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from: エリスさん
2009年08月28日 14時55分56秒
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「箱庭・85」
母の苦しみを完全に理解することは、到底できない。でも、小早川隆司への想いの深さなら、少しだけ分かる。母にとっては世界のすべて、未来のすべてがその人に匹敵するぐらい尊い人だったのだ。愛、というより崇拝に近いのかもしれない。
中学生の頃に読んだコミック雑誌の中に、源頼朝の娘・大姫と木曽義仲の嫡子・義高の恋物語というのが載っていたことがあった。二人は当時まだ十二、三歳だったそうだが、それは仲睦まじい夫婦として暮らしていた。けれど、木曽義仲が源頼朝に討たれ、二人は引き離された挙げ句、義高は頼朝の家来に殺されてしまう。それを知った大姫は正気を失って、そのまま義高を恋しがりながら衰弱死した。
同じ雑誌を回し読みした同級生たちは、その話をただの言い伝えとして、本気にしてはいなかったみたいだった。自分たちとそう年が違わない子供が、本気で愛し合えるはずがないと思っていたからだ。けれど、私は母の過去を聞かされているから、読み終わった後しばらく憔悴してしまった。
伝説などではない。本当にいるのだ、そういう人達が。
母のこの慟哭が、それらを物語っている。
母の時間は、六歳のまま止まってしまっているのだ……。
「お母さん……聞いて。私――私たち三人とも、お母さんのこと大好きよ」
「気色悪いことを……」
「お願いだから聞いて! 本当に、大好きよ。尊敬しているの、お母さんのそういう一途なとこ。お母さん、私に教えてくれたわよね。女にとっての美徳は、生涯一人の男性に身も心も捧げることだって。……残念だけど、私には喬志さんの前に千鶴とのことがあるわ。だから、生涯一人、という理屈からは外れてしまう。でも、この子は――生まれてくるこの子には、絶対にその道徳を守らせるから。お母さんみたいに一途な心を持つ人間に育ててみせるから、だからこの子だけは許して。この子だけは産ませて! 私、喬志さんの子供が産みたいの。他の誰とも嫌ッ。あの人の子供だから、自分の命だって投げ出せるのよ。お母さんなら分かってくれるでしょ!」
すると、母は静かに言った。
「……勝手におし」icon
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from: エリスさん
2009年08月21日 11時35分26秒
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内容が変わってる(゜o゜)
「あずまんが大王」の改訂版3巻が発売されました
ここでも時々話題にしているので、ご存知の方も多いと思いますが、とある高校に通う女の子たちの話です。アニメ化までされた人気作品なのですが、それが最近になって「改訂版」が出されているんです。
ところどころ修正されていて、書き下ろしも付いている。それはそれでファンとしては喜ばしいことなのですが、この「3巻」に関してだけ言えば、ちょっと.......なところが一か所だけある。
それは、イリオモテヤマネコのマヤーに関する所。
まず改定される前の、すでに皆さんご存知であろう内容から説明させていただきますと、
沖縄へ修学旅行に行った折、班行動で主人公のちよちゃんと、その仲間の榊たちは西表島へ渡った。そこで、彼女たちはイリオモテヤマネコ(ヤママヤー)の子供に出会う――後に「マヤー」と名付けられるその子猫と友達になった榊は、そのまま一緒に西表島観光をすることにした。そして時間がきて、マヤーと彼女たちはお別れをすることになったが、マヤーは榊に付いていこうとする。
「連れていくわけにはいかない。だって君は天然記念物だから……」
その時マヤーの母親が物陰から出てくる――迎えに来たのか、それとも、マヤーが榊に付いていこうとするなら見送るつもりだったのか。
こうして榊たちは帰って行き、マヤーと母親は遠く離れていく船を見送るのだが.....。
ある日、榊たちが自習時間にインターネットをやっていると、マヤーの母親が交通事故にあって死んでしまったことを知る。榊がマヤーのことを心配していると、そこに榊を敵視するノラネコが仲間たちを引き連れて襲いにきた。榊はちよちゃんを守るために盾になろうと立ちはだかると、そこに飛び出してきた影が!――なんと西表島からマヤーがやってきたのである。
