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from: エリスさん
2010年05月28日 12時34分40秒
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「夜中に目が覚めて、再び」
またしても呼吸困難で夜中に目が覚めることが続いたので、今日、つい先ほどまで病院に行ってきました。
なにかのアレルギーの可能性があるそうですが、とりあえず「喉を拡張させる薬」を一週間分もらって、様子を見ることになりました。
だからどうした....と、読者様はおっしゃるかもしれませんが、本題はこれからです。
病院で一時間近く待たされた挙句、診察にもちょっと時間がかかり、そのためネットカフェに入れたのがこの時間なんです。
そして明日は午前3時に起床しなければならない日(ゆえに今晩は9時就寝)
つまり、こちらのサークルを更新する時間がなくなりました。
今日からは新作を書くつもりでしたが、その資料整理をする時間もほしいので、申し訳ありませんが、今日はお休みさせてください。
次回作は「秘めし想いを……」の続編です。以前――2008年の1月21日から執筆していた作品です。まだ読んでいない読者の方は、今のうちに読んでいただけると幸いです。
本当に、病弱ですみません。icon
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from: エリスさん
2010年05月21日 15時35分09秒
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「阿修羅王さま御用心 これにて終了」
というわけで、終わりました。
いかがでしたでしょうか? この作品から恋愛小説じゃなくなったんですけど、楽しんでもらえたでしょうか?
登場人物の北上郁子は、「神話読書会」でお馴染みの片桐枝実子の親戚になります。
そして鍋島玲子は、これまた「神話読書会」の「果たせない約束」に出てきた鍋島麗子(エリスの愛人・レシーナーが転生した姿)と従姉妹です。
私の作品は、書いてるうちにいろんなのとリンクしていくので、それを探すのも楽しいですよ。
さて来週からは........何を書こうかな? まったく決めておりません。いきあたりばったりで書き出してしまうかもしれません。icon
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from: エリスさん
2010年05月21日 15時27分06秒
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「阿修羅王さま御用心・35」
> 瑛彦は恭しくお辞儀をして言った。「理事長にそうまでおっしゃられては、異存など唱えられません。お言葉承りました」
>
「そうですか、承知してくれますか。良かったですね、相沢さん」
「ハイ! ありがとうございます、理事長先生!」
「あなたの歌を楽しみにしていますよ……では、相沢さんと梶浦君はもう下がって結構です」
「ハイ、ではさっそく曲目などを話し合いたいと思います」
部屋から出た瑛彦は、ズラッと並ばされている生徒たちの中に自分の従弟を見つけて、クスッと笑った。そして歩み寄ると、
「知らなかったな、君があんなに乱暴者だったなんてさ」
「言ってろよ。おまえだって北上が同じ目にあったら、もっと凄いんじゃないか」
「それはどうかな……あっ、見てみなよ、タッちゃん」
「その呼び方は……」
やめろよ、と言いつづけることが出来なかった。
向こうから和服姿の女生徒が二人、歩いてきたからだ。そのうちの一人は……。
「ちょうど出来上がっていて良かったわ。似合うでしょ?」
