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  • from: 那須ボーイさん

    2021年08月23日 13時29分09秒

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    小説 渚の慕情

    第一話

    男はライターを鳴らし、紫煙を燻らしながら女の事を考えていた。
    外は夜来の小雨が木々を濡らしている。
    寒かった冬も過ぎ、その木々には芽吹が見られ春到来の予感がしていた。
    男は55才。
    某メーカーの技術部長の地位にあった。
    同期の中では早くにその地位に就き
    今役員の話が出ている。
    専務からは身辺整理をして置くように言われている。
    変な噂があれば、足を引っ張られかねないからである。
    男に悪い噂話などない。
    只、女の事が少し気にはなっていた。
    男には家庭があり、言わば不倫関係。
    女は知的な女性である。
    話せば身を退いて呉れる事はわかっていた。
    だからこそ、簡単には話せない思いが男にはあった。
    その女性は何処かエキゾチックな顔立ちで、男心を擽る容姿をしていた。

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