂しくても電話もできない――以前、杏子さんから君がそう悩んでるって聞いてたから」
     「あっ、でも別にそのキャラは……」
     「君がモデルになってるなんて言ってるんじゃない。でも、君の気持ちが反映してるのは事実だろ? そうやって、我慢されてるの辛いんだよ、こっちが」
     「……ごめんなさい」
     「それで、考えたんだけど……今日は怒らずに聞いてくれ」
     と、言うことは、あの話と関係することなのね。
     「今月の下旬には新人さんが入ってきて、寮も混んでくるんだよ。場合によっては、歳が上の順から出て行かなきゃならない。だから……いっそのこと、一緒に住まない?」
     「……ここで?」

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  • from: エリスさん

    2009年07月10日 14時22分14秒

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    「箱庭・79」

     三月三日。すっかり全快した喬志は、午後からは書庫へ籠もるのをやめ、居間の炬燵で寛いでいた。
     「おいで、飛蝶」
     彼に呼ばれて、嬉しそうに駆けてきた飛蝶は、彼の膝の上で丸くなった。
     「私も休もうかしら……なにか、飲む?」
     「レモンティー、ある?」
     「レモンそのものはないけど、蜂蜜につけたレモンならあるわ」
     「ああ、いいね。それでお願い」
     「はァい」
     私は二人分のレモンティーを作って、居間へ運んだ――そして、いつもどおり向かい合って座る。彼には私越しにひな人形が見えていた。
     「ひな人形ってさ、ひな祭りの日の夜に仕舞うんだよね」
     「ええ……そうしないと、そこの家の女の子の婚期が遅れるんですって」
     「じゃあ、それ仕舞うのを手伝ったら、帰るよ」
     「……ねえ……どうして?」
     それだけで、私が何を言おうとしているかが分かったらしく、喬志は微笑んだ。
     「小説の仕事、進んだ?」
     「ええ、まあ」
     「君さ、俺がいる時って、書かないじゃない。俺に合わせて無理してるのかと思ってたんだけど、ここ数日泊まってみて分ったよ。土曜日はたまたま書かないだけなんだなって」
     「そりゃね、週に一度はお休みが必要ですもの」
     それもあるが、あの連載の原稿を見られるのが嫌だから、というのが一番の理由である。でも昨日あたりはそうも言っていられなかったし、彼が私の仕事に干渉しないと分かったから、安心して書き始めたのだ。
     「俺がいることによって、君が仕事できないんじゃ困るなって思ったから、それが確かめたかったんだ。そのために休暇まで取ったのに……風邪なんか引いて、かえって君に迷惑かけてしまって、ホント、ごめん!」
     「そんな! いいのよ、そんなこと」
     「うん……あとさ、もう一つ確かめたいことがあって」
     喬志は体を伸ばして、部屋の隅に置いてあった自分のバックを手に取った。そして、中から一冊の雑誌を取り出したのだった……。
     

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  • from: エリスさん

    2009年07月03日 15時37分29秒

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    「箱庭・78」
     その日の夜。
     一日中読書をしていたせいなのか、それとも風邪薬が効いたせいなのか、喬志は早々と眠りに就いた。
     私もそれを見届けると、安心してお風呂に入って、そのまま居間で眠ろうと思っていた。
     だけど、誰かが呼んでいるような気がして、やはり喬志が眠っている私の部屋へ戻ってみた。
     案の定、喬志の枕もとに彼女がいた――喬志の妹の史織だった。
     「やっぱり……あなたが居るんじゃないかって、思ったの」
     私はそう声をかけながら、喬志を挟んだ向かい側に座った。
     史織は口を開いた。
     「お兄ちゃんの面倒を見てくれて、ありがとう」
     幽霊とは思えない。普通に生きている人と変わりなく見えて、私も怖いとは思えなかった。
     「大したことはしていないのよ。それに、お礼を言うのは私の方。この三日間、喬志さんがそばにいてくれて、本当に嬉しかったの」
     「沙耶さんは、本当にお兄ちゃんが好きなのね」
     「好きよ……あなたも、お兄さんが大好きなのでしょう?」
     「うん、大好き」
     「だから、成仏しないでいるのね」
     私がそう言うと、彼女はキョトンッとした顔をした。
     「お兄さんが大好きだから、そばを離れずにいるのでしょう?」
     「う〜ん」
     史織は口元に人差し指を当てて、考え込んでから答えた。
     「それ、少し違う。私はお兄ちゃんが大好きだし、ずっとそばに居られたらいいなって思うけど、でも、私をこの世に縛り付けてるのはお兄ちゃんだよ」
     「え? そうなの?」
     「私は何度も天国へ行こうとしたの。でも、私の足に何かが絡まってしまっていて、全然昇れないのよ。その絡まっているものが、お兄ちゃんとつながってしまっているの」
     「そうだったの……」
     それはきっと、喬志の悔恨の思い。史織を助けられなかったこと、自分だけが大人になることへの罪悪感が、かえって史織を縛りつけてしまっていたのだ。
     「でもね、その絡まってたやつ、今日取れたんだ」
     「え? ホント?」
     「うん。これで私、天国へ行けるよ」
     「そう、良かった……って、言っていいのかしら?」
     「うん。よかったと思う。このままじゃ、お兄ちゃんは幸せになれないもん。……私ね、お兄ちゃんが私を解放してくれたのは、沙耶さんのおかげじゃないかって思ってるんだ」
     「そんな……」
     「ホントだよ。お兄ちゃん、きっと吹っ切れたんだと思う。今まで、私のことばっかり心配して、他の人とちゃんと向き合ってこなかったから……だけど、沙耶さんとはちゃんと向き合えるみたいなの。だから、お兄ちゃんのこと、よろしくお願いします」
     史織が頭を下げるので、沙耶も素直にうなずいた。
     「ええ、私にできることなら」
     「よかった」
     そう言うと、史織の体が少しずつ薄くなっていった。
     「待って、喬志さんを起こすから、最後に会ってあげて」
     「駄目だよ。そんなことしたら、またお兄ちゃんの決心が揺らいじゃうかもしれない」
     「決心って?」
     「明日には分かるから……ねえ、沙耶さん」
     「なァに?」
     「私、今度はあなたとお兄ちゃんの子供として生まれてきたいな。っていうか、私のママになってね!」
     「ええ!?」
     「大丈夫だよ、二人目もちゃんと産めるよ!」
     その言葉を残して、史織は完全に消えてしまった。
     二人目もちゃんと産める――その言葉はつまり、今お腹の中にいるこの子は、確実に産まれるってことよね? そう解釈していいのよね? 史織さん。
     なんだかかなり重大なことを任されてしまったような気もするが、私はとりあえず、そのことだけを喜ぶことにした。