玲子の言葉に、一緒に歩いてきた建は頬を真っ赤にした。
青地に白い睡蓮をあしらった浴衣――それを、建は女らしく着こなしていたのだ。髪もロングストレートではなく、結い上げていた。
永遠の風の面々も目を見張っていた。
一番身近で見ていた龍弥は、自身も紅くなっていた。
『こいつ、ちゃんと可愛くできるじゃんか…‥』
すると、建が言った。「あ……あのさ……」
「な、なんだよ……」
「さっきは、ありがと、な……助かったよ」
「ああ、いいよ。別にそんなこと」
「でも……嬉しかった、から……」
「………………………………え?」
永遠の風の面々は、美夜が嫉妬しているのをなだめながら、少しだけ二人から離れてあげるのだった。
一方、理事長室の中では、まだ会話が続いていた。
「失礼ですが」と、真理子の連れが郁子に言った。「大梵天(だいぼんてん)道場の阿修羅王(あしゅらおう)殿でいらっしゃいますか?」
すると郁子は答えた。
「いいえ、大梵天(ブラフマー)道場の阿修羅王(アスーラ)です」
なので真理子が突っ込んだ。「どっちも同じじゃないの」
「いいのよ、真理子。確かに称号は正確に言わないとね。紹介が遅れました。私は武神(たけがみ)道場の師範をしております、武神莉菜(たけがみ りな)と申す者です」
「やはりあなたが!? 真理子先生の幼馴染だとは伺っていたのですが……」
「そう、それならば話が早いわ。このたびは我が道場の者がご迷惑をおかけしました。代わってお詫びいたします」
「どうぞ頭をお上げください! 人間国宝のあなたに頭を下げさせたとあっては、私が師匠にお叱りを受けます!」
郁子の言葉に、莉菜は笑顔を向けた。「大梵天様は我が亡き父(養父)と同じ歳と伺っておりますが、まだお元気とは羨ましいこと」
「ねえ、ところで莉菜」と真理子は言った。「あなたの道場にも、アヤさんの道場みたいな秘術が伝わっているのは聞いてるけど……実際あなたが使ったのを見たこともあるし。でもそれって、相当修行を積んだ、道場でも上位の人たちしかできないはずよね? たとえばあなたの従姉の鳳凰(おおとり)さんとか」
「そうね。最近はうちの娘にも出来るように修行させてるけど」
「って、笑美(えみ)ちゃん? まだ十二歳じゃないの」
「跡取り娘ですもの。それにうちの子には才能があるから」
「ああ、そうかもね……で、あの刺客の二人もそれぐらい出来る奴なの?」
「いいえ。あの二人は道場の三番隊(つまり一番隊というのはハッタリだった)の下っぱよ。剣の腕もたいしたことはないわ」
なので郁子が聞いた。「では、あの技は?」
「私が生まれ故郷から持ってきた物の中に、神酒と伝えられる物があるの。――私の実母がギリシャの人だってことは聞いてる?」
「はい、真理子先生から聞いてます」
「そう。母の家に古くから伝わるものでね、本当にすごい威力を発揮するのよ。危険だから宝物蔵に仕舞っておいたのに、夕べ何者かに盗み出されてね……案の定、その日見張り番だったあの二人が犯人だったわけだけど。――その知らせを聞いて、今までニューヨークで娘たちと一緒に武者修行の旅をしていたんだけど、急きょ帰国したのよ。それで、どうやら犯人らしい二人が、良く芸術学院に出入りしているって聞いて……」
「それで私のところに相談に来た、と。私もその話を聞いて、アヤさんが変なのにつけ狙われているのは知ってたから、たぶんそいつらじゃないかって話してたところだったの」
「そしたら、あの騒ぎが聞こえてきたから……話なんかそっちらけで喫茶店を飛び出してきちゃったのよね。――巻き込んじゃって、ごめんね、真理子」
「別に莉菜は悪くないじゃない。そうよね? アヤさん」
真理子がウィンクして見せたので、郁子もうなずいた。
「どうぞお気になさらず、武神様。すべて納まったことです」
「ありがとう、阿修羅王殿――いえ、郁子さん。ところで、その薙刀が阿修羅王の印(しるし)ですか?」
