「火の国、風の国物語 英傑雄途」
　最初から最後までこれ以上はないというほどの王道でした。
　特にフィリップとの一騎打ちで騎士モノの定番シチュエーションをもってくるあたり王道というものをよく理解していると思いましたね。
　一騎打ちもなかなか面白かったです。同じ契約者であるアレスとフィリップの力は互角、しかし、技量はアレスの方が上なので勝敗の決まりきった面白味のない戦いになるだうと思っていました。ところが、その差を覆すほどの魔剣の存在によってラストバトルに相応しい戦いになりましたからね。
　というか、本当に魔剣が登場した事に少し驚きました。てっきり魔剣といってもただの頑丈な名剣だろうと思っていたので……。
　ラストも王道でした。ただ、騎士のままだったならともかく、仮にも一国の王となった身でこのラストはどうなんだろうかと思ったりもしましたが……。とはいえ、アレスらしいラストではありましたね。
　もっとも、フィリップとの戦いは終わってもアレスの戦いは終わりそうにありませんけどね。さっそく次の戦いがアレスを待ち構えてますし……。

「火の国、風の国物語 傑士相求」
　予想通りアレスとジェレイドが手を組みました。まぁ、タイトルからしてそこは分かりきっていた事でしたけどね。
　ただ、王を名乗ってジェレイドとボルネリア軍を傘下につけるというのはやや予想外でした。しかも、王の根拠がファノヴァール家の王位継承権ではなく、あの遺言でしたからね。あれは相当な無茶としか思えませんでした。まぁ、王位継承権の方もカルレーンの証言だけですから無理だと思ってたんですけどね。
　で、さっそくアレスの国王軍と先行した王国軍が戦うんですが、少数精鋭で並み居る雑魚を蹴散らして敵を圧倒するというなんともアレスらしい英雄叙情詩の王道みたいな戦いでした。
　けど、最近は出来レースを見ているようであまり面白くないです。というより、アレスの戦う姿勢からして好きになれない。戦う気はあるけれど、勝たなければならないという執念をアレスからは感じないんですよね。

　さて、次でついに最終巻。英雄叙情詩的にはアレスがフィリップを倒してハッピーエンドなんでしょうけど、それだとつまらないので何か波乱が起きてほしいですね。
　波乱が起きるとしたらフィリップの愛人になったルノアあたりが何かやってくれそうな気がしてますが……。

「火の国、風の国物語 王都動乱」
　フィリップがやりたい放題で、ジェレイドもカルレーンも相手になりませんでしたね。まぁ、黄昏の主の世界の全てを見通す力は策士にとっては天敵ですから仕方ないんですけどね。それに、策では契約者を止められないのはアレスで証明済みですし……。
　カルレーンのクーデター失敗は予想通りだったんですが、クラウディアはあと一歩のところで死にませんでした。ファノブール家の秘密があるので死ぬと思ってたんですけどね。ファノブール家の秘密が予想通りだったので尚更に……。
　それと、アレスとフィリップの初対決はなかなか見物でした。力が互角だけに技の優劣が勝敗を決するわけですが、やっぱり技だとアレスの方が上でしたね。もっとも、このあたりは二刀流で培った盾さばきのおかげのようですが……。この不利をフィリップが次の戦いでどう埋めるのかが楽しみですね。
　あと、エレナが表紙の理由が分かりました。まさか終盤のこのタイミングでエレナが新勢力を築くとは……。まぁ、アレスの戦力になるという気もしますが、そのわりには描写がいささか不穏なんですよね。

　次のタイトルは『傑士相求』だそうです。残り2巻という情報もあわせるとある程度展開は読めますが、エレナが話にどう絡んでくるのかが読めない。元々復讐を肯定する考えの持ち主でしたし、とんでもない展開になりそうな予感だけはするんですけどね。

「火の国、風の国物語 王都動乱」
　カルレーン候が王都でクーデターを起こすというので表紙はベアトリスあたりになると思っていたら、王都ではなくトゥールスレン城砦にいると思っていたエレナだったのでちょっと意外でした。
　そして、何か悲劇が起きるだろうとは予想してますが、エレナの後に描かれた悪どい表情をしたフィリップの存在に否応なく悪い予感が高まってきましたね。
　いやー、何が起きるのか本当に楽しみです。

「火の国、風の国物語 王都動乱 あらすじ」
　どうもフィリップは妖魔と手を結んでたみたいですね。妖魔の存在は前から知ってましたけど、今まで実態が描かれてこなかったのでてっきり話には絡んでこないと思ってましたからちょっと意外でした。
　にしても、なんでわざわざ暴虐の限りをつくすのか。王になるのが目的なら実質すでに達成しているようなものなんだから、後はそれなりの統治能力を示すだけでよかっただろうに……。賢王になるつもりもなかっただろうけど、暴君になりたかったわけでもなかったと思うんですけどね。
　それはさておき、アレスのクラウディア救出とカルレーン候のクーデター。なかなか面白い展開ですが、両方失敗するんじゃないかと予想してます。フィリップの遠征中にクーデターを起こすのは正しい判断ともいえますけど、フィリップにパンドラがついているのでなんの対策もしてないわけがないでしょうし、フィリップの事ですからクーデターが起きるならそれに乗じてクラウディアの暗殺くらいは企んでそうな気がしてます。
　まぁ、実際にどうなるのかは読んでみてのお楽しみですけどね。

