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恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜

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公開 メンバー数:6人

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  • from: エリスさん

    2010年07月30日 11時43分56秒

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    「しばし花園に百合が咲く・7」

     清涼殿に上がるのは初めてのことではない。
     女帝に身をゆだねるのも……それでも、茉莉は緊張していた。
     初めて女帝に身をゆだねた時から、もう四ヶ月は経っている。あの時は昼間だったので、当然室内は明るかった。だが今はもう夜も更けて、明かりは小さな火のついた灯台だけ。その中に一人で座らされているのである。緊張というより、恐怖感かもしれない。
     胸をどきどきさせながら待っていると、ようやく女帝が奥の間から現れた。その姿がいつもと違ってみえたので、茉莉はドキッとした。――その原因はすぐに分かった。髪を結いあげているのである。
     「髪が長いままだと、政務が遣り辛いこともあって、少し短くして、殿方のように結い上げてみたのよ。どう? 似合うかしら」
     「はい、とても素敵です。……ちょっと、驚きましたが」
     「まるで男に見えたから?」
     「いえ! 男に見えたわけではなく、すぐに主上(おかみ)と分かったのですが……でも、一瞬別人かとも思いました」
     「正直ね」
     女帝は茉莉の両肩を掴むと、顔を近づけてきて、そのまま口づけをした。
     その流れで茉莉を押し倒したが……彼女の胸が高鳴っていることに気付いて、唇を離した。
     「怖いの?」
     「いいえ……ちょっと、緊張を……あの……今日も、いるはずですから」
     「いるって?」
     「……護衛の方たちが」
     「ああ……それで」
     いちいち気にしてはいられないのだと、母の忍や、乳母代わりの右近の君にも諭されてきたのだが、まだ若すぎる茉莉には、閨での一部始終を聞かれてしまうことが恥ずかしくてならないのだった。
     「じゃあ……」と、女帝は茉莉を抱き起した。「少しおしゃべりでもしましょうか。そのうちに、護衛の者たちは居眠りを始めるでしょうから、お楽しみはそれからにしましょう」
     「はい、主上」
     「うん……とりあえず、この髪型にして良かったわ。前のときは、私たちの髪が絡み合ってしまったでしょ? これなら、その心配はなさそうよ」
     女帝が冗談めいて言ったので、茉莉はようやく笑顔を見せた。

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  • from: エリスさん

    2010年07月23日 14時28分09秒

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    「日本人の知らない日本語」を見て、思い出したことをうだうだと書く。

     タイトルを見て「何をまた馬鹿げたことをくっちゃべるつもりだ」と思われた方は、読まなくてもいいです。書いてる本人はかなり落ち込んだ問題なんですよ。きっと、私みたいな経験をされている人は少なくないと思います。


     私が勤務している映画館(シネコン)は、他の売店で買ってきた飲食物の持ち込みを遠慮――正直に言うと「禁止」しています。
     理由はいろいろとありますが、一番の理由は《食中毒を出さない》ためです。
     うちの売店で作りたての食品を持って映画館に入れば、まず食中毒の心配はない。でも、この暑い季節に他のお店で買ってきた食べ物を持ってこられては、映画館にたどり着くまでに傷んでいる可能性がある。

     「大丈夫よ! 持ち歩いている時間が短ければ、腐ってなんかいないから!」

     そうおっしゃりたいお客さんもいるでしょうが、甘いです。
     先週の「もやしもん」でもやっていましたが、作りたてのサラダにO-157などの毒性の菌がくっついている場合もあるのです。いくら作りたてでも、使われている材料がすでに傷んでいるかもしれない。
     うちの映画館はそういうことがないように、品質管理はしっかりしてます。だから自信を持ってお客様に料理を提供しています。
     でも、他の売店の食べ物を持って入ってきたお客様が、うちの映画館の中で食中毒をおこした場合――一番に疑われるのはうちの映画館なので、先ずうちが営業停止になります。そのお客様が食べたものが「他の売店のものだけ」だと証明されるまで、その営業停止がつづくのです。
     うちの映画館に落ち度はないのに、ルールを守らないお客さんがいたせいで、うちが営業停止になる――そんなこと、絶対にあってほしくないから、私たちフロアスタッフは、入場口で他の売店の食べ物を持って入ろうとするお客様がいたら、必ず声をかけるのです。