「え? あっ、はい」
郁子は秘術をかけて継ぎ目を消した上で、薙刀の柄の中央に彫られている、三面六臂(さんめんろっぴ。三つの顔と六本の腕)の阿修羅神を見せた。
「興福寺(こうふくじ)の阿修羅神像をモデルにした彫刻ですね。素晴らしい……我が道場では、これが武神流正統の証です」
莉菜は薙刀を郁子に返してから、胸の前で両手を菱形に合わせ、呼吸を落ち着けた。――合わせられた手の間から、銀色の炎が揺らめいた。……寿子と理事長はその時、腰が抜けそうになった。
「私は養女ですが、このオーラの炎を出す能力があったために宗家の正統と認められました」と莉菜は言って、炎を消した。「そして、養父の親類の者を夫とし、今では四人の娘がいます。それでも、この力は失われていません」
大梵天道場では考えられないことだ。大梵天では身体の純潔を保つことによって、体内に神の力を授かり、秘術を行うことができるとされている。だから、結婚はおろか、男女交渉も禁じられているのである。
「あなたがどれほどの武道家、そして霊能力者であるかは、こうして接していればわかります。それを、結婚と同時に終わらせてしまうのはとても惜しい。……機会があれば、我が道場へいらっしゃいませんか?」
「ありがとうございます……ですが」
郁子はしっかりと相手の目を見て言った。「私をここまでにしてくださったのは大梵天です。私は、師匠以外の方から師事を仰ぐつもりはありません」
郁子の言葉に気を悪くすることもなく、莉菜は言った。
「大梵天様は良きお弟子を持たれましたね」
こうして、今回の事件は幕を下ろし、以後郁子を付け狙う刺客は……やや減ったのであった。(他の道場からも闇討ちを受けていたりするのである)
二日後、パリへ行っていた佐保山郁(さおやま かおる)が帰国した。郁子の家で、郁子と建からそれらの話を聞いた郁は、残念そうに言った。
「私がいない間に、そんな楽しいことがあったなんて……」
「姉様(^_^;) 私の身にもなってください」
「そうだよ、姉御(あねご)。アヤ姉ちゃん大変だったんだから……俺もだけど」
「ふうん……」と、郁は意地悪っぽい目をした。「それで? 黒田君とは、その後どうなったの?」
「どうなったって……」
何故か、建は物凄く不機嫌な表情をした。
郁子「なに? どうかしたの?」
建 「あいつさ……」
郁 「うんうん(楽しそう)」
建 「また女変えやがったんですゥ!!」
郁子「え? あのケバイ女じゃなくて?」
建 「あの女とはあの日だけらしくて、今度は隣の大学の年上の女なんです!」
郁子「あきれた……」
郁 「あいつ、そのうち……」
郁子(咄嗟に)「姉様! 表現をご自重くださいッ」
郁 「腰痛で立てなくなるかもね」
郁子「姉様ァ〜、お嬢様らしくないことを……」
建 「ああ、もう!! イライラするゥ!! やっぱり嫌いだ、あんな奴!」
郁子「すっきりする? 木刀貸すけど」
建 「いいの? それじゃ、一手ご指南願います!」
ちょうどその時、北上家の門の前に、一台の車が止まった。
子猫の茶々が一番に見つけて、駆け出していた。
「まあまあ、いらっしゃい! アヤ! 祥さんがいらっしゃいましたよ!」
祖母のその声は、庭で打ち合いをする二人の木刀の音でかき消されていた。
さて、後日談。
唄子がリタイタルの練習をしていた。
それを見ていた瑛彦の隣に、龍弥も座っていた。
「おまえが相沢唄子を嫌がっていたのって、この演歌調の歌い方のせい?」
「俺のピアノにはどうも不釣り合いで……」
その後、学院を卒業した唄子は、いくつものオペラ舞台のオーディションに落ちまくった挙句、四十歳近くになって大物演歌歌手に見いだされて、おじいちゃんおばあちゃんに「唄ちゃん」の愛称で慕われる人気演歌歌手として、演歌界で一花咲かせるのであった。
めでたし、めでたし…………………だよね?
