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from: エリスさん
2010年09月24日 14時25分24秒
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祝! 25万アクセス
とうとうこのサークルも、総アクセス数が25万に到達しました。
解ってます。もう一つの「神話読書会」は先日43万を超えたんだから、こっちはずっと少ないってことぐらい。
でも細々と活動していても、こうして見てくれる人がいるんだって事は張り合いになります。
読者の皆様、ありがとうございます。
エリス こと 淮莉須 部琉-
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from: エリスさん
2010年09月24日 14時04分45秒
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「しばし花園に百合が咲く・12」
その日は忍が午前中から訪ねてきて、茉莉の女御の筝の琴(そう の こと)の練習を見ていた。
茉莉は実母の紫苑亡きあと、父親である利道が琴の練習を見てあげなかったので(茉莉が琴を弾いているのを見ると、死んだ妻のことを思い出して悲しくなるため)、あまり上手ではなかった。だから忍が二人目の母になったことで、忍が茉莉の琴の師匠になったのである。
とは言え……やはりまだまだ拙い。茉莉が弾き間違えてしまうと、忍は畳を叩いて茉莉を止めさせた。
「もう一度、初めからやり直しなさい」
優しく言ってはいるが、茉莉は恐れすら覚えた。
「はい、お母様」
茉莉は初めから弾きなおしたが……また、同じところで弾き間違えてしまう。
「茉莉、良く見ていて」
忍は自分の前に置かれている筝の琴に指を置き、茉莉が間違えたところを弾き始めた。同じ曲を弾いているのに、音の響き方からして全く違う。忍のは「心に響いてくる」弾き方だが、茉莉のはそれに比べ「ただ鳴っている」だけだった。それだけ二人の技量に差があった。
忍は引き終わると、茉莉を見詰めた。
「分かりますね? 茉莉」
「……はい、お母様」
「では、もう一度」
「はい……」
茉莉が弾き始めようとした、その時だった。
「おやめなさい」
そう言いながら、御簾をあげてくぐってくる人物がいた――男装をした女帝だった。
「これは!? 主上(おかみ)!」
忍がすぐに平伏すると、女帝は言った。
「畏まらずとも良い。先ぶれ(前もって知らせておくこと)もなく訪ねてきた私も不躾(ぶしつけ)なのだから。仕事の合間に来たのよ、どうしてもあなたに会いたくなって」
と、最後の方は茉莉に言いながら、女帝は茉莉の隣に座った。
「琴の練習をしていたの? 良かったら私にも弾かせてくれないかしら?」
「はい、私の琴で良かったら……」
茉莉が女帝の方に琴を差し出すと、女帝は流れるような指使いで琴を弾き始めた。忍とは力量の差こそあれ、それでも人を引き付ける何かを秘めた音を醸し出していた。
弾き終わった女帝は、忍に微笑んで見せた。
「名手と名高いあなたに聞かせるのも恥ずかしいけれど、どう?」
女帝に聞かれて、忍は笑顔で答えた。
「はい、とても美しい音でございました。感服いたしましてございまする」
「ありがとう。ときに、私の琴に笛の音を合わせたらどうなるかしら?」
「笛でございますか?」
「ええ。一度合奏をしてみたかったのよ。でも、笛はどちらかと言うと殿方の嗜みでしょう? だから、男子禁制の世界にいた私には、笛と合奏する機会がないのよ」
「ああ、それでしたら」
忍は女房を呼び寄せた。
「誰ぞ、女御様の笛を」
その言葉に、茉莉の表情がパッと明るくなった。
「あら、茉莉は笛が吹けるの?」
「はい、はい! 私、笛は大好きですの!」
茉莉が嬉しすぎて、その先の言葉が出なくなってしまったので、忍が補足した。
「この子の父親は、恐れながら笛の名手と讃えられておりまして、それで、この子には琴ではなく笛を教え込んでしまったのです」
「そう、それは好都合」
そうして茉莉の手元に笛が届き、女帝との合奏が始まった。
その音色はとても美しく、仕事をしている最中の者たちもつい手を止めて聞きほれてしまうぐらいだった。なににしろ、合奏している当人たちがとても楽しそうだったので、それが音色にも表れているのである。
いつのまにか部屋の周りに、藤壺に仕える女房達はもちろん、他の局の者たちもこっそりと集まって、二人の合奏を聞きに来ていた。なので合奏が終わった時には、あたりから感嘆の吐息がこぼれたのである。
「久しぶりに楽しく演奏ができたわ」
女帝はそう言うと、琴を茉莉に返した。「もう仕事に戻らなくては。今宵また会いましょう、茉莉」
「はい、主上」