マヤーは子猫ながらも野生の声でノラネコ達を威嚇して、追い払った。そしてその直後、力尽きて倒れてしまう。
近くにちよちゃんのペットである犬の忠吉さんがお世話になっている獣医さんがいるので、そこへ急いで連れて行くと、衰弱はしているが命に別状はないとのこと。
「しかしあれは変わった猫じゃのう。まるで、イリオモテ……」
「雑種です!」
二人はマヤーは雑種だと言い張り、その気持ちを獣医さんも汲んでくれて、マヤーを連れて帰ることを許してくれた。
マヤーを抱きかかえながら帰る道すがら、二人はどうやってマヤーがここまで来たのかと想像しながら、涙する。
「きっと大変だったと思う。私はその気持ちに応えてあげなきゃいけない」
こうしてマヤーは榊の飼い猫になるのだった……。
これが改定前の話です。
きっと母猫が死んで、頼るものがいなくなったマヤーは、必死の思いで榊を捜したんだと思える話です。もしかしたら、母猫が死ぬ間際に、
「お友達になった人間のところへ、行きなさい」
と言ってくれたのかもしれない。それはもう、涙なくしては読めない話だったのに……。
改訂版は違ってます! 全然泣けない!
うちの兄は、
「こんな展開はヤダ……」
とうなだれていました。私も嫌でしたけど、こうなってしまった理由はすぐに分りました。
【天然記念物であるイリオモテヤマネコを、ペットにしている】
このストーリーに、クレームを付けた人がいたのではないでしょうか。動物保護団体とか。
とにかく改定後のお話は……皆さんも読んでみてください。もう、話のノリからして違うんです。これはきっと、ファンの間でも賛否両論あると思います。
そりゃ確かに天然保護獣をペットにするのは良くないですよ。良くないけど、これ、フィクションですから。マンガですから。そこらへん理解してほしいものですね。-
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from: エリスさん
2009年08月18日 14時17分01秒
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先日休載したお詫びに
涼しくなってきたのと、お盆の忙しい時期が過ぎてくれたのもあり、ようやく体調が戻ってきました。
今日は少し時間が空いたので、こうして先日の分を更新しました。
「神話読書会〜女神さまがみてる〜」の読者の皆様はごめんなさい、そちらは更新していません。金曜日までお待ちください。
読者の皆様にはご心配をおかけしました。これからも体調管理には十分に気をつけようと思います。
でもまた急病で休載、なんてことになっても、怒らないでくださいね。なんせ私も38歳.........若くないもので。-
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from: エリスさん
2009年08月18日 14時11分25秒
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「箱庭・84」
「やめて、飛蝶ッ。この人はお母さんなの。私のお母さんなのよ!」
よろけながらも立ち上がろうとする母は、私の言葉にますます怒りを露にした。
「お母さんなんて呼ぶんじゃないよ! おまえなんか、産んだ覚えすらないんだからねッ」
それを聞き、飛蝶がまた飛びかかろうとする。
「飛蝶、駄目!」
私が止める間もなかった。立ち上がりかけていた母の首元に、飛蝶は襲いかかったのである。母はまた倒れて、そのまま意識を失ってしまった。
「飛蝶の馬鹿! なんてことするのッ」
私が怒っているので、シュンッとなってしまった飛蝶だったが、彼も私のことを守りたい一心でしてくれたのだ。幸い、噛みついたのは首そのものではなく、服の襟だったらしく、母に怪我はない。だからそれ以上は怒らないことにした。
「先に家へ上がって、縁側にクッション運んでおいて、飛蝶」
私の言いつけどおりに彼が行動している間、私はなんとかして母を縁側へ運んだ。意識は失っているが、一時的なものだったらしい。飛蝶が運んでくれたクッションに頭を乗せて横にすると、唸り声をあげて目を開いた。
「お母さん、大丈夫?」
「……ふん、流石に紅藤の娘だね。使えるものは猫でも使うかい」
「お母さん……」
起きてすぐに厭味が言えるぐらいだから、心配はなさそうね。
「足、まだだいぶ酷いんじゃないの? それを無理して歩いたりして。お姉ちゃん、今ごろ心配してるわ」
「おまえ達に心配なんかされたくないよ、気色悪い……それより、産むつもりなのかい」
「もう臨月なのよ。堕胎しろって言っても、無理ですからね」