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from: yumiさん
2010年05月17日 13時04分47秒
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こんにちは
本日、思い切ってサークルを創りました。(思っていたよりも感嘆だったので少し驚きました。)
サークル名は「弥生の河に言の葉が流れる」です。よろしければ、見に来てください、新しいお話を一つ作成しましたので、立ち寄っていただければ、嬉しいです。-
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from: エリスさん
2010年05月14日 14時46分22秒
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「阿修羅王さま御用心・34」
「誰が校内でバトルをやっていいと、言いましたか!」
お出かけしていた理事長の姪・藤村寿子(ふじわら ことこ)が帰ってきてしまったのだった。しかも、人と会っていた三原真理子講師も帰ってきて、その連れてきた女性が……。
真理子の連れは倒れている刺客二人を叩き起して、自分の顔をよく見せた。
意識朦朧だった二人は、驚きふためいて、その場に正座した。
「お、お、お師匠様!」
その言葉に驚いたのは郁子だった。「お師匠様って、まさか……」
それには構わず、真理子の連れは言った。
「やっぱりおまえたちが犯人のようですね。宝物殿の神酒を盗み、飲み干してしまったのは。この……うつけ者!!」
その途端、刺客たち二人は宙を飛んで、高い木の枝に、どこから出てきたのかロープで逆さづりにされてしまった。
すると真理子の連れは、右の方――花之江の神がいる方を向いて、言った。
「そこの御方、どうぞお気の済むようになさってくださいませ」
「へえ、私が見えるんだ……血筋がそっち系みたいだものね。いいわ。さっきから私も参加したくてムズムズしてたの」
かくして、二人の刺客の上に小さな雨雲が現われて、冷たい雨を降り注ぎ続けたのであった。
はてさて。
理事長室の前の廊下には、永遠の風の面々と黒田龍弥が並んで立たされていた。校内暴力をしていた罰である。
そして、理事長室には理事長の藤村氏と、寿子、真理子とその連れ、そして郁子に唄子に、梶浦瑛彦(かじうら あきひこ)まで呼ばれていた。
「もう!」と、寿子は怒り心頭だった。「職員はもちろん、叔父様までこの子たちの喧嘩を面白がって見ていたなんて、どういうことですか!」
「まあまあ、コトちゃん。先生たちもそうだが、生徒たちも刺激を欲しがっているようだし。今回のことはちょっとした余興だと思えば……」
という理事長の言葉に、
「叔父様! この子たちの喧嘩はただの喧嘩じゃないんですのよ! 現にあの水浸しの校庭をどうなさるおつもり!」
「それは問題ないだろうね。水はそのうちに乾くもの。幸い、この学院には水を司る土地神様がついていらっしゃるようだし」
「またそのような迷信を!」
「まあまあ……それより、梶浦君」
「はい、理事長」
理事長に呼ばれて、瑛彦は彼の方を向いた。
「今回の発端は、この相沢さんが君のリサイタルに参加したいがために起こしたものだと聞いてるよ。どうだろう、そこまで望んでいる彼女の気持ちを汲んで、卒業の餞(はなむけ)に一曲だけでも歌わせてあげては。そうすれば彼女も満足してくれるだろう」
言われて、唄子の顔がパッと明るくなった。
瑛彦は恭しくお辞儀をして言った。「理事長にそうまでおっしゃられては、異存など唱えられません。お言葉承りました」icon
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from: エリスさん
2010年05月14日 14時14分34秒
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「阿修羅王さま御用心・33」
郁子が沙耶の方へ行ってしまうと、建は手袋をはめて身構えた。
「言っとくけどな、命が惜しいなんて思うなよ!」
「それはこっちの台詞だァ!」
刺客が竹刀を上段に構えて突進してきた。
……郁子は、沙耶の前に膝をつくと、先ず彼女を抱き寄せて、背中のファスナーを少しだけ下げた。
「ちょっと! なにするのよッ」
千鶴の抗議などお構いなく、沙耶のワンピースを胸元まで下ろす(辛うじて下着の肩ひもだけ見える程度)。そして……。