     「恐れ入ります。他の売店の御飲食物のお持ち込みはご遠慮いただいておりますので、シアター内ではお召し上がりになりませんようお願いいたします」

     ……………………………まあ、たいがい聞き入れてはくれませんけどね。


     そのことを念頭に置いて読んでいただきたいのですが……。
     うちの映画館は春あたりまで、「ごみ受け」というサービスをやっていました。なんのことかと言うと、各シアターの出口でお客様を待ちかまえて、お客様が食べ終わった食品カップや紙コップ、トレイなどを受け取って、トレイは何度でも洗って使うので台車に載せ、紙コップなどは分別して捨てる作業のことです。この際、他の売店の食べ物――マクド○ルド とか ミス○ードーナツ などの紙袋を差し出してくるお客様がいた場合は、
     「恐れ入ります、他の売店の物はお持ち帰りをお願いしております」
     と、受け取りを拒否するわけです。当然ですよね? 入場の際に「お召し上がりにならないでください(食中毒をおこされたら困ります)」とお願いしているにも関わらず、それを無視して食べるってどういうこと!? よくもまあ遠慮もなしに空袋を差し出せるものだ!
     とくに困るのが缶ジュースやペットボトル。うちの売店では売っていないのに、途中の自動販売機で買ってきてしまったから、と持って入ってしまう。当然、入場口で「ご遠慮ください」と頼まれているのに、映画を見ながら飲み干してしまったからと、空き缶を捨てて行こうとするのだが、いかんせんこちらは受け取り拒否。そもそも、うちの売店で缶ジュースは一切販売していないから、空き缶のゴミ箱自体が存在しない。そうするとどうするか――スタッフが立っていない他のシアターの「燃えないゴミ」のゴミ箱に不法投棄していくわけだ。
     今の若者は「リサイクル」という言葉を知らんのか!!
     おかげで、うちの映画館が入っているショッピングモールのゴミ処理場では、
     「おたくは缶ジュースとペットボトルは売っていないはずなのに、なんでこんなに持ってくるの?」
     と笑われる始末(場合によっては厭味にもなる)


