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from: エリスさん
2010年08月27日 11時45分34秒
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「しばし花園に百合が咲く・10」
同じ日の午後のこと。
茉莉の局である藤壺に、忍が訪ねてきていた。――入内した女御のもとに、そんなに頻繁に母親が訪ねてくるべきではないのだろうが、忍の場合は女帝や皇太后に琴の音を献上する名目もあるので、特別に許されていた。なにより、忍は茉莉が心配でならなかったのである。ただでさえ塗籠(ぬりごめ。おもに納戸として使用する、鍵のかかる部屋)に閉じこもるような生活をしていたのだから。
だがその心配は無用だったようで、茉莉は明るい部屋でのんびりと過ごしていた。強いて言えば寝不足だったらしく、あくびを噛み殺しもしないで遠慮なくしていたことだろうか。
「あらまあ、せめて扇で隠したらどうなの?」
「あっ、お母様。ごめんなさい、いらっしゃると思わなかったものですから」
茉莉の照れ笑いがあまりにも可愛いので、忍も笑い返した。
「そんなに眠たいのなら、眠っていてもいいのよ。今宵も主上のお相手をしなければならないのだから、寝ぼけていては役目が果たせないわ」
「はい……でも、この物語も読みたかったものですから」
「何を読んでいたの?」
忍は茉莉の前に座ると、その物語(巻物)を覗き込んだ――「源氏の物語(今でいう「源氏物語」)」の若紫の巻だった。
「あらこれ、最近も読んでいなかった?」
「また読み返したくなったんです。なんだか、私と光様のように思えて……」
「ひかるさま?……源氏の君のこと?」
「いえ、あの……主上のことを、そうお呼びしてもいいとお許しをいただいたので……」
「まあ、そうなの」
親しげな呼び名を許されたことと、また夜通し眠らせてもらえなかったことも考えると、茉莉はよほど愛されているのだと、忍は安心することができた。
とりあえず、茉莉にあまり無理をさせたくないので、忍は女房たちに申しつけて昼寝の準備をさせた。
薫の君が訪ねてきたのは、忍が茉莉を寝かしつけた後のことだった。
「良かったわ。まだ女御様のお耳には入れたくないことだったから」
薫の言葉に、忍は一気に心配になった。
茉莉の寝室からは離れたところにある一室に薫を通した忍は、さっそく話を聞くことにした。
「実はね、女御様に競争者が現れるかもしれないの」
「……つまり、他にも女御として入内される姫君が現れたと?」
「ええ……もしかしたら更衣になるかもしれないけど、でも、向こうは女帝の寝所に侍る覚悟はおありのようだから」icon
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from: エリスさん
2010年08月20日 14時32分24秒
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ドラマ「GOLD」を見ていての、違和感
どうしてなんだ?
いとこ同士が結婚できない設定になっている!
ちょっと待て! これ、現代の日本が舞台だよね。なのに、どうして「いとこ同士の恋愛が禁忌」という描かれ方をしているんだ!?
視聴者の中には、いとこ同士で結婚した人たちがいっぱいいると思うが、その人たちから抗議の電話とか殺到していないのだろうか?
このドラマの脚本家は日本の法律を知らないのか?
それってあまりに無知すぎないか?