「火の国、風の国物語10　英雄再起」
　いやー、大分前に読んでたんですけど、書くのをすっかりと忘れてました。

　一言でいえば英雄叙事詩のような展開でしたね。が、あまりにもアレスに都合が良すぎる展開に少し白けました。
　特に誰もがアレスが挫折から立ち直ると信じるというのは都合良すぎです。英雄叙情詩らしいと言えばそうなんですが……。それはともかく、元々アレス側の人間はそれでもいいですよ。アレスが逃げたのは濡れ衣のせいだと思ってますし……。しかし、ミーアあたりにはもっと疑心暗鬼を持ってほしかった。突然アレスが逃げ出した事など色々と疑問に思う事があるだろうに……。
　アレス復活にしてもそうです。たった3人（＋2人）で城攻めという常識外れの戦いをやってのけ、ガルムスとレオンなんか良い意味で無謀になっていて痛快でした。けど、そんな無謀な戦いにも関わらず完勝してしまうあたり、あまりに上手くいきすぎて逆に白けるんですよね。以前ならパンドラのおかげと納得していたんですが……。
　まぁ、意図は分かるんです。今まではパンドラがいたから一人で戦ってきたけれど、パンドラがいなくなった事で仲間と戦う事を知るという展開をやりたかったんだと思います。そういった展開は大好きなんですが、今回に限ってはあまりにも綺麗すぎて白けました。

「Re:Re:Re:アレスについて」
　以前に2chを見た時は、アレスアンチが8割と押され気味の擁護派2割といったところでしたね。それまで高潔で勇敢に戦う最強の騎士というイメージだったのが、パンドラが去った途端に怯えて逃げ出したせいで、ただの臆病者かつパンドラに頼りきっていただけの卑怯者に成り下がってました。
　もっとも、自分のアレスのイメージは元々そんな感じだったんですけどね。アレスは自分が弱いと知った上で戦ったのではなく、パンドラと契約して強さに恵まれたから戦ってたという印象があるんですよ。なので、パンドラという強さを失ったから戦えなくなったというのには特に違和感はないです。ただ、さすがに落ちぶれすぎだとは思いますが……。

　今後の展開については幾つか予想してますけど、今はまだなんとも言えませんね。
　最終的にフィリップと敵対するのは間違いないでしょうけど、立ち直ったアレスがすぐボルネリア軍に入るとは思えないんですよ。むしろ、立ち直ったなら申し開きをしに馬鹿正直に王城に向かいそうな予感がしますね。

「Re:Re:アレスについて」
パンドラがいたからアレスは英雄とした振る舞いをしたのだから、パンドラがいなくなったら精神的に崩れる。
理解は出来るのですが、やはり違和感というかなんというか。
2chでもどんな意見だったかは知りませんが、アレスの行動を不思議に思う読者も何人かいたんでしょう。

次巻でアレスが復帰するのは決まってますが、アレスは反乱軍に入るのかな。フィルップと敵対する流れだとそうなりそうですが。

「Re:アレスについて」
　う〜ん、アレスは最初の頃に占いで行動を決めたりと結構ヘタレな所がありましたけどね。
　それはそれとして、自分から見たアレスは巨大ゴーレムと戦った時のようにどんな相手でも決して逃げないけれど、それはパンドラとの契約による自分の強さに対する自信があったからだと思ってます。なので、契約が解除されれば自信を失くして怯えるのも仕方ないと納得してます。そもそも、暗殺から身を守れたのも、どの戦いにも勝利できたのも、パンドラのおかげだとアレス自身が自覚してますからね。
　アレスは自分の強さに自信を取り戻したら、精神的には復帰するんじゃないですかね。ただ、もしそうだったら父親と似たエピソードになりそうなのが少し微妙だったりしますが……。

「アレスについて」
アレスついて自分は、たとえ腕が無くなろうとも戦い続けるって印象を持ってました。
「とある魔術の禁書目録」の主人公の上条当麻みたいな感じです。
だからパンドラとの契約がなくなった時のうろたえようには驚きました。それと同時に何これ？って感想も持ちました。パンドラとの契約が無くなり不安になるのは分かるんですが、騎士としての誇りも関係なく怯え逃げ出すっていうのはちょっとやり過ぎだなと思います。
契約なくなる前が騎士として完璧過ぎでしたね。もっとヘタレな所もあれば良かったのですが。

「Re:火の国、風の国物語９　黒王降臨」
　確かに力を失ったアレスがフィリップに勝ち、人の力が神の力を超える事を証明するという展開は熱くなるものがありますが、今まで散々アレスがパンドラの加護の絶大さを証明してくれましたから戦いに関してはさすがに無理があるかと……。
　とはいえ、自分も力を失ったアレスが強くなるという展開を期待していたんですよ。そもそもアレスは子供の頃に力でもリーチでも上回る大人相手に試合で勝ってます。それだけ優れた技の使い手でもあったわけで、今までの英雄的な活躍ができないにしても、力を得たフィリップと十分に戦えると思っていたんですよ。例え負けたとしても、技に磨きをかけて再戦して勝利するという展開を期待してました。
　まぁ、そんな展開は夢と消えてしまいましたが、力の拮抗した超人同士の戦いというのも大好きだったりするのでこれはこれで楽しみです。もっとも、それは当分先のことになりそうですが……。

　そういえば、２ちゃんねるでアレスが散々叩かれてるんですが、アレスについてアキツキさんはどう思います？

「Re:火の国、風の国物語９　黒王降臨」
１巻からいつか力がなくなる展開がくるなと思って、８巻目にその展開がきて９巻はその延長ですね。
今回の内容は予想通りですが悪くはなかったです。
少し思うのはアレスにパンドラとの契約はまだ残っている所。
どうせなら人の力で神をも超えるみたいな事をやってくれても自分としては良かったのですが。