     こうゆう状況の中、とあるカップルがうちに来た。
     ミス○ードーナツを持って入ろうとしたので、当然私は、
     「他の売店で……(以下省略)……」
     とご案内したところ、即座にムッとされた――まあ、よくある話だけど。
     その後、上映終了時間になろうとしていたので、シアターの前でごみ受けの準備をしながら、「燃えないゴミのゴミ箱に不法投棄された」空き缶とペットボトルを拾い出していると、そのカップルがエンドロールを最後まで見ないで出てきた。
     そして、ペットボトルを差し出してきたので、
     「恐れ入ります、他の売店の(以下省略)」
     と受け取り拒否をしたところ、またしてもムッとしたまま、二人はトイレの方へ行った。
     だが、彼女の方はすぐに引き返してきて、シアターの中にまた入って行った……忘れ物でもしたかな?と思っていると、男性の方もトイレから戻ってきた。そして、私にこう言った。
     「あなた、ナンマンですか?」
     「は?」と、私は聞き返した。
     「あなた、ナンマン教えてください」
     私はすごく混乱した。「何万」としか聞こえなかったからだ。まさかこの人、彼女がこの場にいないことをいいことに、私がいくらか、値段を聞いている?????まさかそんなはずは????
     と、混乱している間に、彼女が戻ってきた。
     そして私に詰め寄った。
     「責任者呼んでください」
     「はい? あの、なにか……」
     「なにかじゃない! 私たちのペットボトルは受け取らなかったのに、そこに置いてあるのはなに!」
     と、彼女は私がごみ箱から拾い出しておいた「不法投棄のペットボトル」を指さした。なので私は、これはスタッフがいないときに置き去りにされてしまったもので、今このシアターから出てきたお客様のものではありません、と説明したのですが分かってもらえず、
     「とにかく責任者呼んで!」とまくし立てるので、彼氏の方が口をはさんだ。
     「今、俺がナンマン聞こうとしてたところだから」
     それで私はようやく分かった――「名前」と言いたかったのだ。このカップルは日本人にしか見えなかったので疑いもしなかったが、実はアジア系の外国人だったのである。
     『だよね、こんなところで援交でもあるまいし、こんなおばさんの値段なんか聞かないか』
     と思いつつ、私はトランシーバーで上司に連絡を取り、対処をお願いした。
     そしてこのカップルの主張することには、
     「今までこの映画館を2年も利用していたけど、他のお店の食べ物を持ってきちゃいけないなんて、初めて言われた。どうして私たちにだけそんな意地悪を言うのか」
     なので上司が、うちの映画館ができた当初からこのことはご案内し続けてきたことで、お客様にだけお持ち込みをご遠慮いただいたわけではないと説明して、なんとかお帰りいただいた。
     そしてカップルが帰った後、シアター清掃に入ったら……しっかりドーナツを食べ終わった後のパッケージが置き去りになってましたorz

     このことは、フロアスタッフ内でしばらく語り草になった――トランシーバーで上司を呼んだので、他のスタッフにも聞こえていたのである。

     「だって、エリスは間違ったこと言ってないじゃん!」
     「私たち入場口で毎日“他店お断り”のご案内してるのに、初めて言われた! なんて主張はありえないよ!」
     「なのになんでエリスさんがクレーム受けるんですか」
     「自信持っていいよ、エリス。あなた、全然悪くないから」

     と、いろいろと慰められたが……翌々月ぐらいから、「ごみ受け」サービスはやめて、セリフサービス――食べ終わった食品のカップはお客様がお片づけくださいませ、というシステムに変わった。
     私がクレームを受けたことが原因というわけではないだろうが、まったく関係ないわけではない。
     セリフサービスになってからも、私はこのことを時々思い出して、なんでそんなありえない主張をあのカップルはしたんだろうと考えることがあった。
     そうしたら、昨日の「日本人の知らない日本語」でその答えになることをやっていた。

     「外国人留学生は、日本語の敬語を理解するのが苦手」

     つまり、私たちが場内アナウンスで、
     「当劇場の売店でお買い求めいただいた御飲食物は、シアター内にお持ち込みいただけますが、自動販売機や他の売店でお買い求めになりました御飲食物は、お持ち込みをお断りいたしております」
     と言っているこの文章が、全部敬語なので理解できないと!
     理解できないから聞き流し、結果、「言われたことがない」「初めて言われた」に発展すると……。
     そう言われましても、こちらも客商売なので、敬語で話さないわけにはいかないよ?