ロビーのガラス扉から見ていた郁子のファン達が悲鳴をあげた。
郁子のヒーリングは患部に直接、口を付けて生体エネルギーを送り込むことだから、当然、沙耶の胸元にキスしているように見えるのである。
ファンクラブの二年生の一人が言った。「ちょっとちょっと! あのオンナ何者! 私の北上様にあそこまでさせるなんてェ!」
「誰がアンタのよ!」と隣にいた生徒が言った。「ア〜ン(>_<) でも羨ましいィ〜」
そこで、文芸創作科一年の一人(ちなみに東海林君子。「箱庭」参照)が言った。
「知らないんですか? 先輩方。彼女、文芸創作科一年の紅藤沙耶(くどう さや)さんは、北上郁子(きたがみ あやこ)さんの再従姉妹(はとこ。祖母同士が姉妹)だそうですよ」
「ハトコだろうが妹だろうがッ、羨ましいものは羨ましいのよ!」
「女同士なんて、気色悪いだけなのに……」
一方その頃、建はと言うと、初めの第一声の後は全くの無言で闘っていた。走っているのにその足音さえ立てない、飛び上っても空を切る音するしないのである。まさに忍者の闘い方だった。
郁子の技を受けて気を失っていた刺客の一人も、相棒がまだ闘っている物音で目を覚まし、その対戦相手の凄さに圧倒されていた。
『一切の音を禁じる動き……これじゃ背後から攻撃されたらひとたまりもないな』
倒れ伏したまま、彼は建のことを観察していた。
建が竹刀を避けるのに宙返りをする――その時、胸が張って形がくっきりと見えた。
『あいつ、男だと思っていたが……』
体はまだ動かないが、手だけなら少しだけ動かせる。しかも、まだ彼は必殺技を使っていないために「例の効き目」が切れていないのだ。
彼は、建に気付かれないように唱文を唱え始めた。
――沙耶の服を直しながら、郁子は言った。
「ごめんなさい、沙耶さん。あなたにまで苦しい思いをさせて」
「私こそ、お邪魔をしてしまってごめんなさい。でも、もう大丈夫です」
沙耶の微笑みに、郁子は元気づけられる思いだった。
「危ないから、ロビーにいてね。私は負けたりしないから」
「はい、アヤさん」
沙耶の言葉にうなずいてから、郁子は床に置いていた薙刀(なぎなた)を手に取った――建に組み立ててもらっただけで、まだ秘法をかけていないために、継ぎ目が消えていなかった。
『このままだと、竹刀より強度がないけど……』
この際、そんなことは言っていられない。
郁子が立ち上がったその時だった。
「破砕波!」
しばらくして、女性たちの悲鳴と、男どもの感嘆の声が上がった。
見れば、建の衣服が粉々になって剥がれようとしていた。咄嗟に胸元を隠しているが、建の胸は晒(さらし)で固めていないと両手で隠しきれないほどある。それに、丈夫なジーンズも膝から下は完全に崩れていて、そちらも隠さなければならなくなってくる。
「あっ…‥いや……」
建は完全にへ垂れこんで、素に戻ってしまった。
唄子のボーイフレンドは自身の右腕の袖が無くなったのに対して、倒れている相棒に不平を言った。
「ちゃんと狙えよ、おまえ」
「馬鹿、文句言ってる間に攻撃しろ! 奴はもう身動きができねェ!」
「タケル!」
郁子はすぐさま駆け寄っていた。だが、彼女より早い脚力で追い抜いて行った男がいた。
「どさんこパーンチ!!」
そう、北海道出身、建LOVEの黒田龍弥だった。彼のパンチに唄子のボーイフレンドは後方へすっ飛び、旧校舎の壁に激突して、頭の周りにお星様をグルグル回転させるハメに……。
龍弥は自分の着ていた黒いコートを脱いで、建の肩に掛けると、前から抱きしめるように、男たちの視線から彼女を守った。
「黒田……」
建が紅くなっているのも気づかずに、龍弥は二階に目をやって、鍋島玲子(なべしま れいこ)を見つけた。
「鍋島! 着替え!」
玲子はうなずいて、すぐに駈け出していた。
「よし、草薙、よっくり立てよ。見えるからな……」
「う、うん……」
ジーンズは完全に短パンと化し、上半身の布はまったく何もなくなっていた。なので立ち上がらせるときに建の白い胸がチラリと見えて、龍弥はドキッとしたのだが……見なかったことにして、そのまま建を校舎の中へ連れて行った。
すれ違いざまに、郁子にこう言われた。
「格好いいじゃない」
なので龍弥は言い返した。
「俺はいつだってイケてるんだよ。それより、草薙の仇は頼むぜ」
「まかせておきなさい」
とは言うものの、郁子の出番はあまりないかもしれない。
破砕波の技を放った刺客の周りを、永遠の風のメンバーが輪を描くように取り囲んでいたのである。
紀恵「大衆の面前で、女の子を脱がすなんて」
桜子「人間のクズのやることだわ」
