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from: エリスさん
2016年02月05日 01時33分12秒
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夢のまたユメ・117
いつものホテルに行って、いつもの部屋を指定する。
いつものように百合香からシャワーを使い、翔太がシャワーを浴びている間は、百合香はベッドに腰掛けて待っていた。
そしてバスローブ姿で戻ってきた翔太は、いつものように上半身だけを肌蹴させた。
「お待たせ、リリィ......」
翔太からキスをされて、押し倒されそうになるのを、百合香は、
「待って......」と制した。
「こうゆう事は、今日を限りにしてほしいの――この子が産まれるまで」
百合香はお腹をさすりながら言った。「もうすぐ8カ月に入るから、そろそろ気を付けないといけないと思うの」
「リリィがそうしたいならそれでもいいけど......避妊具を付けてれば、臨月でもHは可能だよ」
「そうなの?」
「ちゃんと調べたんだ。むしろ胎児にとっては、両親がいつでもラブラブなのは安心していられるそうなんだ。だから、雑菌が入り込まないように気を付けたり、激しすぎて胎児がびっくりしないようにすればいいんだ......だったら、ここ最近の俺たちのスタイルで問題はないよ。とは言え......しばらく控えたいっていうのは、カールの手前もあるんだろ?」
「うん......」
翔太とのことを許してくれる、馨の優しさに甘えすぎている。それは人としてどうなのだろう、と百合香は考えていた。
「いいよ。それじゃ、今日を境に明日から子供が産まれるまで、俺たちは清い関係でいよう」
翔太は言うと、百合香の首筋にキスをしながら、百合香を押し倒した。
そのまま泊まっていくつもりで翔太は部屋を取っていたのだが、百合香の携帯電話がそれを許さなかった。
携帯を手に取った百合香は、それが兄・恭一郎のメールだと知って、すぐに開いた。
『大変だ! キィちゃんが産気づいた!』との文章と共に、今まさに姫蝶が子供を産みかけている写真が添付されている。
「大変! 帰らなきゃ!」
百合香は説明している余裕もなく携帯を翔太に押し付けて、服を着始めた。翔太もメールの内容を見てすべてを察すると、フロントに電話をしてタクシーを呼んでくれるように頼んだ。
「家の近くまで送るよ。慌てて帰ると事故になりかねない」
「ありがとう! 私ったら、一度ならず二度までも......」
姫蝶がピンチの時――最初は東日本大震災の時、百合香は外出をしていて、姫蝶を一人ぼっちにしてしまった。そしてまた今回も......。
「大丈夫だよ。今日は恭一郎さんもいるんだろ? だったら、姫蝶も一人ぼっちで子供を産むわけじゃないから!」
「お兄ちゃんにもそんなに懐いてるわけじゃないのよ。姫蝶を守ってあげられるのは、私だけだから......」
百合香が不安そうにしているので、翔太は結局、宝生家の玄関前まで百合香を送って来て、恭一郎に見つからないように頭を低くしながら、タクシーの運転手に、
「すいません、駅まで!」
と、言った。
百合香が家の中に入ると、恭一郎が、
「どこ行ってたんだ! キィちゃん、もう三匹目を生もうとしてるぞ」
「ごめんなさい! それよりキィちゃん!」
百合香が猫部屋に入ると、姫蝶の傍らには、本当に小さい赤虎の猫がいて、今まさにもう一匹生まれかけているところだった。
結果、姫蝶は四匹の子猫を生んだ。最初の子はパパ猫・幸太にそっくりの茶トラの雌と、姫蝶似のアメリカンショートヘアの雄、そして黒白の縞猫の雄雌である。母子ともに健康らしいので、百合香は本当に安堵することができた。-
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