     これからも、こういうことは多々あるんだろうな。


     ええっと、このうだうだな文章を書いたおかげに、小説アップの時間がなくなりました。申し訳ございません<(_ _)>

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  • from: エリスさん

    2010年07月16日 14時18分17秒

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    「しばし花園に百合が咲く・6」

     男どもの心配をよそに、入内の式は滞りなく済んだ。
     藤壺に局をいただいた茉莉は、以後「藤壺の女御」というのが正式名称になるが、まだまだ身内の間では「茉莉姫」と呼ばれ続けることだろう。
     今日初めて会ったこの女性も、できれば茉莉のことは「藤壺様」とは呼びたくないようだった。
     「初めてお目もじ仕(つかまつ)ります。藤原道成(ふじわら の みちなり)の娘、那美子と申します。梅壺の更衣とお呼び下さいませ」
     梅壺の更衣と名乗ったその女性は、すぐ後ろに琵琶を携えた女性を控えさせていた。
     「初めまして、梅壺の更衣殿。藤原利道が娘、利子(とおるこ)でございます。私のことは茉莉とお呼び下さい」
     「茉莉の女御様……で、よろしゅうございますか?」
     「ぶしつけながら、あなたが先代の藤壺の女御様とお親しかったことは聞いております。亡くなられたお友達と同じ呼び名では、やはりお辛いでしょうから」
     「お心遣い痛み入ります。では、遠慮なく茉莉様と呼ばせていただきまする」
     そこで忍が口を挟んだ。
     「茉莉の母の、忍でございます。娘はまだ世間を知らぬゆえ、あなた様にお頼りすることも多々あるとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」
     「こちらこそ、大宰府育ちであまり友人がおりませぬので、女御様と早くお知り合いになりたかったのです。どうぞこれを機に仲ようして下さりませ………それでは、私の伴侶を紹介させていただきます」
     「伴侶?」
     と、茉莉と忍は同時に聞いた。
     「はい。我が伴侶、琴音(ことね)でございます」
     その言葉に、梅壺の更衣の後ろに控えていた女性が顔をあげた。
     「琴音は私が、父とともに大宰府に居たころに知り合った琵琶師でございます。琵琶では誰にも負けぬ名手でございますのよ」
     「あの……」と、忍は言葉を濁しながらも聞いた。「伴侶というのは、つまり……」
     「はい、私たちは女同士で夫婦になったのです。そのことは先代の帝も、もちろん藤壺さまもご存知でいらっしゃいました」
     聞いたところによると、梅壺の更衣は先帝のもとに入内しても、一度も先帝の御寝所には上がらなかったらしい。先帝に気に入られていなかったのかと思われていたが、この事実ですべて合点がいった。
     「だからこそ、藤壺さまとは恋敵にならずに済んだのです。あの方にも初めてお会いした日に、このことを打ち明けましたから……彼女になら、私が普通と違うことを告白しても、軽蔑したりしないと感じたものです」
     「そうだったのですか」と、茉莉は言った。
     「でも茉莉様に打ち明けたのは別の意味があります――私にはもう、こうして伴侶がおりますから、今上帝がもし仮に私に寝所に侍れとご命令されても、絶対にお断りしますから安心して下さりませ」
     「あっ……」
     茉莉にとってはまったく思いもよらぬことだった。
     『そうか……内裏というところは、帝の夜のお相手を務める女人が何人も上がってくるところなんだった』
     たまたま帝が女性だから、そのなり手が見つからないだけで、仕来たり自体が変わったわけではない。この先も、女御や更衣に立候補する女人が現れれば、それが茉莉の恋敵になるのである。
     

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  • from: エリスさん

    2010年07月09日 14時13分46秒

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    気弱になったせいか?

     最近、以前好きになった男性のことをよく思い出します。


     まあ、雪割草くんのこととか.......。


     四月以来会っていない人のこととか.......。



     なんだろう、これ。私の死期が近いのか(笑)


     絶対思い出さないのは、「凍える桜」さんですね。彼は最後に会った時、かなり軽蔑されることをしてくれたもんで、私の中で株が一円以下に下がっちゃいました。.....まあ、それはそれで良かったんですけど。
     ああ、だから以前書いた「私の死後は、遺産を凍える桜さんに譲る」って話は、もう破棄です。かなり昔に書いたんで、皆さん忘れてますかね?