このドラマを見るたびに、いとこ同士で好きになった二人を“いけないことだから”“間違いを起こす前に”別れさせようとする大人たちに、憤りを感じる。
「誰か気づけよ! 法律で認められてるだろう!」
と、テレビに向かって怒鳴りたくなる。
演じてる人たちも違和感を感じながら演じているのではないだろうか? おかしなドラマである。-
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from: エリスさん
2010年08月20日 12時53分17秒
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「しばし花園に百合が咲く・9」
「まあ、そんな感じで……」と、雷鳴の壺(かみなり の つぼ。薫が尚侍として内裏に上がった時の宿舎)の女房・茜は、少々照れくさそうに話を終わらせた。
ここは麗景殿。茜の話を聞いていたのは麗景殿の皇太后と、その妹の薫の尚侍だった。茜は二人に、昨夜の女帝と茉莉姫の様子を報告にきたのである。
「先ずは上々……というところかしら。一の宮(女帝のこと)は本当に茉莉姫を気に入ったようね」
麗景殿が言うと、薫も言った。
「茉莉姫は本当に愛らしい方で、心根も素直ですから、あの方を嫌いになれる人はいませんわ、お姉様」
「そうね、私もあの姫君は大好きですよ。こうして私の義理の娘になってくれたことは、本当に嬉しいわ。これからもずっと一の宮と姫君が仲睦まじくいられるようにと、願うばかりよ。そのためには……二人の障害になるものは取り除いておかなければね」
「……それが、私をここに呼ばれた本当の理由でございますか?」
茜がそう言うと、皇太后は満足げに微笑んだ。
「あなたの恋人の牡丹は、一の宮が賀茂の斎院だった頃のお手付きだと言うことは知っていますよ」
「恐れ入ります。ですが、心配には及びません。実は私と牡丹とは、女帝が賀茂に参られる前からの仲。人目を忍んでの付き合いであったこともあり、当時まだ一の宮様であった女帝に仕えていた牡丹も一緒に賀茂に行くことになって、私たちは泣く泣く別れていたのです。その間、牡丹は女帝の夜伽を命ぜられるようになりましたが、それもお役目と心得てのこと。心はずっと私と結ばれておりました。ですから、夜伽のお役目を解かれて安堵こそすれ、女御様の恋敵になろうなどとはゆめゆめ思うておりませぬ」
「まあ、そうだったの……」と、薫は言った。「それは、牡丹にはつらい思いをさせていたわね」
「そんなことはございません。牡丹にしてみれば、その役目を任されることで、私と会えない寂しさを紛らわせていたようですし……かくいう私も、その間は一夜限りの恋の遊びで紛らわせていた次第。こんな世の中ですから、そこら辺は割り切っております」
「そういうものなの?……私には分らないわ」
薫は初恋の相手と結婚しているので、この時代らしい恋の遊びというものを経験したことがないのである。
「では、他の女人たちはどうなのでしょう……茜なら、一の宮のお手付きになった他の女人たちの話も聞いてはおりませんか?」
と麗景殿が聞くと、茜は答えた。
「鈴音の君と、桂の君のことでございますね。この二人とも、やはり役目は役目と割り切っていた節がございます。鈴音の君の方は先日結婚したそうです。桂の君の方は、最近文通を始めた殿方がいるとか……二人とも恋愛対象は男性のようですから、どちらも恋敵にはなりえません。むしろ、もうあの二人はそっとしておいてあげた方がよろしいかと」
「そうね、蒸し返してはいけないわね」と薫は言った。「そんなことをされては、今の幸せの邪魔になるものね。なのに……どうして、女帝は自分から昔の恋人の話などしたのかしら?」
「気になったのではございませんか? 茉莉姫の昔の恋人のことが。恋というのはおかしなもので、今が幸せならいいのに、なぜか相手の過去が気になってしまうことがあるのです」
「う……ん、そうね。それはあるかも」
薫にも、房成の側室の紅の侍従のことが気になったことがあったから、これは理解できるのである。
そこで麗景殿が言った。
「たぶん一の宮は思い出しただけよ」
「思い出した?」
「ええ。最近、あの子の初恋の相手の小藤に関することが、話題に上ったものだから」icon
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from: エリスさん
2010年08月13日 08時52分39秒
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m(_ _)m
タイトルを見ただけで、長年の読者様ならお察しくださるとは思いますが、
本日は休載いたします。
実は昨日、胃を痛めて寝込みまして。まだ本調子ではありません。先週痛めた腰の方も、まだちょっと尾を引いているので、今日は大事を取って休もうと思います。
とは言え、職場にはちょっと顔を出さないといけないのですが――洗濯した3Dメガネ拭きを届けてあげないと、今日使う分がないそうなので(15枚ほど持って帰って洗濯していた)。
なので駅周辺で私を見かける人がいるかもしれませんが、それはそうゆう理由です。11時前には家に帰って休養するつもりですので。-
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from: エリスさん
2010年08月06日 13時49分55秒
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走れない......
先週の日曜日、仕事中に腰を痛めましたorz
今のところ湿布で痛みを抑えていて、じっとしていればなんともないのですが、歩き出すとちょっと痛さが戻ります。
だから無理をしないように仕事をしていたのですが......水曜日、お客様の駐車券に割り引きスタンプを押すため、またお客様をお待たせしてはいけないので、スタンプを押せる場所まで走ったら...
