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from: 玖路さん
2011年04月05日 19時52分47秒
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GOSICK
押しも押されぬ人気作家となった、桜庭一樹さんの出世作『GOSICK』についてです。
レーベルそのものの取り潰しという事態に、長いこと刊行がストップしていた作品ですが、ようやく今年中に完結する見通しだということで、読み返してみました。
時は1924年、ヨーロッパの小国ソヴュール王国にて物語は始まります。(もちろん架空の王国。地理的にはモナコをスイスにぶち当たるまでずどーんと北に伸ばした感じの細長い国土です)
そのソヴュール王国のアルプス山脈の麓に建てられた、貴族の子弟ばかりを集めた聖マルグリット学園が、世界大戦を機に外国からの留学生を受け入れるようになり、日本から留学してきた帝国軍人の三男坊、九城一弥が、学園に閉じ込められたビスクドールのような儚げな少女ヴィクトリカと、身の回りで起きる様々な事件(主に殺人)を解決しながら心の交流を深めていく、というストーリー。
今は亡き富士見ミステリー文庫から出版されていただけあって、ミステリー仕立てです。ですが、個人的な意見としてはミステリーだと構えて読まない方がいいと思います。
私はこのGOSICKを、事件やトリックの複雑さよりも、読み物としての読みやすさ、時代の雰囲気の描写などに力を割いた作品だと受け止めています。
優しい(易しいの誤字ではありません)文章で描かれていて、二十世紀初頭のヨーロッパに、簡単に入り込むことができます。歴史上の事件も多少絡んではきますが、教養と言えるほどのものを必要とするほどではありませんし、とにかく読みやすい作品です。
肝はやはり一弥とヴィクトリカのやり取りに尽きます。
天才的あるいは悪魔的とも言えるほどの頭脳を持ちながら、いやそんな頭脳を持っているからこそ、愛情を全く与えられずに育ったヴィクトリカと、穏やかで誠実で、しかし人種の違いなどから学園では避けられ孤立している一弥との、時に恐る恐る互いに窺い合うような、時にこれ以上なく大胆に踏み込んでいくような、誰にも切れない絆を紡ごうとする二人の様子には、ついつい目尻が下がる思いを抱かされます。憎まれ口を叩きあいながら、どうしようもなく惹かれあう二人。これから最終章にかけて、どういう困難を乗り越え、どういう結末にたどり着くのか、今から楽しみにしています。
キャラクター 9
世界設定 8
文章(筆力) 9
構成 9
ストーリー 9
ミステリー的要素 5
非常に完成度の高い良作です。超オススメ!
知り合いの女子中学生に初めて貸したラノベがこれでした。
コメント: 全3件
from: 玖路さん
2011年04月06日 09時42分54秒
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「Re:Re:GOSICK」
確かに地味ですねー。
なんというか、箱庭を眺めている気分です。
レギュラーキャラクターを増やさないので作品世界が広がりませんし、中二病的燃え展開もないですしね。
だからこれはラノベとしてではなく、純粋に読み物として評価した感じです。
あと新刊についてなんですけど、すでに先月末、角川文庫より『GOSICKⅦ -薔薇色の人生-』が刊行されています。
ただしこれは角川文庫刊ですので、イラストなどは一切ありません。とりあえずこの装丁スタイルであと半年くらいで2、3冊出して完結させるようです。
イラスト付きの方が良ければ、後々角川出版される予定もあるようです。ただ、武田さんが担当するのかどうかまでは分かりませんが。
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どらごん、
from: どらごんさん
2011年04月05日 23時44分03秒
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「Re:GOSICK」
これはまたずいぶんと懐かしい作品を。
今は亡き富士見ミステリーの代表作ですね。短編も含めて全巻読みました。
ただ、当時の感想ではあまり好みではなかったりします。概ね玖路さんと同じで完成度の高い良作だと思ってるんですが、話や文章に起伏がなく盛り上がりに欠ける地味な作品というのが感想でした。
けど、短編のヴィクトリカと一弥の微笑ましいやり取りや日常は好きでしたね。和みます。
そして、ついに続きが出るというか完結するんですね。
未完のままになるかと半ば諦めていたんですが楽しみです。
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玖路、
from: どらごんさん
2011年04月07日 00時27分18秒
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「あっ、新刊出てたんですね。」
角川で再版されていたのは知っていましたが、新刊が出ていたのは知りませんでした。
とはいえ、最後に読んだのがもう何年も前で大まかにしか話を覚えてませんから、新刊を買う前に読み返しておきたいところですね。
もっとも、かなり未読のラノベがたまってるので読み終わって新刊を読むのはいつになる事やらといった状況だったりしますが……。
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