「いったい、どこの物好きだい。おまえを孕ませるなんて、おぞましいことを。どうせ、そこらの行きずりの男だろうね。さすがはあの男の娘だよ。ふしだらなところはそっくりさ」
「違うわ、お母さん。私、好きでもない人と、そんなこと出来ない。喬志さんのことは本当に、命を賭けて愛してるの。あの人の子供だから産みたいのよ」
「……タカシ?」
「そう……偶然なんだけど、お母さんの婚約者と同じ名前なの。字は違うけど」
母は起き上がると、縁側に腰かけた。
「……いやな因果だこと」
「そんなに嫌? 私が愛した人の名前が、お母さんの婚約者……」
「婚約者じゃない! 夫だよ!! 私はタカ兄様と――小早川隆司と結婚したんだ! 戸籍は入れられなかったけどね」
戦中は良くあったことらしい。戦地へ赴く恋人と、仮の祝言を挙げてから送り出すということが。母もまだ六歳ではあったが、婚約者が戦地へ赴く前日、一日だけ夫婦として暮らしたと聞く。
「そりゃね、私は子供だったし、本当の意味での妻にはなれなかったさ。それでも、私は誰よりもタカ兄様を愛しているんだよ! タカ兄様以外の殿御など、絶対に考えられなかった! 私のすべてだったのに!! それを、あの男――おまえ達の父親が、金と権力で私を自分のものにして、私を辱めるだけでは飽き足らず、タカ兄様のことまで――妾の子だから他家へ婿養子に出されるんだとか、たった六歳の小娘を手に掛ける畜生だとか、会ったこともないくせに侮辱して! おまえには、そのあいつの血が流れているんだよ。非道な紅藤家の血が!!」
「お母さん……」
「お母さんなんて呼ばないどくれッ。おまえを産んだ覚えはないって言ってるだろう!」icon
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from: エリスさん
2009年08月18日 13時04分52秒
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「箱庭・83」
「お母さんは、私の産声を聞いてくれたの?」
自分が産んだ、という自覚があるのなら、あんな仕打ちはしないだろう。だから恐らく……。
私は池の橋を渡って、家の中へ戻ろうとしていた。そんな時だった。
カツン、カツンと硬いものが触れ合う音がする。私は音のする方へ振り向いた。すると、そこには……。
私はそのまま動けなくなった。
母が――杖をつきながら、ゆっくりと歩いてくる母の姿が見えた。絶対にこんな所へ来るはずがないと思っていたのに――いや、それよりも、もう歩けないと言われていた母が、歩いている!?
母は、私の姿を目にして、怒りの形相になった。――私の腹部を見ている。
逃げられない――走って、隠れなければ殺される、と分かっているのに、足がすくんで動けない。母の睨みは、蛇の呪縛のように冷たく、苦しい……。
母は自分で門を開けて、中へ入ってきた。
「実沙子(みさこ)が最近、やけにソワソワしていると思ったら……こうゆうことだったのかい」
「……お母さん……」
「こっちへ来な! そんなところに立っていないで!」
今度は、不思議と足が動く――操られているかのように、ゆっくりと母の方へ歩いていた。
どう足掻いても、勝てる相手ではない。私は、物心付いた時からこの母の奴隷なのだから。
母は私に向かって杖を振りかざした。
「この! 阿婆擦(あばず)れ!」
左の肩に杖が打ちつけられる。二発、三発と……。
「淫売! 恥知らず! いったい、どこのどいつと!」
「やめて!」と、思わず叫んでいた。「お母さんがそんな汚い言葉を口にしないで! 元は華族の令嬢だったあなたが!」
「この子はァ! このうえ説教まで! いったい何様のつもりだ!! 私が華族だったからなんだと言うの。そんなもの、紅藤の家に売られた時から溝(どぶ)に捨てたさ!」
杖が、私の頭上に来た時だった。
母の眼前に灰色の影が飛び込んできて、母はバランスを崩して後ろへ倒れてしまった。――飛び込んできたものは……。
「飛蝶! やめなさい!」
飛蝶は私の前にはだかるように陣取ると、まだ倒れている母に向かって威嚇の声をあげていた。icon
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from: エリスさん
2009年08月18日 12時35分07秒
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「Re:Re:もしかして「なりすまし」!? 一応は解決」
> サークルプレイヤーからはまだ返事こないし、私がパスワードを変えるしかないんだろうか?