ズキッバキッピキッ! と、激痛が走りました。
それでも昨日の間になんとか落ちつけて、今日も割といいかなっと思っていたら.......
信号が変わりそうだったのでまた走ったら、激痛再び(>_<)
この分だと、明日の仕事でも走るのは厳禁かも。-
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from: エリスさん
2010年08月06日 13時42分32秒
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「しばし花園に百合が咲く・8」
二人はお酒をちょこちょこと飲みながら、子供のころの話などをした。
それで少し緊張がほぐれたことを見定めた女帝は、思い切って茉莉に聞いた。
「姫は、初体験は私とでしょうけど……初恋は?」
茉莉は一瞬で頬が火照るのを感じた。
茉莉が言葉に困っていると、女帝は溜息まじりの笑顔を見せた。
「私はね、初恋の相手が初体験の相手でもあるの」
「そう……だったのですか?」
「ええ。私が十四歳の時よ。それまでは、彼女に対する気持ちが恋だなんて気がつかなかったの。でも、相手が父親の勧めで結婚すると聞いて……」
それを聞いて茉莉はハッとした……それに気付いた女帝は、
「どうかした?」
「いえ、あの……私もまったく同じだったので」
「まあ、そうだったの」
「はい……七重が結婚すると聞いて、それがどうしても嫌で、彼女に泣いてすがりついたのですが……私の思いを受け入れてはくれませんでした」
「そう……無理もないわ。世間一般は女同士の恋なんて、受け入れてはくれないものよ」
「はい……」
「でも、私の場合は受け入れてもらえたの……というか、私も彼女に恋していると気づいたのは、彼女に抱かれている最中だったわ」
「まあ!?」と、茉莉が驚くと、女帝は面白そうに笑った。
「小藤と言って、私の乳母の姪にあたる娘で、私より五歳年上だった。つまり当時十九歳……世間一般では行き遅れと言われてもおかしくない年齢だった。それで、彼女の父親が縁談を持ってきて、無理矢理まとめてしまったのね。それで小藤は、私のもとを去る前夜に、私の褥に忍んできた……。それで泣きながら告白してきたの、ずっと私が好きだったって。だから、最後の思い出をくださいって。知らない男に汚される前に。だからね……いいよって、言ってあげたの」
女帝はそう言うと、茉莉の手から盃を取り上げて、膳に置いた。
「そうしたら、私に口づけしてきて……」
女帝は茉莉の唇に口づけをすると、そのまま押し倒した。
「そして、一枚ずつ、私の衣を肌蹴(はだけ)させた」
女帝は言いながら、茉莉の夜着の前を開いた――白い、まだ未成熟な裸体が現れる。
「それから、首筋から指を這わせて……」
女帝の指が茉莉の首筋から、鎖骨、胸へと滑って行くと、茉莉が思わず甘い声をあげた。
茉莉が恥ずかしそうに顔を赤らめると、
「もう大丈夫よ、みんな寝てるわ」
「……はい、主上(おかみ)」
「……光(ひかる)と呼んで」
「光さま……ですか?」
「私の本名は光子(てるこ)というの。だからその最初の一文字を取って、光……父と母はそう呼んでくれるのよ」
「院と皇太后さま……お二人だけですか?」
「そうよ。妹(女二の宮)と弟(亡き帝)は“姉上”と呼んでいたから、この二人だけが呼んでいたわ」
「そのような大事な呼び名を、私めが……」
「いいのよ。あなたは私の妻になるのですもの」
女帝――光は茉莉を横たわらせたまま、彼女の体のあらゆるところに指を滑らせた。そのうちに茉莉の息遣いが激しくなってきて、しまいに茉莉の口から言葉がついて出た。
「……もっと!」
「ん?」と光が聞き返す。
「もっと……激しくしても……」
茉莉が恥ずかしがっているのが可愛くて、光は彼女の頬と唇に続けて口づけた。
「あの時の私も、これぐらいでそう言ったの。“女房達が男君ともっと激しいことをしているのを知っているわ。だから、私にもして”って。そしたら……」
光は茉莉の体を起して、夜着を全部脱がせ、自分も裸になった。
「あとは……体で話すわね」
その夜の二人の甘美の声は、明け方近くまで続いた――と、のちに清涼殿の女房達は話すのだった。icon
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