「わたぬき」であるこの日。
　でも世間一般ではどちらかと言うと、「エイプリルフール」の方が浸透している。
　そんな「何を言っても嘘だと思われる」この日に、私の両親は結婚した。
　エイプリルフールを結婚記念日にする我が両親の神経が、まさに嘘みたいだ。
　しかしこれには理由があって、この日は父の弟の命日でもあるのだ。子供の頃に亡くなったそうだが、それ以来この日は悲しい日になってしまったので、それを緩和するために、父がこの日に結婚したいと言ったそうだ。
　よく承諾したなァ、お母さん。

　しかも、うちの両親の図太さはこれだけでは済まなかった。
　今日は、私の入信記念日でもある。
　まだ赤ん坊の私を、この日にお寺に連れていき、両親が入っている学会に私も入りました――赤ん坊だったから、否やもないよね。
　ギリシア神話を書いている私が、創価学会に入信しているという、これまた嘘みたいな話です。まあ、学会に不満はないですから、いいですけどね。それに、子供のころから我が家の本棚にある仏教の本を読んで育ったせいで、他の神話にも興味を持つようになって、現在に到っているわけですから。

　さて皆さん。私は本当に本当のことを話していますが、どこまで信じます？