二人は忍がいる前だと言うのに、互いに引き寄せあうように口づけをした。
そうして女帝が帰ってしまうと、忍も帰り支度を始めた。
「琴の練習はまた今度にしましょうね、茉莉」
「はい、お母様……あの、またいらしてくださいね」
自分の拙さに、忍が嫌気をさしてやいないかと心配して言うと、忍は微笑みで答えた。
「当り前じゃないの。私たちは親子よ」
忍が女房の小鳩と一緒に藤壺を出ると、途中の渡り廊下で清涼殿の女房(女帝の元愛人)が待っていた。
「主上が女御様のお母君とお話をなさりたいそうでございます」
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from: エリスさん
2010年09月17日 14時44分23秒
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「Re:Re:「神話読書会」で述べたとおり」
すみません、今日はこっちを書く気がまったく起きなくて……。
「神話読書会」の方は更新してあります。あちらは伝説に基づいて書いているので、それほど苦痛はないのですが、こっちは完璧に私の想像で書くので、恋に悩んでいる時期はどうにも書きづらいです。
なので今日は雑談だけして帰ります。
………こんなことばっかりしているから、メンバーさんも減っちゃうんだけど、自分でも嫌になるぐらい、どうにもならない。
その後、周りの人から二、三はなしを聞いたところによりますと、
●相手の女性はあまり仕事をやりたがらない(特に定時間近)
●実は子持ちの割には年が若い
ということが分りました――ああ、全部悪口……。
子供がいるんだから三〇代ぐらいなんだろうと思っていたんです。見た目も化粧でごまかしてるだけで……そうしたら、実はまだ二十歳だった。――かなり苦労したろうな、それじゃ。
それはまあいいとして、もう一つの方――あまり仕事をやりたがらない、というのは、多少周りの人の誤解もあるんじゃないかと思ってます。私が見た感じだと、そんなに仕事をさぼってるようには見えないんだけど。まあ、彼女とは部署が違うから、年がら年中見ているわけではないから、気付かないだけかもしれないが。彼女と同じ部署の人から見ると、彼女は「仕事をしたがらない」ように見えるらしい。特に定時近くになると、周りの人たちいわく、
「何にもしないで帰った!」
ということがあるらしい。つまり、仕事の後片付けをしない、ということらしいが。
でもそれって……保育園だか学童保育やらに子供さんを迎えに行く時間が差し迫っているから、単に残業ができないだけなのではないかと。
うちの部署でもあるのだ。定時過ぎても仕事の後片付けが残ってしまうことが。そういう時、うちの部署の主婦パートさんなら、
「ごめんなさい、保育園のお迎えの時間なの!」
と、ちゃんと私たちに説明をしてくれる。だから私たちも、
「子供待たせちゃいけないから、早く帰りな」
と送り出してやる。実際、保育園はバスで送り迎えをしているから、バスの停車場にお迎えの親御さんが来ていない場合、そんなに長くバスを停めておけないので、また子供を乗せて保育園に戻ってしまうそうなのだ。そうなると不安になるのは子供の方だ。
だからちゃんと事情を話せば、周りも理解して、残業していかないことを恨みに思ったりはしない。
なのに、彼女はその説明をしていかないのだろう。説明すること自体に負い目を感じるのか……そこら辺は分らないけれど、とにかくそれで同僚から不満を買っている、ということが分かった。
この程度だと、まだ私は彼女を嫌いになることができない。だから、まだしばらくは「いい人」を演じることになるのだろう。
リューノスケとは仕事仲間とし、結構いい関係を結べている(と、私は思っている)ので、とりあえず不満はない。仕事の度に会えるのが楽しみになっている。今のところ心配は、彼女と交際する前に「部署を変わりたい」と言っていたのだが(うちの部署の仕事がハード過ぎるので)、しかも希望していたところが彼女がいる部署なので、それだけは本当に思いとどまってほしい。最近はそんなこと言わなくなったけど。icon
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from: エリスさん
2010年09月10日 14時14分36秒
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「しばし花園に百合が咲く・11」
それは数日前にさかのぼる。
麗景殿の皇太后のもとに、左大臣・藤原房成と右大臣・源彰利が訪ねてきたことがあった。
皇太后は二人と会うときはいつも、隔てとして下げるべきの御簾は下げずに、直に会うことにしていた。なにしろ彰利は実の弟であるし、房成も妹の婿殿である。
