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恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜

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  • from: エリスさん

    2008年05月21日 14時17分27秒

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    里子騒動顛末記

     我が家の公太と姫の間に生まれた四匹の子猫。
     毛の模様から、黒ちゃん、縞いち、縞に、鼻白ちゃんと呼んでいました。
     このうち「縞に」が生後二か月で里子に行ったことは書きましたよね。
     そして最近、父が入院している間に、もう一人の里親希望の方が我が家へやって来ました。
     その女性はまだ幼いお嬢ちゃんを連れて来て、一緒に子猫を選びました。その結果、「縞いち」と「鼻白」が貰われていくことになりました。――お嬢ちゃんはそのうちの一匹を「キティーちゃん」と名付けると言ってましたが……両方とも男の子なんだよね。
     その里親さんのお家にはいろんな動物がいるとかで、小型犬のほか、フェレットや熱帯魚なども飼っているそうです。
     フェレットと聞いた時点で、私と兄は「大丈夫か(~_~;)???」と心配しましたが、里親さんは「絶対に大丈夫です」と自信ありありだったので、
     「まあ、二匹で行くんだから、寂しがらないだろうし……」
     と、二匹をお渡ししました。

     この時点で「黒」は我が家に居残りが確定しました。
     まあ、一匹ぐらい残っても――合計四匹の猫が同居することになるけど、大丈夫だろうアッハッハ……てな具合で兄妹で納得し、

     「だからお兄ちゃん、これからは毎月生活費に六万入れてね。私もそうするから」
     「キツイよ……」
     「でもやって。お兄ちゃんより私のがキツイのよ。月10万しか収入ないんだから」
     それでも仕事量は増やさない私――家事だってやってるんだもん、これ以上は無理。

     その次の日は、以前にも書きましたが、郵便局の簡易保険が満期を迎え、それを受取りに行くことになっていました。
     午前中に父の病院へ行って、ちゃんとした入院手続きを済ませ、父の病名を教えてもらいました。
     十二指腸潰瘍って、治る病気で良かったよ……。
     そして病院から帰ってきたときに、兄の携帯に里親さんから連絡が入りました。
     案の定、子猫たちが他の動物に怯えたそうです。
     特に小型犬は、犬本人は子猫たちを可愛がっているつもりらしいのですが、とにかく体格差と腕力があり、鼻白などは怯えるのを通り越して手のつけられない状態になったそうな。
     このままでは良くないと、とりあえず縞いちは怯えていても大人しく捕まったので、縞いちだけ、近所にいる親戚の家に預けられました。
     だけど鼻白の方は常に攻撃の態勢を取っていたので、近づけば引っ掻かれるか咬まれるか――私が福ちゃんに足を傷だらけにされた時のことを覚えてますか? あんな感じにされてしまうのは必定。
     とは言え、丸一晩、眠った様子もなく、ご飯も食べていないようなので、このままでは死んでしまうからと、それで困った里親さんが兄に電話をくれたのです。
     幸い、縞いちは温厚な性格が良かったのか、預かってくれた親戚の方が「うちで貰いたい」と言ってくれたので、そのまま引き取られることになりました。
     問題は鼻白。

     「返してもらって! 今なら姫も自分の子を忘れてないから!」

     いっぺんに二匹の子供を奪い取られたのに、少しも抗議をしなかった姫。「縞に」の時のように、じっと耐えていたのが痛々しかったのに、ここで里子に出した途端に「餓死しました」なんて、姫に報告できますか!?

     というわけで、里親さんには頑張って鼻白を捕まえてもらって、即行で返しに来てもらうことになりました。
     「そんじゃ、あっこ。今のうちに郵便局行ってこい」
     「すぐ行ってすぐ帰ってくるよ」
     ……つもりが、すぐに帰って来れなかったんだよね。
     証書の文字が変換ミスで間違っていたために、私が本人である確認に一時間半もかかってしまい、しかも郵便局はエアコンがききすぎで、結果、未だに尾を引いているこの風邪……。
     ようやく帰ってきた私は、いつものように、
     「もう! 聞いてよ、お兄ちゃん!」
     と、兄にこのことを愚痴った。
     「ああ、大変だったねェ……ところで、もう帰ってきたよ」
     「へ?」
     耳を澄ませば、猫部屋から二種類の子猫の声。
     鼻白が無事に帰ってきていました。
     猫部屋の隣にある私の部屋に鞄を投げ入れた私は、すぐに姫のゲージの前に行き、鼻白の姿を確認した。
     鼻白も私の顔を見ると、ゲージの柵の間から手を出して、みにゃみにゃと鳴いてみせた。
     「おお、白! なんか面やつれしちゃってるじゃないの」
     「そうなんだよ。なんせ夕べから何も食べてないらしいから」
     すでに午後4時……そりゃ痩せるわ。
     里親さんが鼻白を連れてきたのは3時を回ってからで、腕が傷だらけだったそうだ。それでもなんとかペット用バッグに鼻白を入れて連れて来てくれて、そのまま猫部屋まで入ってもらった。
     猫部屋の中でバッグのファスナーを開き、
     「ほら、出ておいで」
     と兄が声をかけたところ、鼻白もそこが自分の家だと気づき、顔を出して、まっしぐらに姫のゲージまで駆けて行ったそうだ。
     「姫ちゃんのゲージのドアを開けるとき、姫ちゃんに怒られちゃったよ」
     兄はそう言うが、私には姫が喜んでいるようにしか見えなかった。

     「みにゃあ〜」(意訳・お姉様、息子が帰って来ましたの)
     「はいはい、良かったねェ」

     私が母猫と話している間、ゲージの二階にいた鼻白は一階に下りてきて、また柵の間から手を伸ばし、今度は私の膝にワサワサと触ってきた。
     それがなんとも可愛くて、
     「もういいよ、白! おまえはうちの子でいなさい!」
     もうどこにもあげないことに決めてしまった。

     里子に出さないことに決まったところで、正式な名前を付けることになった。
     だけど、今まで「里親に貰われるまでは仮の名前」で、ということで毛色で呼んできたが、この子たちはすっかりその「仮の名」を自分の名前だと認識しちゃっていた。これが飼い主が代われば、別の名前をつけても問題はないのだが、この子たちにすれば、
     「この人間さんは、自分のことを〈クロ〉と呼んでくれる」と覚えてしまっているので、もうどうすることもできない。
     なので、この子たちの名前は、
     「シロー」と「クロー」
     になった。
     漢字は何を当てようか検討中だけど、たぶん「シロー」は、

     【銀幕版 スシ王子!】 の主人公 米寿 司 

     から一字貰って、

       「司 郎」

     になると思います。
     「クロー」ちゃんはどうしようかなァ……。


     ところで先日、兄のサークルで、この子たちの里親募集をしておりましたが――父からそうしろと言われた模様です。
     子猫が二匹ともいると、私に負担がかかるからだそうですが。
     まったくね。退院した途端に、
     「子猫、二階に連れて来い!」
     と言った人の所業とは思えませんよ。(--〆)

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