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from: 玖路さん
2011年02月26日 21時58分22秒
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Burning Love
『ベン・トー』が絶好調のアサウラさんの二作目、『Vanilla』を今さら読みました。
奥付を見たら、2007年4月発行。ほぼ四年、ほったらかしにしていた模様。
物語は、一作目『黄色い花の紅』と同じく、銃器類の所持が合法化した日本が舞台。前作にも出ていた共通の登場人物も二人(一人はエキストラ)。
そんな日本の銃器メーカーの試験場での強奪事件。狙撃銃二丁、ハンドガン七丁他、弾薬やスコープ等々が奪われた。
それから一月半後、派出所の駐在警官が狙撃されたのを皮切りに、次々と近隣で狙撃事件が発生する。
犯人は二人の女子高生。
次第に追い詰められていく彼女達の破滅的な逃避行はやがて……
と。こんな感じの導入部なわけですが、まあ正直あらすじと表紙で買いました。
読む前にハードル上げすぎたのかもしれませんけど、感想は「面白かったけど、期待したほどじゃなかった」ですかね。
良かった点は細やかな描写。特に銃器類の描写は、よく勉強してるなと、素直に感心しました。たぶん相当好きなんでしょうけど。細部までこだわりつつ、クドさは感じさせない筆致は、とてもレベルが高いと思います。
女子高生二人がスナイパーライフルで狙撃するんですが、設定の大雑把な作品であるような、女の子が巨大武器を振り回すような無茶なものではなく、普通の女子高生が普通に使える銃を仔細に描いている部分にはとても好感が持てます。
悪かった点はキャラの薄さ、ですね。
なまじ精巧に作品の背景を作りこんでいるせいか、主人公二人が何も考えていないようにしか思えません。それでもやはり主人公だけあって、それなりに描写がされている女子高生達はまだいいのですが、敵役の警察の人物達のバックボーンが薄すぎる……。
これは前作でも同じ事を思ったのですが、バランスの悪さが原因じゃないかと……。ネタにばっかり気を使って、シャリはイマイチな寿司みたいな。
確かに異常な腕を持った伝説的なスナイパーとかが出てきても、やはり違和感があるんでしょうけど、それでもやっぱいくら特殊部隊員でも、最後にぽっと出の山本と山田はねぇだろ。誰だよ。
なんと言うか、カリスマのあるキャラが全くいないのが問題かな。
「乾季を経たバニラ。その香りから、いくら甘そうに思えても、その味はむしろ苦いくらい。しかし気付くのはいつも口にしてからだ」
個人的には「アリ……かな?」ぐらいです。
誰かに薦めるほどではありませんでした。
キャラクター 5
設定(銃込み) 8
文章(筆力) 9
構成 5
イラスト(挿絵)1
イラスト(表紙)10
…………自分でも何故かは説明できませんが、表紙が大好きです。
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