私が具合を悪くする少し前、サークルプレイヤーから調査報告が届きました。
システムの異常で、今は復旧している....
との、ことですが。
誰が信じるんですか!
でもまあ、その後おかしなことは起こらなくなってますし、一応は解決なのかなって思ってます。
それにしても気分の悪い悪戯でした。icon
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from: エリスさん
2009年08月14日 09時33分03秒
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調整中。。。
実は朝から体調が思わしくなく――恐らく夏ばてと過労だと思いますが(頑張って残業しすぎました〓)、今、体力の温存を計っています。
午後には職場に顔を出さなければならない用事があるので、それまで自宅で静養していようと思います。
ですので……スミマセン、今日は休載します。
今まで休載しないように頑張ってきたのに、残念です。-
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from: エリスさん
2009年08月09日 12時19分51秒
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「Re:もしかして「なりすまし」!? マジ凹みます」
その後、三件から参加申し込み拒否の個人レターが………………。
仕事の合間の休憩時間にそれらを確認しているのですが、マジで凹(へこ)みます。
いま公開中の「サマーウォーズ」みたいだ。
誰だよ、いったい! 私のログインパスワードを盗んで、悪戯してるヤツは!
サークルプレイヤーからはまだ返事こないし、私がパスワードを変えるしかないんだろうか?icon
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from: エリスさん
2009年08月09日 07時07分22秒
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もしかして「なりすまし」!?
今朝からおかしなことが起きてます!
参加申し込みをしていないサークルから、参加申し込み拒否のメールを2件もいただきました!
皆さん、私と同じハンネの人がいろいろなところに参加申し込みをしているようですが、それはすべて私じゃありません! 別人です!
それなのに私のところに返事がくるというのも、おかしな話ですが。
今サークルプレイヤーに調査してもらっている最中です。皆さん、私の偽物にだまされないでください!-
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from: エリスさん
2009年08月07日 14時54分02秒
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「箱庭・82」
月末近くなるにつれ、産婦人科の女医が出産についての心構えをそれまで以上に熱心に話してくれるようになる。胎児は順調に育ってくれているようだ。
そして、女医は私が驚くべきことを口にした。
「無痛分娩?」
「そうです。あなたが出産するにはそれしかありません――自分の体のことは、分かってるでしょ?」
「あの……先生のおっしゃっている無痛分娩って、精神的に落ち着かせる方ですか? それとも……」
「麻酔の方です。その方が痛みを感じませんから、あなたでも楽に出産できます」
「その時、母体の意識は? あるんでしょうか。それとも……」
「眠っていますよ、もちろん。目が覚めた時には産まれています」
――恐ろしくて、それ以上聞けない。
病院から帰ってきた私は、虚ろな気分のまま庭造りをしていた。もうすぐ花開こうとする鉢植えの蕾たちを見ても、少しも癒されはしない……。
以前「もしかしたら予定日より早いかもしれない」と言われて、それなりに覚悟はしていたのだ。姉にも「出産の方法はお医者さんに任せるんだよ」と諭されている。私が嫌がったところで無駄な足掻きなのかもしれない。けれど……。
『この子も、私と同じ方法で生まれてくる……』
その結果、私――母は、どうなった?
気づかぬうちに、私は声に出して呟いていた。
「お母さんは、私の産声を聞いてくれたの?」icon
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