二人はその日、皇太后に報告と相談を兼ねて訪ねてきたのだ。
「茉莉姫を入内させるために、その祖父に当たる藤原宏澄(ふじわら の ひろずみ。忍の父)殿には内大臣に昇進していただいたのですが、それでも大納言の職も空位にしておくわけにもいかず、宏澄殿にはしばらく大納言も兼ねていただいておりました」
房成が言うと、後を彰利が続けた。
「しかしそれも長きにわたると宏澄殿の負担になってしまうと思いまして、この度、左大将の藤原行尚(ふじわら の ゆきひさ)殿を大納言に昇進させることになりました」
「左大将を……」
皇太后はちょっと厄介そうな表情を見せた。
「そのことは、もちろん女帝にお話しになったのでしょう?」
「もちろんです」と房成は言った。「そのことを決める会議の場には、当然女帝もおわしましたから」
「それで姉上にお聞きしたいことがあるのです」
と彰利は言った。
「なんです?」
「女帝と左大将の間には、なにか諍い(いさかい。喧嘩のこと)などございましたか? 左大将の名が出た時、明らかに女帝は嫌そうな顔をなさり、そしてわたしが“左大将を大納言にすることに何かご懸念でも?”と尋ねましたところ、“いや、妥当ではあると思うが……”と、お言葉を濁されまして」
「さもありましょう」
と、皇太后は苦笑いをした。
「お二人とも、知らなかったのは無理もありませんが、ひかる……女帝の初恋の女人は、左大将に嫁いだのですよ。だから、女帝は左大将がお嫌いなのです」
そこまで聞いて、忍は口を挟んだ。
「女帝に初恋の女性、ですか?」
「ああ、そうね……」と、薫は思い出した。「あなたはまだそのことを知らなかったのだわね。でもまさか、女帝の初恋が茉莉姫だとは思っていないでしょう?」
「それはまあ、女帝も御歳二十六でございますから……」
「そうでしょ? とりあえず私が知っているだけで茉莉姫の前に四人の女がいるわ。でもそのうちの三人は女帝が賀茂の斎院であられたときに、寂しさをお慰めするだけの存在だったようね」
「はあ……でもその初恋の方とは、ちゃんとお心を通わせておられたと……」
「そうよ。でも、相手の女性――小藤の君は、親の勧めで結婚することになったの。その結婚相手が左大将だったというわけ」
「女帝にとっては、愛する人を奪い取った憎き男、ということですね。その方が大納言に任じられたら、これまで以上に会う機会が増えてしまって、女帝にとっては不快でしかありませんね」
「そうなの。でも、他に適当な人もいないらしくて……女帝もそれは理解しているようだから、ともかく左大将を大納言にすることは決定したのね。それで、そのことを内々に本人に伝えるために彰利が屋敷に招いたらしいんだけど、その時、左大将がこう言ったんですって。“大納言ならば、我が娘を帝に差し上げることもできますな”って」
「……えっと……その娘って……」
女帝の初恋の君である小藤が生んだ娘なのか? それならば母親に似て、女帝好みの娘かもしれない……と忍が思っていると、薫は答えた。
「小藤の娘ではないわ。左大将の前の奥方の子よ。小藤は後妻なの。でも小藤が養育したそうよ。なんでも左大将ったら彰利に、“我が娘は妻の仕込みですから、きっと女帝もお気に召していただけましょう”と言ったそうだから。お酒に酔っていたとはいえ、失礼な言い方よね」
「ということは、左大将殿はご自分の奥方がかつて女帝の恋人であったことを知っておられるのですか?」
「まあ、そういうことよね………ね? あなどれない恋敵が現れたでしょ?」
「はい……ですが、女帝が左大将からの申し入れをお受けになるかどうかは……」
どんなに大臣家が娘を入内させたくても、帝の方で拒否すればもちろん入内などできない。だが、大概は受理されてしまうものなのである。帝が拒否するということは、
「以後、御身とは政治的につながりを持たない」
という意思表示にもなるからだ(大昔からそういうことになっている)。だから、いらぬ波風を立てぬように、帝は大概の入内申込みは受け入れることになっている。
とはいえ。
「そうね、女帝は並の方とは違うから。気に入らなければ入内させないようにするかもね……まだどうなるか分らないから、とりあえず茉莉姫には内緒にしておいて」
「はい、心得ました」
同性で結婚することなどなかなか無いから、よもや恋敵など現われぬだろうと思っていた矢先のことだったので、忍は母親として不安をぬぐい去ることができなかった。icon
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from: エリスさん
2010年09月10日 13時00分01秒
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「Re:「神話読書会」で述べたとおり」
その後、一週間経っておりますが.....