     とにかくですね。
     新しい恋も始まらないのに、占いサイトで「7月3日から6日までのあなたは、恋愛運最高潮!」なんて書かれてたから、余計に思い出してしまうのかもしれないが、そんなこんなで、思い出しては落ち込むことが多くなりました。
     雪割草くんなんか、夢に出てきたもんな。ホントにヤバくないか? 私。


     とりあえず。


     Wの翔太郎を見倒しながら我慢するかorz

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  • from: エリスさん

    2010年07月09日 13時59分09秒

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    「しばし花園に百合が咲く・5」
     紫苑が利道に憑依しなくなってから三カ月後、忍に懐妊の兆しが見え始めた。薬師(くすし。医者のこと)に見せたところ、間違いなく妊娠3ヵ月だという。
     内大臣家の人々はもちろん、薫の君や左大臣、右大臣も喜んで、忍の周りには祝いの品々が届けられるようになった。あまりにもいっぱい届くので、忍はその中から吟味をして、女御に上がる茉莉の仕度にと回すことにしたのだった。
     「女御様になら、お道具類は有り余るぐらい持たせたところで、損にはならないでしょ? 役に立ってくれた女房たちに下賜することもあるのだし」
     忍がそう言いながら吟味しているのを、そばで見ていた利通は楽しそうにうなずいた。
     「あなたがそうしてあげたいのなら、そうするといい。茉莉は喜んで受け取るだろうさ……いやあ、それにしても。紫苑の思惑がこういうことだったとはね」
     その言葉に忍も手を止めて、夫を振り返った。
     「やっぱり、あなたもそう思う?」
     「思うさ――お腹の子は、間違いなく紫苑の生まれ変わりだよ。その証拠に、あれ以来さっぱり出てこないだろう?」
     ある夜、いつものように紫苑が利通に憑依して、忍を求めてきた……いつもと違っていたのは、それがあまりにも濃厚で激しかったことだ。本当に紫苑なのかと疑ったぐらいである。だが、利道の口を借りて話しかけてくる声は、間違いなく紫苑の声で……。
     《あなたの中に入りたい……》
     そう言った途端、利道は果てて力尽き、忍は全身の素肌から何かがジワリと入り込んでくるのを感じて、恍惚の淵に落ちた。
     ――それ以来、紫苑が現れないのである。
     「お姉さまは、私の子供として生まれ変わるために、あなたに憑依していたのね」
     「でもそれも、なかなか上手くいかないから、最後にはかなり乱暴な手段に出たと……」
     「あら、乱暴とは思わなかったわ。ちょっと濃厚だっただけで。それに、世間一般の夫婦はたぶんあれぐらいが普通なのよ。私たちがあっさりすぎるだけなのかもしれないわ」
     「そ、そう?」
     と、利道は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
     「そ、それより……姫の入内式のことだけどね」
     利通が話を切り替えたがっていたので、忍は素直に応じた。
     「どうかしましたか?」
     「姫が入内する時には、あなたは妊娠5ヵ月になっているわけだけど、どうする? 内裏までの付き添いは辞退する?」
     「あら、なにをおっしゃるの」
     忍は吟味していた道具類を置いて、体ごと夫の方に振り返った。
     「娘の晴れの舞台に同行しない母親がおりまして?」
     「そうだけど、あなたも体を厭わなければならない立場になったのだから」
     「冗談ではございません。どんなにお腹が大きくなっていようと、姫の入内には同行させていただきます。幸い、母親である私は徒歩(かち)ではなく乗物に乗ることができますから」
     忍のこの意思はしばらくして女帝の耳にも届いた。そして女帝は、今まで誰がなんと言っても「入内を早める気はない」と言っていたものを、なんと忍のために予定を一ヵ月早めてしまったのだった。
     こうして、茉莉の入内は来月と決定したのである。

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  • from: エリスさん

    2010年07月02日 14時38分56秒

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    <(_ _)>


     すみません。
     「神話読書会」の執筆に力を入れていたら、こちらを更新する時間がなくなりました。
     (明日も午前3時に起床して、仕事に行きます)

     次の機会をお待ちください。

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