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from: 玖路さん
2011年02月28日 23時53分36秒
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恋の話を、しようか
ちょっとマイナーかもしれませんけど、ガガガ文庫の作品です。
親に敷かれたレールを歩くことに目を瞑るお調子者、桧山ミツル。
男嫌いの「毒舌王女」、神野若葉。
絵を描く夢を諦めきれない天然少女、霧原かずみ。
剣道の事しか考えていない寡黙な美男子、市川ボナパルト。
そんな高校二年生の四人が、偶然予備校模試の前日試験で一緒の部屋にいたところ、停電に遭う。
ほとんど接点のなかった四人の関係を変えたのは、ミツルの発した一言。
「恋の話を、しようか」
ラノベに分類される理由は、レーベルとイラストだけ。
中身は、普通の高校生達の交流を描く、青春小説です。
先に総評を言ってしまうと、「とても良かった」です。
なんと言うか……この本の評価に、言葉を費やしたくない。
読んだ後に残るこの気持ちを、押し固めて形にしたくない。
そんな作品でした。
そうは言っても、ここに評を書く以上、精一杯良さを伝えたい……けど、たぶん私の力が足りない。ああもどかしい。
舞台は冬には屋根の雪下ろしをしなくてはならないぐらいの、雪国の田舎町。
フルネームが与えられている登場人物は、上記の四人だけ。
これはミツルの物語で、でも四人の物語で、彼らが自身と向き合う物語で、彼らが互いに向き合う物語。
高校二年生という、子供とも大人とも言えない微妙な時期に味わう、漠然とした将来への不安とか、打算の混じらない恋とか、自身を取り巻く人達との距離感とか、通り過ぎてしまうと二度と味わえないあれこれが、うまく詰め込まれていると感じました。
だからこれは、「大人になってしまった」人に読んでもらいたい小説です。私は昔のアルバムを引っ張り出してきて眺めているような気分になりました。
当事者である中高生が読むと、全然違った感想を持つんじゃないかな。私にはラノベを貸したりする中高生の知り合いがいるのですが
、たぶんその子達にはこの本は紹介しないと思います。
文体も非常に読みやすく、舞台や登場人物をかなり絞っているので、ストーリーもキャラクターの心情も、するっと理解できます。
ただ唯一惜しむらくは、ラストの展開を端折りすぎたかなー、と。
それでも読後は「ああ、読んで良かった」と爽快感だけが残りました。
この本はまたいつか、ふとした時に読み返すと思います。
キャラクター 9
世界設定 -
文章(筆力) 8
構成 7
イラスト -
タイトル 10
世界設定が評価無しなのは、限りなく現実に即した設定だから。
イラストが評価無しなのは、あってもなくてもこの本の評価は変わらないと感じたからです。
学生を卒業した方に、超オススメ!
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