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  • from: 玖路さん

    2011年03月09日 19時34分29秒

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    円環少女


    幾万の魔法世界で、ただ一つ魔法に見捨てられた世界。
    ここは"地獄"――誰もが奇跡より、ありふれた現実に振り回される場所。

    五年間追い続けていたシリーズ、スニーカー文庫の『円環少女』が今月一日発売の十三巻で完結を迎えましたので、ちょっとした感慨とともに感想を。

    幾千幾万もの、それぞれの魔法体系を持つ世界が存在し、それらの世界の中で、唯一奇跡に見放された地球。魔法世界の住人達は、地球を"地獄"と呼ぶ。なぜなら"地獄"の住人達は、五感で感覚した魔法全てを消去してしまうから。

    元の世界で大罪を犯した罪人は"地獄"へ落とされる。彼らへの刑罰は、"地獄"の秩序を乱す敵対魔導師を百人討伐すること。しかしそれをやり通した罪人(刻印魔導師)は一人としていず、事実上の死罪とされている。

    そんな刻印魔導師でありながら、十二歳相当の少女、メイゼルと、歴史の表舞台には姿を現さない魔法使い問題を管轄する《魔導師公館》に所属する武原仁が、神の如き力を振るう超高位魔導師達とバトりまくるというストーリー。

    最初から最後までのストーリーを組み立ててから書き始めたと、作者が語るだけあって、緻密に作り込まれた設定も見事なんですが、それを描き切った筆力の方が、驚異的です。
    特に心理描写が凄い。生活観溢れる日常のシーンに織り込まれる、何気ない一文が、心をえぐります。人間の心をこんなにも生々しく描ける作家がいるのか、と心底感嘆しました。ちなみに恥ずかしながら、この長谷敏司さんの実力に気付いたのは、確か四、五巻ぐらいだったと思います。それまでは「読みにくい文章だなぁ」ぐらいにしか思っていませんでした。今では脱帽、敬礼、平伏といった感じですかねー。

    次に凄いのがド派手な魔法戦。他の作品だったら確実にラスボス級なのがわらわら出てきます。ここで普通の超能力バトルモノと違うのは、一般人が全て、無自覚でありながら強力な魔法消去能力を持つということですね。だから地球の住民達は、魔法使いに"悪鬼"と呼ばれています。その中でも、主人公の仁(ジン)は魔法消去のon/offが自在にできる、"真なる悪鬼"。つまり味方の魔法を利用しながら、敵の攻撃も防御も全て焼き尽くすことが可能ということですね。
    これだけ書くと、主人公が無敵っぽいですけど、そこは敵も"地獄"にいるだけあって、普通に銃なんかで攻撃してきます。つまり敵の銃弾は味方の魔法で防ぎ、その防御まで消してしまわないよう、状況に応じて戦術を変更する必要があるわけです。その常に綱渡りな駆け引きが、最高にバトルを盛り上げてます。

    そして三つ目。卓抜した筆力と、緻密な設定のコンボから織り成されるコメディーシーン。
    ストーリーは徹頭徹尾重たい感じなんですが、なんか変な設定で魔法を使う魔導師が多いせいで、油断するとすぐ笑ってしまいます。魔法を使うために全裸である必要がある女騎士とか、己の負った傷から魔力を引き出して魔法を使う魔女とかが、会話に参加するともうダメです。それぞれのキャラクターは自身の常識に従って普通に話しているだけなのですが、常識のズレが激しすぎるために、コメディにしかなりません。

    最後に。もちろんこれだけの長編を支えるキャラクター達が、魅力的でないわけがない。
    その中でもやはり主人公の二人は別格でしょうか。
    『ヒーローになれなかったおとな』仁と、仁に幼い恋をまるごとぶつけるメイゼル。
    人を殺すしか能の無い『わるいおとな』を自認する仁と、"地獄"に堕とされてもなお誇り高く運命に挑むメイゼル。
    共に戦い、時にぶつかりあい、内省しながら成長してゆく二人は、ただのいち小説のキャラクターでありながら、一個の人格を有していると言っていいほどの完成度に達しています。
    もちろん他のどのキャラクター達も、出色の出来です。特に最終巻は、最終決戦に相応しいオールキャストの大バトル!
    ONE PIECEの頂上決戦並のアツさでした。一人で東京を焦土に変えるような超高位魔導師が同時に三人も立ちはだかるシーンとか、「おいおいどーすんだコレ!」とか思わず声が出ましたよ。

    語りだすと話が尽きないので、この辺でまとめに入りますけど、とにかく凄かった! 近いうちに最初からもう一度読み返してみようと思います。たぶんまた新しい発見があって、新鮮な気持ちで楽しめるでしょう。

    キャラクター 10
    世界設定   10
    文章(筆力) 10
    構成     7
    ストーリー  7
    読みやすさ  3

    本気で「読書」するつもりで挑まないと、なかなか読み解けない物語ではあると思います。
    あと、色んなキャラを活躍させようとしたせいで、場面があちこち飛びまくるので、その辺は採点が辛目になっていますが、私にとってはダブルブリッドに勝るとも劣らない、最高評価の作品です!

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コメント: 全1件

from: どらごんさん

2011年03月09日 21時33分51秒

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「Re:円環少女」
 なかなか面白そうですね。
 全12巻ならそんなに多くないですし、コツコツと買ってみようかな。

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