進展なしです。
というのも、最近恋愛相談に乗ってあげていない。忙しいのもあって、当人が言い出さない。ゆえに私も聞かない――という状況です。
そんな状況で、私は相手の女性とにこやかに会話なんかしてしまって、しかも手助けなんかもしてしまっている。やったあとで、
「なァにやってんだろうなァ、ワタシ.....」
と、自分の小者っぷりに飽き飽きしてしまう。
覚えている人がいるかどうか分りませんが、私がかつて「ヴィーナスみたいに嫌な女」と形容した、「凍える桜」さんの交際相手は、桜さんの他にも付き合っている男がいて、しかもその他の男とも<二人っきりで食事>〈二人っきりで映画〉という、いわゆる「デート」をするような貞操観念のない女だったので、完璧に嫌いになれたのですが、今度の恋敵さんはそういうことが一切ない!
嫌いになれないから、いじわるも出来なくて、仕方なく私は「いい人」を演じてしまっている。
これでいいのか?icon
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from: エリスさん
2010年09月03日 17時53分33秒
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「神話読書会」で述べたとおり
こちらで詳細を書こうと思います。先ず話が分からない方は、「神話読書会〜女神さまがみてる〜」ac48901@circleをごらんください。
先ずぶっちゃけます。好きな人ができました。
それを自覚するのにかなり時間がかかったのは、前に好きになったマル君と会えなくなったのが今年の3月のことで、彼――キャラが「侍戦隊シンケンジャー」の池波流ノ介と被るのでリューノスケと呼ぶことにしますが、そのリューノスケと出会ったのが4月だったので、まだマル君のことを引きずっていたからだ。
でも周りの人たちも「エリスの好みのタイプ」と言うぐらい、本当にドンピシャな人物なので、私の友達などは、
「リューノスケ君、狙わないの?」
と言うほどだった。
「う〜ん、でも今はマル君が好きだから」
と言い訳しながら流していた私だったが、一緒に仕事をするうちに、彼が同僚として有能なのに気付き、傍にいるとなごむし、しまいには、意地を張ってしまうところまで可愛く見えるようになってしまった。
リューノスケ君が好きだと気付いてしまって、私は悩んだ。向こうは私を先輩として信頼はしてくれているだろうが、年の差がありすぎてそんな対象には見ていないはずだ。
しかし私ももうすぐ40歳になってしまう。その前に女神アテーナーのような「生涯純潔」からは脱したいのだから、ここで引き下がっている場合ではない。
でも、告白したら今までの信頼関係は崩れてしまうかもしれない。
悩みすぎて、不眠症気味になってしまった結果、体調を壊してしまった。
そんなうちに、リューノスケに彼女ができた。相手はシングルマザーだ。当然、彼より年上。
あまり年の差のことは気にしなくて良かったのだと気付いた時には、もう遅い。母性本能をくすぐるタイプの男は、やはり母性に満ちた女性に引かれるのだろう。私の母性本能など、しょせんは自分で産んだ子供を育てたことではぐくんだものではない。猫を育てるのと我が子を育てるのには大差がありすぎる。
恋敵が太刀打ちできない相手だと悟った私は、リューノスケには「私が好きなのはマル君」ということにして、恋愛相談など受けてあげている。
そういう立場でいることは辛いけど、仕方ない――と悩んでいる状態が、まだまだ続きそうだ。-
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