美夜「いいえ! すでに人間ですらないわ!!(一番怒っている)」
洋子「こういう生き物は、ちょォっとお灸をすえてあげないと……」
智恵「(タップシューズに履きかえながら)そうね、あとあと示しが付かないわね」
有佐「(騒ぎを聞いて駆け付けた)タコ殴りにしておしまい!!」
メンバー一同「Yes, ma'am !」
かくして、二十人近い女生徒たちに踏みつけられ、蹴られ、タコのように真っ赤になるまでボコボコにされたのであった……自業自得である。
刺客の二人が再起不能と化した今、相沢唄子はワナワナと震えながら郁子を睨みつけた。
「こうなったら……こうなったら……」
唄子は転がっていた竹刀を手に取った。「私がやるわ!」
「やめておきなさい」と諭すように郁子は言った。「素人に私は倒せない」
「うるさい! うわァ―――――――――!!」
唄子が突進してくる。郁子は仕方なく左手だけで薙刀を構えた。
その時だった。icon
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from: エリスさん
2010年05月14日 11時49分55秒
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「Re:Re:これからの注目作品 再販売開始します!」
> 前売券を買って帰ろうと思ったら、完売!
>
> 『大奥』ってマニア向けな作品だから、そんなに早く完売するとは思ってなかったので、びっくりです。
> 人気あったんだ……。
というわけで、明日からうちの映画館でも販売を再開します。ようやく入荷できたもので。
でも前売り特典はちょっとしかないんだって.....私が買いに行ける時間までに残ってる可能性はゼロに近いな(;一_一)
映画館側としてもこんなに売れるとは思っていませんでした。なんせ作品自体はマニアックなもの。白泉社のメロディーを毎回買ってる読者ぐらいしか知らないとおもっていたら.....ジャニーズファンの底力ですか?
実は最近になって発覚したのですが、販売しているスタッフもこの作品がどうゆうものか分かっていなかった。
「テレビで見るのを、毎週楽しみにしてたんですよォ」
という発言をしたスタッフがいたので、私が「なんのこと?」と聞き返したら、
「大奥ですよ。藤原紀香とか綺麗でしたよねェ」
ああ、ドラマの「大奥」と勘違いしてるのか、と思ったので、
「それ、無関係だよ。原作を書いてるのはまったく別の人」
と私が言った途端、周りにいたスタッフが数人、
「ええ!?!?」
と驚いた。おいおい、この人数の多さは何?(-_-;)
なので私がちゃんと説明しておいた。この大奥は疫病で男が半減してしまった日本を描いたもので、女が将軍様なんだよ。ドラマとは無関係な証拠に、この映画の協賛はTBSだから....と。
まさかとは思うけど、前売り券を買ったお客様の中にも、おなじ誤解をしている人はいませんよね?icon
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from: エリスさん
2010年05月12日 19時03分52秒
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from: yumiさん
2010年05月12日 18時35分51秒
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from: エリスさん
2010年05月12日 17時16分13秒
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「Re:お返事がないのですが?」
状況は分かりました。
私も自宅にパソコンがないので、小説アップは必ずネットカフェでやっております。ログインパスワードとメールアドレスさえ覚えていれば、自分のパソコンじゃなくてもアクセスできるんですよ。だから家族に知られたくないのなら、ネットカフェを利用することをお薦めします。
その上で、個人の小説サークルを立ち上げることを薦めます。その方が自分のペースで小説アップができますし。ここは私が「一週間に一回」というパターンを作ってしまっているので、そのパターンにyumiさんが付いていけないかもしれないので。
ここにはメンバーとして残ってくれれば、これからもご相談にのりたいと思いますので。icon
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