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  • from: エリスさん

    2009年07月03日 14時46分46秒

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    「箱庭・77」
     ――次の日の朝、雨戸を開けてあげようと部屋へ入ると(私は別の部屋で寝ている)、彼はもう寝床から出て自身で雨戸を開けていた。
     「おはよう、沙耶さん」
     「おはよう……大丈夫なの?」
     私が当惑気味に立っていると、歩み寄って来て、スッと顔を近づけ、驚いている私の額に、自分の額を当てた。
     「……ね? 熱、下がってるだろ」
     「あっ……うん、そうね」
     すると彼は微笑みながら、私から離れた。
     「シャワー、あびてくるから、着替え出しといて――普段着でいいよ」
     「あっ、ハイ……」
     気恥ずかしさで動けないでいる私に、部屋を出ようとしていた喬志は、振り返って言った。
     「誕生日、おめでとう――二十五歳だね」
     ああ、そうか……今日だったんだわ。彼がまだ家にいるから、週末のような気がしてたけど……。
     誕生日、二十五歳――あれから、一年経ったんだ。杏子が結婚すると知った時から。まさかあの頃は、自分が不倫で母親になろうとは考えもしなかったのに……運命って分らないものね。
     シャワーから上がった彼は、具合が良くなったにも関わらず、まだ帰ろうとはしなかった。どころか、PHSで寮生の友人に連絡を入れていたのだ。
     「ああ、祐二? 俺……うん、まだ息苦しくってさ……そう、彼女の家」
     彼女って……私のこと、よね?
     「え? 違うよ。声でわかるだろ? ……下世話なこと言うな、朝っぱらから(笑)」
     同期入社の友人だけあって、言いたいことを言い合えるらしい……。
     「うん、じゃあ、編集長に伝えといて。あと一日だけ休暇を延ばしてくれって。ああ、俺が風邪ひいてたのは編集長も知ってたから、大丈夫だろう。明後日は必ず出勤しますからって」
     え? 明日も休むの?――っていうか、うちに居てくれるってこと?
     電話が切れてから、私は喬志に言った。
     「桂木(祐二)さんに、私のこと、彼女だって言ってあるの?」
     「君の名前は出してないけどね……毎週土曜日に外泊してたら、誰でも彼女持ちだと思うよ。だったら、疑われる前に言っておいた方がいいだろ」
     「……私のせいで、無理させてるわね」
     「そういうこと言わないの。……今日さ、書庫借りていいかな」
     「構いませんけど、寝てなくていいの?」
     「もう寝てるの飽きちゃったよ。それに、まだダルイけど、だいぶ良くなってきたし……無理はしないから」
     「書庫は寒いですから、ヒーター持って行ってくださいね。カーテンを開ければ日当たりもいいですよ。私は、いつもの部屋で仕事してますから、何かあったら呼んでください」
     朝食後、飛蝶も散歩に出かけたので、私は日課どおりに家事と庭の手入れをしてから、私室へ戻った。隣の書庫から、喬志が本をめくりながらノートパソコンのキーを叩いている音が聞こえてくる。
     今、私の気持ちは穏やかだった。絶対に得られないと分かっている人が、今は壁を隔てたすぐそばにいる。ちょっと声をかけるだけで、返事をしてくれる――今まで、こんなに長い間、近くで彼を感じたことがあっただろうか。
     愛人でも恋人でもない私たちでは、誕生日だからと言ってどこかへ出掛けるというのも憚られる。むしろ、こうして一緒に居てくれる方のが、私が喜ぶということを、彼は良く理解してくれている。
     最高のプレゼント。この先、彼が訪れなくなっても、この数日の思い出があれば、生きていける。
     でも……なんとなくだが、彼が他にも考えていそうな気がしていた。
     『もしかして……』
     居間の時計が時報を告げたのに急かされるように、深く考えるのをやめて、仕事の方に没頭することにした。

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  • from: エリスさん

    2009年07月01日 10時49分21秒

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    「Re:7月になったので」

     レッドクローバーも咲きました。

     道端でよく咲いてますが、買ったら一株200円しました。

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  • from: エリスさん

    2009年07月01日 10時45分08秒

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    7月になったので


     我が家では今年初の朝顔が開花しました。

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